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150:龍脈の棟梁(シガミー)、VSモサモサ神官

「来る――――!」

 モサモサがモサモサァしながら、(おお)きく踏みこんできた!


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「――キャッツ、ニュー、ワールドぉ、ヘェイ♪♪」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 うるっせえ!


「――ぎゃははははははははははははははははっ、なにそれぇっ、ひょっとして(うら)ぁ!? ゲラゲラゲーラゲラ、ウケケケケケケケケッ()――」

「(だまれ妖怪(ようかい)。ありゃ、おまえの(うた)だろーがっ!」


 錫杖(しゃくじょう)を突き込む!

 モサスササササァァ――――一斉(いっせい)にさがられ、攻撃(こうげき)(とど)かねぇ。


 ――――ぉんぉんぉぉんぉおぉんっ!

 数十人(すうじゅうにん)から(はっせ)せられた歌声(こえ)が、いつまでも残響する(のこる)


 このモサモサが神官(しんかん)ってぇんなら、前世(ぜんせ)のおれと、ご同業(どうぎょう)だ。

 このとんちきな歌声(うた)わぁ、〝呪言(じゅごん)〟かもしれねぇ。

 そのど真ん(なか)に、いつまでも居るのはまずい。


「――あたくしさまの(うた)ぁ!? こんな(へん)(うた)、聞いたことも無いわっよ!?()――」


「――イオノファラー、こノ楽曲(がっキょく)はイオノふァラーの所持(しょジ)すル楽曲(がっきょク)参考(さんコう)ニ、自動生成(じどウせいせい)したものデ()――」

 ガムラン(こう)のお披露目(ひろめ)に、小太刀(かたな)(つく)ったときの御囃子(おはやし)なのは間違(まちが)いねぇ。

 こんな、ふざけた(うた)わぁ――五百乃大角(いおのはら)がらみに決まってる。


 錫杖(しゃくじょう)を突っ込む!

 モサスササササァァ――――また一斉(いっせい)にさがられ、攻撃(こうげき)(とど)かねぇ。

 引き(なみ)にあわせて、踏み込む――ぽきゅ♪


 全力(ぜんりょく)をだすと、隊列(モサモサ)の向こうに連れてかれちまった、リカルルたちに当たりかねねぇ。

 相当加減(そうとうかげん)しねぇと――ぽきゅん♪


 よし、張りついた。

 (やつ)らの(うた)が止まり、目のまえには(てき)

 モサモサの(ぬの)には、読めねぇ文字(もじ)が書いてあった。

 こりゃ、タダの(ぬの)じゃねぇぞ?


 錫杖(しゃくじょう)を――突っ――込む!

 モサ――ササァッ――(ねら)った(てき)のカラダが、(とお)のいていく。


 (みぎ)に居るモサモサから、背中(せなか)を引っ張られてる!?

 あの(なた)みたいな(けん)を、(かた)まで引いてたのは――コレをするためか!


「(投げるぞっ! 一秒(いちびょう)!)」

 一秒(いちびょう)ってのは、投げた錫杖(しゃくじょう)手元(てもど)回収される(もどる)までの時間(じかん)だ。

 はやく(もど)せば、とおくまで(とど)かなくなるから、(ひめ)さんたちに当たることも無いだろ。

 ぎゅりっ――錫杖(しゃくじょう)(かる)めに投げ……


「――あーあぁっ、演算単位(えんざんたんい)っのぉー明細(めいさい)にー、そぉんなっ項目(こうもく)がっあったぁ気もぉすっるっわねぇ()!――」

 おい、やめろっ。

 ()頓狂(とんきょう)(こえ)を、だすんじゃねぇー!!!


 〝(はな)()〟をまちがえた、ジンライ鋼製の錫杖(ぼう)が――――がぎゅごごっん!

 敷きつめられた綺麗(きれい)石床(いしゆか)を割って、突き刺さった!


 一秒(いちびょう)たったが、突き刺さった錫杖(しゃくじょう)は、そのまま。

 手元(てもと)にある場合(ばあい)は、回収(かいしゅう)されないらしい。


やべぇ(にゃ)突き刺さっちまった(にゃみゃにゃにゃー)

 ずぼりと引っこ抜く。


 ――――――――――――!?

 (やつ)らが(いき)をのむ(おと)が聞こえた。

 距離(きょり)をとり(ふたた)綺麗(きれいな)な弧を(えが)く、モサモサの陣形(じんけい)


 石床(いしゆか)は見るも無惨(むざん)に割れ、おおきく亀裂(きれつ)(はい)ってる。


 綺麗(きれい)(もの)は、ただの(いし)でも値がはるのが世の(つね)で――やべぇ!

「――シガミー、ココの床材(ゆかざい)につなぎ目は有りません――」

 そして(おお)きな(もの)も、値がはるに決まってる。


 よしスグ(なお)せ、いま(なお)せ!


「――修復(しゅうふく)する対象(たいしょう)一時的(いちじてき)格納(かくのう)する(さい)に、数秒(すうびょう)時間(じかん)必要(ひつよう)になります。それと、念話(ねんわ)使用(しよう)許可(きょか)してください。戦闘速度(せんとうそくど)支障(ししょう)(しょう)じています――」


「(言ってる()(なお)せ! それと、狐耳族(リカルル)たちの姿(すがた)は見えねぇ――存分(ぞんぶん)念話(ねんわ)もつかえ!)――おらぁ(にゃっ)来やがれ(ふぎゃー)!」

 錫杖(しゃくじょう)を、ひゅひゅひゅひゅひゅんっ――くるくる、ぱしん♪

 おもいきり振りまわすと、カラダが浮いちまうから加減(かげん)がむずかしい。


 威嚇(いかく)になれば良い――――じゃりぃぃぃぃん♪

 モサスササササァァ――――さがる陣形(なみ)


 ヴッ――――ヒュパパァァッ!

 きらめく床面(ゆか)(おお)きな亀裂(きれつ)が、ふた呼吸(こきゅう)(もと)どおりになる。

 (ひかり)格子(こうし)(おどろ)いたモサモサが、さらに距離(きょり)をひろげ――陣形(じんけい)隙間(すきま)ができた。


 ぴ、ぴ♪

 『▼――リカルル・リ・コントゥル』

 『▼――ラウラル・ジーン・コントゥル』

 二人(ふたり)一緒(いっしょ)に居るな――いつの間にか大扉(おおとびら)の向こうに連れてかれてたけど、かえって好都合(こうつごう)だ。

 巻きこむ心配(しんぱい)が、完全(かんぜん)になくなった。


 ふぉふぉん♪

『イオノ>ルリ-ロちゃんと協議の結果、ソコに居る全員、死なない程度に殲滅してかまわないことになりました♪』

 五百乃大角(いおのはら)がそんなことを、ビードロに書いて寄こした。


「(どう(おも)迅雷(ジンライ)?)」

「(蘇生薬(エリクサー)在庫(ざいこ)もありますので――ご存分(ぞんぶん)())」


 きゅぽぽきゅむ――――くるくるくるくるるるっ、じゃりりりりっりりんっ♪

 まばたきよりも刹那(せつな)


 一瞬(いっしゅん)()

 (やは)すぎて(ねら)いを(さだ)めるのに、錫杖(しゃくじょう)五回(ごかいも)回転(かいてん)させなきゃならなかった。


 〝猪蟹屋ん(シシガニヤン)〟の(あし)は〝(はや)さ〟を足す(・・)のも引く(・・)のも、お手のもので。

 このなめらかな石敷(いしじき)(ゆか)(うえ)なら――分け身の(じゅつ)すらつかえそうだ。


 ごっ――――――!?

 モサモサの(よこ)(ぱら)に、錫杖(しゃくじょう)がめり込む。


 モサモサが――こっちを向き、(なた)を振るう。

 あれ? まるで効いてねぇ?

 そこそこのチカラで、(はな)ったんだが?

 きゅっ♪

 紙一重(かみひとえ)で避け、もう一度(いちど)――いや、もう三度(さんど)――錫杖(こいつ)をたたき込む。


 きゅ――ごつん♪

 死角(しかく)(まわ)り、背中(せなか)一撃(いちげき)

 ぽきゅ――ごつん♪

 次いで膝裏(ひざうら)を突いて、姿勢(しせい)(くず)した。

 ぽゅききゅ――ごつんっ♪

 最後(さいご)に、降りてきたうしろ(あたま)に――かなり全力(ぜんりょく)で。


 なのに――よろめいただけで、やっぱり効いてない。

「(どういうこったぁ、迅雷(ジンライ)!?)」


 ふぉん♪

『>胸元の護符による防壁と思われます』

 この世界(せかい)のお(まも)りは、やたらと御利益(ごりやく)があるぜ。


 (なた)を振りあげるモサモサを、蹴り飛ばし――包囲陣形(かこみ)から抜ける。


 ぴぴぴぴぴっ♪

『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』

『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』

『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』

『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』

『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』

『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』

『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』

『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』

『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』

『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』『▼――Unknown』


 わらわらとすべるように、おしよせる(なみ)

 目のまえのモサモサに(あし)を止めると、一番(いちばん)とおくのモサモサが背後(はいご)を取ろうと猛然(もうぜん)(はし)りだす。


「(なんだか、やりづれぇなぁ?)」

「(はい。確立(かくりつ)された戦術(せんじゅつ)(のっと)った行動(こうどう)のようで())」

 じゃあ、お(つぎ)は――一番(いちばん)とおくの(やつ)に、錫杖(しゃくじょう)を投げつけた。

 避けられた錫杖(ぼう)が――がらんっ――すぽん♪

 (ゆか)(ころ)がり格納(かくのう)された。


「(この〝極所作業用きょくしょさぎょうよう汎用強化服(はんようきょうかふく)〟を着用中(ちゃくようちゅう)ならロックオン……(ねらい)いを(さだ)めれば(かなら)命中(めいちゅう)させることも可能(かのう)ですが())」

「(そんなことも、できんのか。けど、いまはいらねぇ)」

 ヴヴッ――♪


 ぱし、ぱしん!

 両手(りょうてに)小太刀(こだち)を取り出した。

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