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187/743

187:龍脈の棟梁(シガミー)、リオレイニアさんがあらわれた

「――ルコルたチの要望(ようぼう)はあくまで、(しん)ギルド屋舎内(おくしゃなイ)店舗(てんポ)を持つことデす――」

 そりゃそーだろー?

 そういうはなしなんだしー?


だるいなー(にゃぁー)♪」

 ごろんごろろん♪

「――コォン♪」

 ごろんごろろん♪

「――ミャァー♪」

 ごろんごろろん♪


 ははっ――なんか(たの)しくなってきた。


 ごろんごろろん♪

 ごろんごろろん♪

 ごろんごろろん♪

 ここまでだらけたやつらを、いままで見たことがない。

 まあでも、ここんとこずっと(はたら)きづめだったし――


「――――アナタたちは、こんな天気(てんき)の良い日に――(なに)をしておいでですか?」

 (つめ)たい冷気(くうき)

 やべぇ、見つかった。


   §


 (さいわ)い、子供(こども)ばかりなので――背筋(せすじ)(つめ)たい(かぜ)を、浴びせられただけで済んだ。

「――つイ先日(せんじツ)、シガミーは遠慮(えンりょ)なシに、(こオら)らされタばかりですが?――」

 うるさいよ。


「冷えた(からだ)には、ミルクティーをどーぞ♪」

 レイダがあたたかい飲み(もの)を、こぼさないよう――えらく真剣(しんけん)(はこ)んできた。

 お盆(トレー)から、取りだす手つきも慎重(しんちょう)だ。


「あ、りがとうミャ――がたがたぶるぶる!」

 がたがたと(ふる)える手で、(カップ)をうけとる猫耳娘(ニャミカ)


「カラテェー(くん)も、どーぞ♪」

ありがとう(にゃみゃー)♪」

 ルコルとニャミカには(わる)いけど、二号(シシガニャン)を着たぼくは、すこしも(さむ)くなかった。


「(あ、ちょっとまて。おれぁ、二号(シシガニャン)を着たままで、どーやって飲み食いすんだぁ?)」

「――普通(ふつウ)(くチ)ヲ付けテみてください。基本的(きほんてキ)には着たまま(・・・・)生活(せいかツ)できル(つく)りになってイます――」


 はあ? そんなの出来(でき)るわけが。

 目の(まえ)には画面(がめん)があって、(そと)が見えちゃ居るが、頑丈(がんじょう)兜頭(かぶとあたま)隙間(すきま)なんてない。

 いや――神々(かみがみ)(かんが)えが、滅法(めっぽう)詰め込まれた(ふく)だ。

 まずは、言われたとおりにやってみる。


 ぽこ♪

 ほらみろ、でかい(へっど)にぶつかるに決まってるじゃ――

 ふわぁん♪

 リオレイニアが入れてくれる、いつもの(しろ)(ちゃ)

 その(かお)りと、あたたかさを(かんじ)じるぞ?


 よくみれば、猫耳頭(シシガニャン)(くち)が開いてる。

「((くち)から文字板(いた)を取りだしたのの、()なのか?)」

 ぐっと引き寄せたら、(カップ)(ふち)兜頭(へっど)(なか)(はい)ってきた。


 なるほどな。コイツを脱がなくても、たしかに生活(せいかつ)できそう――って、そんな(わけ)にいくか。

「((トイレ)は、どーすんだ?)」

「――そレも文字板(もジばん)出荷(ロールアウト)……取りだしたときと(おな)じです。ふつうにトイレに行って、(よう)を足してくだサい――」

 んー? (しり)はどーやって、拭くんだ?


「――生活魔法(せいかつマほう)ヲ、〝みずのたま〟、〝ひのたま〟、〝つめたい魔法(まホう)〟ノ(ジゅん)使(ツか)ってくだサい。お湯であらワれて、乾燥(かンそう)されまス――」

 そりゃ練習(れんしゅう)しないと、むずかしいんじゃ?

「――問題(もんだイ)ありマせん。そのタめの機構(しくミ)が、シシガニャンには組ミ込まれてイますし、多少汚(たしょウよごれ)れテも、入浴(にゅうヨく)モードを使(つカ)えばカラダごト、綺麗(きれイ)になりますのデ――」

 入浴(にゅうよく)門戸(モード)だぁ?


 シシガニャンを着たまま風呂(ふろ)ってなぁ、どういう了見(りょうけん)だぁ?

 まったくもって、わからねぇ。

 神々(かみがみ)世界(せかい)のことは、ほとほとついて行けねぇな。


「ずずずそぉー♪」

 ひとまず(ちゃ)をすする。

 (みっ)つの生活魔法(せいかつまほう)混ぜるなら(・・・・・)……〝みひつ、ずのめ、のたた、たまい、ままほう〟――じゃ、ダメか?

 お湯が(さき)で、乾燥(かんそう)魔法(まほう)があとだから……〝お湯のたま(みひずののたつ)乾燥の魔法(たまめまたいまほう)〟になんのか?

 生活魔法の天才(リオレイニア)すら知ってるかどうか(あや)しい、これまでなかった呪文(じゅもん)(とな)えかただ。

 一長一短(いっちょういったん)には、出来(でき)ない。


「ぷふふ、カラテェー(くん)も、上手(じょうず)に飲めるんだね?」

 いま、〝も〟っていったか?

 (かた)とか(うで)とか、わさわさと撫でてくる子供(レイダ)


 きゅふぉん♪

『>〝も〟ってどういうこと?』

 文字板(いた)をテーブルに置いて(くび(ひも)(いた)紐穴(ひもあな)から、ねじり抜いたら(はず)れるようになってた)、レイダに差しだした。


「もちろんシガミーもソレを着たまま、上手(じょうず)に食べたり飲んだりしてるって意味(いみ)だ――わっ!? なにそれ便利(べんり)! リオレイニアさん、コレが有ればシガミーともお(はなし)出来(でき)るよ!?」


「あらほんとう、それいいですわねぇ。カラテェー(くん)が、お(つく)りになられたのですか?」 

 リオの手元(てもと)には、(ふた)つの(カップ)がのったお盆(トレー)


 きゅふぉん♪

『>はい。師で有る天狗に、

  ならったスキルで作りました』


 湯気(ゆげ)を立ち(のぼ)らせるカップ。

 そーっと手をのばす、ルコラコル少年(しょうねん)

 ぺちりと、はたき落とされる。


「レディ、サキラテ。か、(かお)を見せに来られなかったのには、理由(りゆう)があるコォン♪」

「……お聞き、いたしましょうか?」


   §


 きゅふぉふぉん♪

『>ルコルが渓谷で二つ首の大鷲に、

  さらわれてたのは、本当だよ』


「ふぅ、(かり)にもコントゥルに名を(つら)ねながら……(じつ)に、なさけないですね――――コトリ」

 テーブルに置かれた(カップ)に、とびつくルコル。


「カラテェー(くん)。ルコラコルを(たす)けてくれて、本当(ほんとう)にありがとう。キミには最大限(さいだいげん)感謝(かんしゃ)と、いつか相応(そうおう)のお(れい)をすることを、ココに(ちか)いますわ」

 立ち上がり、(こし)を落として片足(かたあし)を引く。

 最大限(さいだいげん)礼節(れいせつ)

 (すそ)かつかないように(ふく)をつまんだ、しゃらあしゃらした仕草(しぐさ)

 やめて、緊張(きんちょう)するから。


(にゃ)それなら(にゃみゃぁー)一つ頼みが(にゃにゃにゃ)あるんだけど(みゃにゃー)

 ニャミカ以外(いがい)三人(さんにん)が、(くび)をかしげた。

 いけない。あせって、つい猫語(こえ)(はなし)っちゃったよ。

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