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149:龍脈の棟梁(シガミー)、央都なにそれおいしーの?

 女神像(めがみぞう)数段(すうだん)(たか)位置(いち)にあるから――あたりの様子(ようす)は、よく見えた。

 まえには伯爵(との)さんと(ひめ)さん。


 その向こうには、隊列(たいれつ)を組む――モサモサ連中(れんちゅう)がいる。

 ありゃ、革鎧(かわよろい)のつもりか?

 ペラペラの(ぬの)隙間なく(ビッシリと)張りつけられ――まるでそういう生きもの――蓑虫(みのむし)みたいだった。


「――んぁ?」

 背後(はいご)を振りかえる――ぽきゅり♪

 〝猪蟹屋ん(シシガニヤン)〟という金剛力(こんごうりき)使(つか)えるこの()は、あるいたり(なぐ)ったりすると、面白(おもしろ)(おと)が出る。


「――シガみー、五時(ごジ)七時(しチじ)……(たツみ)・坤(ひつジさる)方向(ほうこウ)かラも来ていマ()――」

 (ふく)のうしろ(くび)に差し込まれた迅雷(ジンライ)が、(はな)しかけてきた。

「(――わかってる。女神像(めがみぞう)の、うしろにも居るぞ)」

 コレだけ(しず)かな場所(ばしょ)で、ここまで近寄(ちかよ)られれば、気配(けはい)(かん)じとることはたやすい。

 出来(でき)なけりゃ、いくさ場では死ぬ。


 猫耳頭(あたまぼうぐ)異様(いよう)(おお)きくて――その内側(うちがわ)がすべて光の板(ビードロ)(だい))で(おお)われている。

 ソコには(そと)景色(けしき)だけじゃなく、いろいろな文字(もじ)図案(ずあん)(うつ)しだされていた。


 ぴぴぴぴぴっ♪

『▼――Unknown』『▼――Unknown』

 そのなかでも、ひときわ便利(べんり)なのが、この『動く物を見え(モーション)る化する窓(なんたら)』だ。


 ビードロ(すみ)(ちい)さな地図(ちず)

 女神像(めがみぞう)のうしろに(まわ)った二人(てき)位置(いち)が、『(さんかく)』で(しめ)されている。


「(コイツらは(なん)だ?)」

 (いし)出来(でき)(そう)を透かして、〝モサモサした輪郭(りんかく)〟がみえた。

 モサモサどもは、こっちの様子(ようす)をうかがっている。


 いくら気配(けはい)をかんじることが出来(でき)ても、〝(いし)に隠れた人影(ひとかげ)見ること(・・・・)〟は普通(ふつう)出来(でき)ない。

 そして〝気配(けはい)(とど)かないほど、とおくの(てき)位置(いち)を知ること〟も出来(でき)るから――迅雷(ジンライ)が居れば、(てき)先手(せんて)を取られることはまずなかった。


「――わかりまセんが(くビ)にサげた護符(アミュレッと)ハ、イオノファラー(きょウ)使(つか)われテいる(もノ)()――」

 そして迅雷(ジンライ)は、おれと(あたま)(なか)内緒話(はなし)出来(でき)た。

 本当(ほんとう)念話(ねんわ)っていう、あたりの時間(じかん)(おそ)くなるほどの高速(はやさ)会話(かいわ)出来(でき)るんだが、いまは使(つか)ってない。


 ふぉん♪

『>女神像#778とのライブラリ共有のためには、

  女神像#1のアップデートが必要になります

  未適用のアップデートは513438個です』


 ビードロに出るこの文字(もじ)は、迅雷(ジンライ)五百乃大角(かみさん)がだしてる。

 コレを使(つか)って会話(かいわ)出来(でき)るが、大抵(たいてい)は〝神々(かみがみ)のチカラ〟を使(つか)うための〝手順(てじゅん)〟なんかを知らせてくる。

 意味(いみ)正直(しょうじき)、さっぱりわからん。


 〝神々(かみがみ)のチカラ〟は〝スキル〟という、〝この世界(せかい)(ことわり)〟とは()存在(そんざい)している。

 〝宛鋳符悪党(アーティファクト)〟……いにしえから存在(そんざい)する発掘(はっくつ)魔法具(まほうぐ)とか、女神像(めがみぞう)とかがソレだ。


「――あー、すっごい溜まってる。よーし、いそいで女神像(めがみぞう)のアップデートおー済ませちゃいましょうかぁねぇ()――」

 ()頓狂(とんきょう)(こえ)を出す、美の女神(いおのはら)

 (かみ)と言われても(うたが)わない程度(ていど)には(うつく)しかったんだが、御神体(ごしんたい)逆さ鏡餅(・・・・)みたいな(からだ)になって――なんというか――かわいらしい姿(すがた)になった。


 美の女神(めがみ)実体(じったい)は、目を(うたが)うほどの大食(おおぐ)らい。

 そのせいか、ほんのすこし(した)(ぱら)が出てた。

 まるで妖怪(ようかい)のような(わら)(ごえ)に、酔っぱらいのような無軌道(むきどう)言動(げんどう)

 それでも、おれをこの来世(らいせ)に生まれかわらせた――大恩神(だいおんじん)だ。


 覆われる視界(ビードロ)(なか)

 和菓子(わがし)みたいにつぶれた物の形(あいこん)を、引っかきまわし(はじ)める――梅干し(いおのはら)平たい奴(かーそる)

 いま、五百乃大角(いおのはら)御神体(からだ)は、最辺境(さいへんきょう)のガムラン(ちょう)にある。

 迅雷(ジンライ)収納魔法(しゅうのうまほう)(なか)を、分け身(ぶんしん)である(ひら)たい姿(すがた)なら自由(じゆう)に行き来できるとかで――いまは、ココとガムラン(ちょう)二カ所(にかしょ)に居る。


「(おい、なんかすんのは――待て)」

 まずは向こうの、出方(でかた)を見てからだ。


「いったい、どういうことですのぉー?」

 父上(とのさん)(ちか)づくリカルルが、豪奢(ごうしゃ)(けん)位置(いち)を――背中側(せなかがわ)に寄せた。

 ありゃ、脇差し(かたな)が振れねえくれぇの(ちか)さで――抜く(・・)(とき)のしぐさだ。


まて(にゃ)姫さん(みゃーご)――にゃぁぁ!」

 ココは言ってみりゃ〝総本山(そうほんざん)〟だ。

 (けん)を抜いたらまずいっ!

 まわりのモサモサに死人(しにん)が出たら、相当(そうとう)やべぇことになる。


 ぴぴぴぴぴっ♪

『▼))))』『((((▼』

 (うご)きだしたうしろの連中(れんちゅう)も気になるけど、しかたねぇ――――ぽきゅぽきゅぽきゅ♪


「あっバカシガミー! (なに)やってんのぉぉぉぉ――――!?」

 五百乃大角(いおのはら)の、間のぬけた怒声(どせい)

 きゅっぽぉぉぉぉんっ♪

 (とどろ)いたのは、気のぬけた(おと)……あっ、おれの尻尾(しっぽ)が抜けたのか!?


 ――――――――――――――――――バッヂンッ!!!!!!!!

 なにかが寸断(すんだん)され――――――シュュュュコォォォォォォォォォォォンン♪

 あたりが残響(ざんきょう)(つつ)まれ――すこし薄暗(うすくら)くなった。


 ふぉぉぉっぉん♪

『FATS>AOSのアップデートに失敗しました

     >メンテナンスサービスに連絡するか、

      FATSシステムを再起動してください』


 (なん)か出た。(あか)くチカチカしてて、すげぇ不気味(ぶきみ)だ。


「ああもう、だからまてっていったのに!」

「はっぁぁぁぁぁぁぁぁっ――――――――――――!? 女神像端子(めがみぞうたんし)を引っこ抜いちゃったのわぁ、シガミーでしょぉー!?」


 わさわさわさわさ。

 モサモサの(ぬの)人間(にんげん)(かす)かな(おと)を立てて、そーっと(ちか)づいてくる。


「ちょっと、お(とお)さま――どーいうことなんですのぉー!?」

 わめく(ひめ)さん。

 つかみかかられた伯爵(とのさん)が、「ぐぇぇぇ、や、やめなさい」と(あえ)いでる。


 シャキィィン――――シャキシャキシャキィン♪

 抜刀(ばっとう)()をすすめる――包囲(ほうい)の輪。


 カハァ――――!

 (くち)をひらく――モサモサども。


 なんかの呪文(じゅもん)が来る――――「迅雷(みゃ)どうす(にゃぁ)――!?」


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「――こねこがいっぴき♪」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 なんだっ!? ――――ひょっとして……(うた)かっ!?

 (ひく)(こえ)(はな)たれた合唱(がっしょう)は――とてもうるさかった。


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「――キャッツ、ニュー、ワールドぉ、ヘェイ♪♪」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 こいつぁ、まえに迅雷(ジンライ)五百乃大角(いおのはら)(こえ)(うた)った御囃子(おはやし)だ。

 おい、五百乃大角(いおのはら)どうなってんだ!


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「――こねこがいっぴき♪」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 まるで(ゆみ)を引くように――一斉(いっせい)に、肩口(かたぐち)まで引きしぼられる、(なた)みたいな(けん)

 切っ(さき)が無い(うえ)に、はじめから引いた(けん)では――どうしたって防御(まもり)がおろそかになる。

 やつら、すげぇふざけてるけど――捨て身だ。


 ちっつ、しかたねぇ!

だすぞ(にゃー)迅雷(みゃー)! 仕込みは(ふぎゃ)無しだ(みゃにゃー)――にゃぁ!」

 ヴッ――――じゃりぃぃん♪


 くるくるくるるんっ――――ぱしりっ♪

 錫杖(しゃくじょう)(かま)えた――――じゃりんっ♪

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