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177:龍脈の棟梁(シガミー)、シシガニャン(魔物)はシガミー?

2023/01/02 0:27 ルリーロがシシガニャンについて忘れていた記述を追加

「そういや、この状況(じょうきょう)は、ちぃとばかしマズくねぇか?」

「まズい、とハ?」


天狗殿(てんぐどの)ぉー、ご無事(ぶじ)かぁぁぁぁっ――――――――――――――――ああああああああぁぁぁぁああっぁぁぁぁっ!?」


 オルコトリアを先頭(せんとう)に、衛兵(えいへい)冒険者(ぼうけんしゃ)たちの軍勢(ぐんぜい)

 あいつらは、普段(ふだん)はボケボケだが――――(かり)にも、〝魔物(まもの)(たたか)うための(まち)〟の住人(じゅうにん)だ。

 その、領主(りょうしゅ)であるコントゥル家。その名代(みょうだい)

 伯爵夫人(かのじょ)伯爵(はくしゃく)にならぶ権力(けんりょく)を、お持ちで。

 その背中(せなか)腰掛(こしか)けているのは、どこからどう見ても――――(さか)鏡餅(かがみもち)にしか見えない。


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ま、魔物(まもの)っ――――――――!?」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


 ほらみろ。この土地(とち)人間(にんげん)はシシガニャンをみると、(かなら)魔物(まもの)だと(おも)いやがる。

 ジャキジャキジャキジャキザシュザシュザシュザギィィン!

 ギュギギュギギュギギィゴガチャン――――ギラァァン、ィィィィィィィ!

 剣槍(けんやり)矢尻(やじり)鉄塊(てっかい)に、長剣(ちょうけん)聖剣切り(ヴォルトカッター)


「ま、待たれよ――――!」

 飛び出したが、(とき)すでに(おそ)しで――ぶった切る気配(けはい)が飛んできた。

 トトォォォン――――しかたねぇから、(うえ)に飛ぶ。

 鬼娘(オルコ)姫さん(リカルル)は、シシガニャンが魔物(まもの)じゃないって知ってるだろうが!


 ガムラン町最強(ちょうさいきょう)冒険者(ぼうけんしゃ)パーティー、〝聖剣切りの閃光(ヴォルトカッター)〟。

 その最強(さいきょう)()(かん)する――剣技(わざ)

 いや、技名(わざめい)(かん)してるのが、パーティー(めい)(ほう)か?

 まあ、なんでもいい。

 不可視の(みえない)切っ先(ぶったぎり)は、おれでさえ金剛力(パワーアシスト)がなかったら、簡単(かんたん)には避けられねぇ。

 つまり、相当(そうとう)ヤバイ。


「あっ、いけない! つい切ってしまいましたわぁ――――!?」

 つい、じゃねぇだろ。


「にゃぉにゅん?」

 (こま)ったような(ねこ)の鳴き(ごえ)

 立ちあがり、繰りだされる正拳突(せいけんづ)き――――ぽきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅむにょんっ♪

 面白(おもしろ)(おと)が、なんか(・・・)(はじ)いた。

 なんか(・・・)ってのはもちろん、聖剣切り(ボルトカッター)だ。


「――はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 うるせえ。

 必殺(ひっさつ)(わざ)(ふせ)がれたのも、(はじ)めてじゃねーんだから――――大口開(おおぐちあ)けてわめくな。

 お(じょう)のくせに、はしたねぇな。(れい)によってニゲルには、とても見せられない。

 やっぱり(シガミー)として生まれかわったからには、見た目ってのもすこしは良くしときてぇなと、(はじ)めて(おも)った。


「にゃんみゃにゃ、みゅぅーん♪」

 (よご)れてない手の(こう)(たた)いてから、意気揚々(いきようよう)着席(ちゃくせき)す――――ごろぉん♪


「コォォン!? なに(いま)の!? 〝狐火(きつねび)仙花(せんか)〟だけじゃなくってぇ、ひょっとしてリカルルちゃんの〝聖剣切り(ヴォルトカッター)〟まで(はじ)いたのぉっ!? どーいうことぉ――――???」

 面白(おもしろ)(おと)で気がついたのか、伯爵夫人(ルリーロ)が飛びおきた。

 そして、足下(あしもと)でジタバタする黄緑色の魔物(シシガニャン)をジッと見つめている。


「コントゥル夫人、ご無事(ぶじ)(なに)よりですが――説明(せつめい)していただけると、ありがたいのですが……」

 長剣(ちょうけん)(おさ)め、(ひざ)を折る鬼娘(オルコトリア)

 おれも、説明(せつめい)してもらいたい。

 ――――すたん。

 ひとまずは、反逆者(はんぎゃくしゃ)とか魔物扱(まものあつか)いで……追い立てられなくて、済みそうだが。


「いま、〝()〟っておっしゃいました? まさかあの〝つめたい(ほのお)高等魔術(こうとうまじゅつ)〟を喰らっても無事(ぶじ)とか……おっしゃいませんわよね?」

 口元(くちもと)を押さえ驚愕(きょうがくの)表情(ひょうじょう)を見せる、リカルル・リ・コントゥル。

 その手が、黄緑色の魔物(シシガニャン)(こぶし)をつかもうと、伸びる。

 そうだった。


「(どうやら、(さき)ほ――――ギン、ギィン!――――ドの……鬼火怪(ウィルオうィスプ)光線(・レーザー)狐火(きツねび)仙花(せンか)とイう技名(わザめい)のヨうです――」

 おう、洒落(しゃれ)てるな。

 コントゥル母娘(おやこ)(にら)まれた迅雷(ジンライ)が、途中(とちゅう)から耳栓(こえ)(はな)す。


「ちょっと、リカルルちゃぁん、だめよぉう――この子(・・・)を見つけたのわぁ、わぁたくしがぁ(さき)なんですからぁっ――――♡」

 正座(せいざ)する黄緑色(シシガニャン)の頭(・へっど)を、うやうやしくなでる妖狐(ようこ)ルリーロ。


 すると(なに)(おも)ったのか、魔物(シシガニャン)が立ち上がり、伯爵夫人(ルリーロ)(あたま)をそっと――ポキュポンと騒々(そうぞうし)しくなでた。

「はぅわわわわっ――な、(なに)を――ふにゃりん♪」

 恍惚(こうこつ)とする伯爵夫人(はくしゃくふじん)

 その(かお)は、昼日中(ひるひなか)から見せたらダメと言うか、伯爵以外(とのさんいがい)に見せたらダメじゃね?


「もう、お(わす)れになったんですのっ!? この子(・・・)は、シガミーですわよっ!」

 姫さん(リカルル)のまえで着たり脱いだり(・・・・・・・)したし、自分(じぶん)着たこともある(・・・・・・・)はずだ。

 なのに、一瞬(いっしゅん)(わす)れるんだよな。


「えっ――!? (おぼ)えてなぁい、(こわ)ぁい♪」

 伯爵夫人(ルリーロ)は、すっかり(わす)れてたっぽいし、(こえ)ぇのはコッチだぜ。

「――ルリーロにモ神域(しンいき)へ飛ばサれる直前(ちょクぜん)ニ、見られていましタね――」


 シシガニャンの(した)(ぱら)を、(もち)やうどんのようにこね(まわ)す。

 当然(とうぜん)――魔物(まもの)(ひめ)さんの(はら)をぽきゅぽん♪ と騒々(そうぞう)しくやさしくなでる。

「ちょっ――シガミーッ!? なにをなさるんですの!?」

 羞恥(しゅうち)にゆがむ(かお)。コレは……(べつ)意味(いみ)で、ニゲルには見せられねぇ。


「「きゃぁぁぁぁっ――――!?」」

 なんか人垣(ひとがき)をかき分けて、二人組(ふたりぐみ)突進(とっしんする)してきた。

「「こらっ、シガミー! なにしてるのっ!?」」

 (しろ)給仕服(きゅうじふく)と、いつもの胸当(むねあて)てだけの仕事(クエスト)着。


 きゃいきゃい、がやがや、ざわざわ、にゃにゅぉん?


「とっちらかって、きおったのう」

「――シシガニャンの行動(こウどう)にハ、〝やられたらやり(かえ)す〟とイう学習効果(がくシゅうこうか)根付(ねヅ)いたようでス――」


天狗殿(てんぐどの)、あの魔物(まもの)がシガミーというのは本当(ほんとう)なの!? (こと)次第(しだい)によっては――――!」

 鬼娘(オルコトリア)が、コッチを向いた。

 手が長剣(ちょうけん)に、添えられている。

 くそう、オルコトリアとは、天狗(てんぐ)がらみだと本当(ほんとう)にウマが合わねぇ。


「落ちつかれよっ! 露払(つゆはら)いになればと、女神(めがみ)から借り受けた〝護法(ごほう)〟を(もち)いたまでじゃっ――――!」

「――自律型(じりツがた)使役対象(しえきたいシょう)は、コの世界(せかイ)ニもゴーレム(・・・・)とイう名称(めいシょう)存在(そンざい)シ、知られていマす――」

「い、(いのち)のない……業憂無(ゴーレム)ならば、手練(てだ)れのお(ぬし)相手(あいて)にうってつけじゃと(おも)ったのじゃ……まさか(なか)に、同郷(どうきょう)(わらし)(はい)っとるとは(おも)わんじゃろうて!」


誤報(ごほう)……いや護法(まもうほう)か。それって、まえにシガミー(てい)で、イオノファラーさまが、アナタのおからだ取り出した(・・・・・)のと(おな)転移魔法(てんいまほう)?」

「そ、そうじゃ! あの女神(めがみ)には、まだ借りが有るでのぉ。お、押しつけられたら使(つか)わぬワケにもいかぬのじゃ」

 勝手(かって)に、うまいこと勘違(かんちが)いしてくれたぞ。


「ふぅん。それじゃ、(わたし)お金(ファイトマネー)は――シガミーが持ってるの?」

 四人(よにん)(かこ)まれる魔物(シシガニャン)へ、親指(おやゆび)が向けられる。


「(そういや、アレ――(ふた)を空けたらどうなる?)」

「――現在(げんざイ)モニターできテいないので、やってみないとワかりません――が十中八九(じゅっチゅうはっく)最初(さイしょ)状態(じょうタい)(モど)ルと(おモ)われまス――」

 最初(さいしょ)っていうと、また(ある)(ところ)からってことか?


「――はイ――」

 ああ、もう。どうしろというのか。


「パパパパッパパパパッパパパパパァァ――――♪」

 なんだこの御囃子(おはやし)はっ!?

 草原(そうげん)直上(ちょくじょう)(そら)(たか)(ところ)からきこえる。


 ぼぉぉぉぉぉぉぉっ――――ごぉぉうわぁっ♪

 突如(とつぜん)上空(じょうくう)にあらわれたのは、巨大(きょだい)なビードロ……画面(がめん)だった。


「その勝負(しょうぶ)、ぜぇーんぶっ! アナタの世界(せかい)のよりどころっ、美の女神(めがみ)ちゃんがぁ――――うけてたちぃまぁすぅよぉぉぉう?。」

 でた、五百乃大角(いおのはら)が。

 阿鼻叫喚(あびきょうかん)草原(そうげん)。おれも(ふく)めた全員(ぜんいん)黄緑色(シシガニャン)(ふく)む)が(こし)を抜かした。

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