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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
2:カブキーフェスタへの道

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152/744

152:龍脈の棟梁(シガミー)、モサモサ神官はフルレジスト?

やべっ(にゃっ)――!」

 切っ(さき)布鎧(モサモサ)に、ふかく(とお)った感触(かんしょく)(のこ)ってる。


蘇生薬(にゃにゃ)つかえ(みゃぁ)!」

 っていうか、どうやって飲ませりゃ?

「(患部(かんぶ)に振りかければ、機能(きのう)します。効果(こうか)半減(はんげん)しますが)」


「(じゃあ、ソレやれっ!)」

 伯爵夫人(ルリーロ)のお(たっ)しは――〝死なねぇ程度(ていど)〟だ。


「(はい。ですが、シガミー)」

 どうした? いそがねぇと蘇生薬(エリクサー)必要(ひつよう)な〝ひと呼吸(こきゅう)〟が出来(でき)なくなる。

 いくらこの内緒話(ねんわ)(ちゅう)(あた)りの(はや)さが(ゆる)やかになるからって――モタモタしてたら、モサモサが死んじまう。


「(蘇生薬(エリクサー)必要(ひつよう)ありません)」

 なんだと? どういう意味(いみ)だぁ?


 ぴぴぴぴぴっ――――♪

『▼――Unknown』『▼――Unknown』』


 ブゥォ――――ッ!

 ズォォ――――ッ!

 こんどは真横(まよこ)から、鉈剣(なた)がせまる。

 ひとりは上段(じょうだん)からの、振りおろし。

 ひとりは下段(げだん)からの、切り上げ。

 左上右下(ひだりうえみぎした)からの、(はさ)み打ち。


 チキッ♪

『【納刀自動化モード/ON】

 …………╋:左 右:╋━━━━』

 最初(さき)(はな)った右小太刀(みぎこだち)()が、(もと)にもどった。あとに放った左小太刀(ひだりこだち)は、まだ抜刀(ばっとう)したままだ。

 なるほど。読み方(よみかた)がわかったぜ!


 右小太刀(みぎこだち)自動的(ひとりで)納刀(のうとう)されている。

 ――ガッツン!

 目のまえの(・・・・・)鉈剣(なた)(した)から受けた。


 バチィバチィバチイィィィ――――ボォボォォン!

 (なん)(おと)だ、なんかが(はじ)けた。


 目のまえには5人目(モサモサ)、背後に六人目(モサモサ)

 居合(いあ)いのいきおいで、(はじ)き飛ばした一人目二人目(モサモサども)も、また鉈剣(なた)を振り上げた。


 猫耳頭(あたま)を、(つよ)(まわ)す――がちり。

 しっかりと襟回(えりまわ)りとくっ付いてるから、それ以上(いじょう)(まわ)らない。

 それでも、おれの目は〝(はじ)けた(おと)出所(でどころ)〟を(とら)えた。

 ビードロが視線(しせん)を追いかけて、うしろを見せてくれているのだ。


 見れば、鉈剣(なた)を切られた三人目(モサモサ)が、背中から(・・・・)(けむり)を立ち(のぼ)らせている。


「(なんだぁ、あの(けむり)わぁ――焙烙玉(ほうろくだま)でも(かく)し持ってやがったのか!?)」

 それに……たしかに手応(てごた)えがあったのに――ピンピンしてやがる。

「(周囲(しゅうい)可燃物(かねんぶつ)反応(はんのう)は、ありません)」


 そして、(おな)じく鉈剣(なた)を切られ、布製(ぬのせい)(よろい)(つらぬ)かれたはずの四人目(モサモサ)も――

 バチィバチィバチイィィィ――――ボォボォォン!

 布鎧(ぬのより)脇腹あたりが(・・・・・・)(はじ)けて――やっぱり(たお)れる気配(けはい)がねぇ。


「(たしかに蘇生薬(エリクサー)は、いらねぇな!)」

 どういう仕組(しく)みかはわからんが、あの〝ぼぼぼん(・・・・)〟で奴ら(モサモサ)は――おれの打突(だとつ)居合(いあい)(しの)いじまったってこった。


「(はい、そのようです。胸元(むなもと)護符(ごふ)機能(きのう)させるために、大量(たいりょう)呪符(じゅふ)体中(からだじゅう)に張りつけているのだと(おも)われます)」

 ふぉふぉん♪

 ビードロに(ちい)さな(いた)が、二枚(にまい)あらわれた。

 こりゃ、モサモサの――背中(せなか)か?

 あと、こっちは――(よこ)(ぱら)

 どっちも黒焦(くろこ)げの布鎧(ぬのよろい)が、(うつ)しだされてる。


「(護符(ごふ)はわかる。(ひめ)さんがくれた〝死なねぇ(ひも)〟と(おな)じだろ?)」

 (いのち)肩代(かたが)わりも鎧代(よろいが)わりも恩恵(おんけい)の差こそあれ、(おな)種類(しゅるい)のもんだ。

 (いのち)なり(よろい)鉄板(てっぱん)なりが、一個(いっこ)ふえるわけだからな。


「(シガミー!)」

 ――――シュッカァァンッ!

 五人目(モサモサ)(さや)(あず)け――抜刀(ばっとう)

 振りかえりざまに姿勢(しせい)(ひく)くし、六人目(モサモサ)(あし)を切り飛ばす。


 フォァァァァァッ――――六人目(モサモサ)首元(くびもと)護符(ごふ)(ひか)った。

 全然(まるで)効いてねぇけど、一瞬(いっしゅん)立ち止まったぞ。


 チキッ♪

『【納刀自動化モード/ON】

 ━━━━╋:左 右:╋…………』

 二人目(モサモサ)左鞘(ひだりさや)逆手(さかて))で受け――ガッツン!

 そのまま一人目(ひとりめ)を――――シュッカ、カッツンッ!


 袈裟斬(けさぎ)りにしたつもりが、すげぇ(いきおい)いでさがられて――鉈剣(なた)(さき)しか切れなかった。

 くそっ、もう〝(なみ)のうごき〟で対策(たいさく)された。


 バチイィィ――――ボォン!

 踏みこみが(あま)かったからか、六人目(モサモサ)からは(ちい)さな(けむり)が上がった。

 三人目四人目(モサモサども)が引っこんで、七人目八人目(モサモサども)があらわれる。


 チキッ♪

『【納刀自動化モード/ON】

 …………╋:左 右:╋━━━━』


 体勢(たいせい)をととのえられるまえに、六人目(モサモサ)(さや)(つよ)く突く!

 ごっつん――――ずどどどどずむ♪

 ふっとぶ、六人目(モサモサ)

 モサモサの陣形(じんけい)風穴(かざあな)をあけられた、と(おも)ったけど――――モサササスサササァ。

 衣擦(きぬず)れの(おと)をたてて、あたらしいモサモサで埋め尽くされた。


 チキッ♪

『【納刀自動化モード/ON】

 ━━━━╋:左 右:╋…………』

 八人目(モサモサ)(さや)で受け、七人目(モサモサ)をたたき切る。

 よし、鉈剣(なた)を切ってやった!


 チキッ♪

『【納刀自動化モード/ON】

 …………╋:左 右:╋━━━━』

 二人目(モサモサ)の突きを(さや)(はじ)き、引いた小太刀(こだち)八人目(モサモサ)を突く。

 手元(てもと)(つよ)く切りつけたら――ガシャン!

 ひるむ素振(そぶ)りは、まったく見えない。けど鉈剣(なた)を落としたぞ。

 (ひろ)いにきたら、蹴りとばしてや――――モサモサスササァー。


 モサモサの陣形(なみ)が引いていく――「来ねえ(ふぎゃーっ)!」

 引き潮(モサモサ)を追いかける――ぽきゅっ♪


 ブォォォォォン――――振るわれる鉈剣(なた)

 こいつわぁ、何人目(ねんにんめ)だったか。

個体識別(こたいしきべつ)意味(いみ)はありませんが、一人目(ひとりめ)です」


 ヒュォォォォン――――ッ!

「(じゃ、となりは二人目(ふたりめ)か?)」

「(いいえ、五人目(ごにんめ)です)」

 なかなか、うまくいかねぇ。

 ほんとうなら、押しよせる(なみ)(たい)して、(たて)(ほこ)(みだ)れ打ち――

 攻防(こうぼう)一体(いったい)華麗(かれい)な舞いをおみまいしてやる、つもりだったんだがなぁ!


 チキッ♪

『【納刀自動化モード/ON】

 ━━━━╋:左 右:╋━━━━』

 一人目(ひとりめ)を――ガッツン!

 五人目(ごにんめ)も――ゴッツン!


 ぴぴぴっ――♪

『▼――二人目』

 真うしろから振りおろされた鉈剣(なた)

 アレ喰らったら、この(ふく)は裂けるか?

「いいえ。多少(たしょう)衝撃(しょうげき)(かん)じるかもしれませんが――」


 ならば――「こうだっ!」

 うしろ(あし)を振り上げた。

 ぽっきゅむん――――ドゴッガァァァァンッ♪

 面白(おもしろ)(おと)――ふっとぶ『▼――二人目』と、その背後(はいご)陣取(じんど)ってたモサモサたち。

 なんだよ、鉈剣(なた)ごと蹴り飛ばした(ほう)簡単(かんたん)だぜ。

 (たお)せはしねぇけど――――空いた隙間(すきま)がスグ、モサモサで埋まる。


 上体(じょうたい)を下げた(いきお)いで――――一人目五人目(モサモサども)から抜刀(ばっとう)する。

 くるるん、ごろりっ――――シュッカ、シュッカァァァァァァンッ――――ゴッゴゴンッ!

 まえにとんぼを切り、小太刀(こだち)(たた)きつける。

 切っ(さき)(とお)らないが、二人(ふたり)とも(たお)れた。

 体勢(たいせい)(くず)しただけでも――――いくさ場では命取(いのちと)りだ。


うぉぉぉぉぉぉぉぉ(うみゃぁぁぁぁぁぁ)りゃぁぁっぁぁぁぁっ(ふっぎゃぁぁぁぁぁっ)!」

 抜き身の小太刀(こだち)で、チカラ一杯切(いっぱいき)りつけた。


 ゴッゴォン――バキャゴキャッ!

 また石床(いしゆか)が割れた。

 もういい、あとでまとめて(なお)す。


 フォァァァァァッ――――一人目五人目(モサモサども)首元(くびもと)護符(ごふ)(ひか)った。

 バチィバチィバチイィィィ――――ボォボォォン!

 切りつけた(ところ)全然別(ぜんぜんべつ)のところが、はじけ飛んだ。


 むくり――起き上がるモサモサども――全然(まるで)効いてねぇ。


 チキッ♪

『【納刀自動化モード/ON】

 ━━━━╋:左 右:╋━━━━』

 効果(こうか)はなくても、真っ正面(しょうめん)から切りつけ(つづ)けてたら、すこし(ひる)んだ気がする。

 そりゃそーだ。おれだって(ぎゃく)立場(たちば)だったら、とっくに逃げ出してるぜ。

 ましてや、この神官(モサモサ)どもは、〝(まも)り〟に重き(・・)を置いている。


 ぴたり――押しよせていた(なみ)が、とまった。

ふぅーっ(ふぎゃー)!」

 (おも)ったほどは、呪符(ぬの)(かず)を減らせなかった。


 このままじゃ、時間(じかん)がかかる。

 (ひめ)さんたちも気になるし。


 あの呪符(じゅふ)打突(だとう)斬撃(ざんげき)から、〝護符(ごふ)(まも)る〟ってんなら――――「ひのたま!」

 ぼぉわぁっ♪

 強い服(シシガニヤン)ごしでも武器(ぶき)の出し入れが出来(でき)てるってことは、とうぜん魔法(まほう)もつかえる。

 つかえる(もの)は、なんでもつかう。

 つかわないと、いくさ場では死ぬのだ。


 金剛力(うで)(ちから)(おも)いっきり、生活魔法(せいかつまほう)を投げ飛ばした。

 ぼっわぁぁー――十一人目(モサモサ)にぶち当たる。

 呪符(じゅふ)一枚(いちまい)も燃えること無く、ひのたまを(はじ)いた。


「(魔法(まほう)はダメか)」

 カタナを切られた(モサモサ)や、あちこち焦げた(モサモサ)なんかが、うしろにさがっていく。


「(ひとまずは、錫杖(しゃくじょう)小太刀(こだち)による物理攻撃(ぶつりこうげき)をつづけるしか無いようです。それとも(たたか)いながら、有効(ゆうこう)上級魔術(じょうきゅうまじゅつ)スキルがでるまで、(かた)(ぱし)から収得(しゅうとく)してみますか?)」


「(いや、それもなんかイカサマみてぇだからやめとく)」

 モサモサを(しの)ぐだけなら、小太刀(カタナ)を振りつづけてりゃ、良いし。


 なによりあの、呪符(しゅふ)をつかった……往生際(おうじょうぎわ)(わり)ぃ〝(まも)り〟にわぁ、なんだか負けたくなかった。

 それは、たとえ連中(れんちゅう)至善(しぜん)集団(しゅうだん)だとしても、関係(かんけい)ない(たぐ)いのものだ。


「(わかりました、シガミー。それでは正々堂々(せいせいどうどう)攻略法(こうりゃくほう)を、(さぐ)りましょう)」

 ……お(まえ)がいるだけで、相当(そうとう)イカサマだけどなー。

焙烙玉/導火線に火をつけ投げる兵器。火薬の性能が低いため、焼夷弾的な使い方もされた。

至善/これ以上ないほどの善。理想的な道徳を実現した状態。

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