表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
188/743

188:龍脈の棟梁(シガミー)、新曲襲来♪

「やってみて欲しいんだけど」と、お(ねが)いしたら――


お湯のたま(みひずののたつ)乾燥の魔法(たまめまたいまほう)!」

 すげえ、説明(せつめい)を聞いたリオレイニアさんが、間髪(かんぱつ)()れずに(とな)えた。


 けど――ポシュ♪

 大皿(おおざら)のうえにあらわれたのは、(ちい)さな白煙(はくえん)

 おかしい、不発(ふはつ)だ。

 いまのは、おれ……ぼくより、よっぽど上手(じょうず)(とな)えられてたぞ?


「――イオノファラーに確認(かくニん)しナいと、詳細(しょうサい)わかりマせんが、ひょっとシたら、コの世界(せカい)に生まれた人間(にんゲん)にワ、使(つカ)エないのかもしれません――」

 そんなことがあるのか?

「――真言(マントラ)使(つカ)えるノも(いマ)のとコろ、()(もト)うまレのシガミーとルリーロだけデす――」

 そうか。そういうこともあるのか。


「それで、この(いえ)のあるじは、ドコに行ってるミャ?」

「いまわねぇー、荷物運(にもつはこ)びに便利(べんり)だからって、イオノファラーさまとリカルルさまに連れ(まわ)されてるよ♪」

 一号(いちごう)がいつまでも(かえ)ってこないと(おも)ったら――なんかやらかしてなきゃ、いいけど。


「――イオノファラーもついているノで、(まン)(イち)(ナに)かアってもシガミーが責任(せきニん)(かン)じることはアりません――」

 うんまあ、そうだけど……迅雷(おまえ)一号(おにぎり)ほどじゃないけど、変わってきてるぞ?

「――オ褒めいたダき、ありがとうごザいます――」

 (べつ)に褒めては、ないからな。


「イオノファラーさまコォン?」

「そうよ。あ、(ほか)(まち)(ひと)御神体(ごしんたい)さまを、見たことがないんだっけ」

「「御神体(ごしんたい)さま……コォン?」――ミャッ?」


こういう(・・・・)生活魔法(せいかつまほう)(とな)(かた)は、見たことも聞いたこともないし、実際(じっさい)に火もつかなければ(みず)も出ませんね…………ですが」

 ――非常に興味深いのです。

「キミはどういう経緯(けいい)で、こんな奇抜(きばつ)なことを(おも)いついたのかしら?」

 ――火も水も出なかったけれど、この詠唱法には何かしらの発見があります。


 ここは、正直(しょうじき)(はな)していいのか?

「――ハい、基本的(きほんテき)問題(もんだイ)アりません。でスが、イオノファラーに確認(かくニん)ヲ取るまデは、そうでスね……天狗(てんク)発案(はつアん)と言うこトにしておいてください――」


 きゅふぉん♪

『>師で有る天狗の、

  教えです』


「そうですか、コレもテェーングさまが。なるほどなるほど……おもしろい、とてもおもしろいですのよっ! ここまで興味(きょうみ)を引かれる(こと)なんてぇ、リカルルお嬢様(じょうさま)聖剣(せいけん)(きず)を付けた、あのとき以来(・・・・・・)ですわー♪」

 嬉々(きき)として、跳ねる――元姫さま(もとリカルル)の、お付き筆頭(ひっとう)

 たたらを踏む、その(ほほ)が――はぁはぁ。

 高揚(こうよう)している。


「そう、言うなれば〝生活大魔術(せいかつだいまじゅつ)〟とでも言うべき……ぶつぶつ」

 ――生活魔法に関して私も知らないことが、まだあるなんて。


 仮面越(かめんご)しでもわかるほど,コロコロと変わる表情(ひょうじょう)


 彼女(リオレイニア)が……(なに)(かんが)えているのか、手に取るようにわかる――気がする。

 こんなに、はしゃいだリオは(はじ)めて見たし――すこし、いや……かなり(こえ)ぇ。


「(それとさ、いま――気になる(はなし)がとびだしたぞ?)」

 〝聖剣(せいけん)〟てのはリカルルがぶち切って、使(つか)えなくなったってのは知ってるけど。


 トンと文字板(もじばん)を立てた。


「はっ!? (わたくし)としたことが、こほん。あまりにも興味深(きょうみぶか)かったので、ついとり(みだ)してしまいました。ごめんなさい」

 すぅー、はぁー。

 ひと呼吸(いき)で、冷静(もと)にもどる給仕服(メイド)


 きゅふぉん♪

『>リカルルさまが、

  聖剣に傷を付けたの?』


「くわしい(はなし)は、(われ)も聞いてないコォン?」

 四人(よにん)子供(こども)(ニャミカは、すこし年上(としうえ)だけど)の視線(しせん)(あつ)まる。


「そうですね。(いのち)がけでガムラン(ちょう)(まも)った経緯(けいい)は、周知(しゅうち)事実(じじつ)ですし……お(はな)しして置いた(ほう)が良いかもしれませんねー」

 そんな前置(まえ)きで、はじまる(はなし)

 ぼくたちは、身を乗りだす。


(けっ)して褒められた(はなし)ではありませんし、一歩間違(いっぽまちが)えたら――人類(じんるい)滅亡(めつぼう)していたかもしれませんので――ココだけの、お(はなし)にしてくださいませ」

 そんな、(ねん)を押すような前置(まえお)きで、はじまった(はなし)は。


「あたし、知ってるミャッ。引っこ抜けなかった腹いせに(・・・・)――家宝(かほう)(けん)何十本(なんじゅっぽん)も持ち出して、(あさ)から(ばん)まで、切りつけたって(はなし)ニャ♪」

 想像(そうぞう)した以上(いじょう)に――ひどい(はなし)だった。


 子供達(ぼくたち)(ニャミカ以外(いがい))の(かお)に、〝納得(なっとく)〟の文字(もじ)が張りつく。


「ええ、魔王(まおう)(たお)すために必要(ひつよう)な、人類(じんるい)最後(さいご)希望(きぼう)。ガムラン(ちょう)(つた)わるそんな聖剣(せいけん)。それが14(さい)成人(せいじん)の儀で、引き抜けなかった(・・・・・・・・)ものだから――――お嬢様(じょうさま)が……」


 ドガァァァァン!

 開け(はな)たれる、(しん)シガミー(てい)のドア。


(わたくし)悪口(わるくち)は、そこまでにしていただけませんことっ!」

 やい、建ったばかりのシガミー邸(わがや)を、(こわ)す気か?


 どどがぁぁぁん――――ぽきゅむん♪

 一号(おまえ)も、真似(まね)すんな!


 両開(りょうびら)きのドアが、左右(さゆう)蹴破(けやぶ)られ――――(はこ)び込まれる……巨大(きょだい)(はこ)(くるま)が付いた――

 なんだこりゃ、(まつ)りの山車(だし)か?


 ズムッズン、ドムッドン、ジギジギギャギュィーン♪

(し~ん)()(くわい)にぃー、解き(はな)たぁれぇたぁ~あ~ぁ~♪」

 天辺(てっぺん)には、(ちい)さな御神体(ごしんたい)さまの姿(すがた)


(せき)(ら~ん)(うぅ~ん)みたぁ~いんなっ、(ふっ)(ぐっ)(たぁぁい)(てぇ~ん)のっ♪」

「ヘェイ♪」――(しり)を振るな。


「――新曲(しンきょく)のようです、ヘェイ♪――」

 やかましい。


「あ、さっき言った御神体(ごしんたい)さまってのは、あの一番上(いちばんうえ)踊ってるやつ(・・・・・・)のことでー、イオノファラーさまが取り憑いてる(・・・・・・)から、大事(だいじ)(あつか)ってあげてね」

 レイダの、あまり(うやま)いの(かん)じられない紹介(しょうかい)をよそに、(おど)(くる)五百乃大角(いおのはら)


「うーつーくしさぁーあっ♪」――(まわ)るな(まわ)るな。

「――作曲(さっきょく)使用(しよう)された生成呪文(プロンプト)は……〝新居(しんきょ)〟、〝(わたし)〟、〝(うつく)しい〟の(みっ)つでス――」

 いらん。知りたくもない。


「アリーナー、げぇんきなぁいぞぉー!? みんな、こぉーんなトコでジッとして、なにやってんのぉー!? お(まつ)りだよ、お(まつ)りぃー! おどれおどれぇんっきゃっふぉーぅ、ウケケケケケッケケケケケケケー♪」

 ズムズム、ドッズン♪


 目をてんにする、喫茶店組(ぼくたち)烏天狗(ぼく)(ふく)む)。


 ズムズム、ドッズン♪

 ズムズム、ドッズン♪

 あーもう、収拾付(しゅうしゅうつ)かねぇな。


「ウケケケケケケケーッ♪」

 シシガニャン一号(いちごう)の手を取り、(おど)り出す子供一号(レイダ)


 おまえら、そんな大暴(おおあば)れしてたら、氷漬け(・・・)にされるぞ?


 と(おも)ったら、山車(だし)に積まれた荷物(にもつ)を、検分(けんぶん)(はじ)めるリオレイニアさん。

 よくみたらソレは、(きゅう)シガミー(てい)家財道具一式(かざいどうぐいっしき)だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ