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146:龍脈の棟梁(シガミー)、迅雷フッカツ?

「――リカルルちゃんさぁ、ガムラン(ちょう)……コントゥル(りょう)のマナー教育(きょういく)って、どんな(かん)じなのぉ?――」

 梅干(うめぼ)しさまが、そんな余計(よけい)なことを言いだす。


「そうですわねぇー。基本的(きほんてき)には各家(かくいえ)長年雇(ながねんつか)われている、教育係(きょういくがかり)執事長(しつじちょう)給仕長(メイドちょう)が、幼少(ようしょう)(ころ)から(おし)え込みますわね――けっこうな(きび)しさで……ふぅぅぅぅうぅ~」

 姫さん(リカルル)の目が(ほそ)められる。


「じゃぁ、リオから(おそ)わって、〝しゃらあしゃらしたの〟が出来(でき)るようになったんだ――なぅわぉー!?」

 女神像(めがみぞう)土台(どだい)(こし)をおろした――ら、重心すわりがわるくて、うしろにひっくり(かえ)った。

 そうだった、(ひざ)のしたを伸ばしたままだったっけ。


「(迅雷(ジンライ)(あし)(なが)さを(もど)せるか?)」

 ふぉふぉん♪

『>足の長さ:変えられます

 >初期値に戻しますか? Y/N』


 返事(へんじ)はしないけど、こうして簡単(かんたん)(たの)(ごと)は、ちゃんと聞いてくれる。


「(〝初期値(こいつ)〟は、〝(もと)(もど)す〟って意味(いみ)だったよな……やってくれ)」

 きゅきゅ、きゅぅぅぅぅーぃん♪


 ふぉん♪

『>膝下のリフトアップを、解除しました』

 ぽきゅ、ぽきゅむ♪

 土台(どだい)の真ん(なか)におどりでる。 


「よぉいしょぉぉぉぉ-っ!」

 ぽきゅきゅむん――♪

 (かたち)土俵(どひょう)みたいに見えなくもないので、四股(しこ)を踏んでみた。

 どずずむぅん!


 チカラは込めてねぇけど、けっこう揺れちまった。

 この菱形(ひしがた)(はこ)宛鋳符悪党(ア-ティファクト)だから、(こわ)れることは無いけど――


「ちょっと、(こわ)さないでよ!? それわぁ、一個(いっこ)しかぁないんでぇすぅかぁらぁぬぇぇぇっ――?」

「(一個(いっこ)だぁ? あ、こりゃ――酢蛸(すだぁこ)か?)」

 (おお)きさが全然(ぜんぜん)ちがうけど――天狗装束(てんぐしょうぞく)(つく)ったり、裏天狗(うらてんぐ)(あや)るのに必要(ひつよう)(はこ)だ。

 (おお)きさが変えられる、〝絵で板(えでぃたぁ)〟てぇのを使(つか)ったんだな。

 迅雷(ジンライ)が伸びるみたいに、限界(げんかい)はあるはずなんだが、酢蛸(コイツ)は――おれや御神体(ごしんたい)五百乃大角(いおのはら)(もと)立端(たっぱ)を、越えて大きく(・・・・・・)出来(でき)るらしい。


 ぱん、ぱぁん!

 柏手(かしわで)を打って――「土俵入(どひょうい)りでぇぇいぃ♪」

 金糸(きんし)のような(かみ)が舞い、(すず)()のような覇気(はき)のない(こえ)(とどろ)かない。

 それでも――気合(きあ)いが入った。


「マナーとわ――?」

淑女(しゅくじょ)とは――?」

 ビードロの(なか)(そと)から、ため(いき)がもれる。


 やべぇ、(たの)しくなってきた。

 ぎゅっ――(しろ)迅雷(ジンライ)式隠(しきかく)(みの)(つく)りおき)を取りだして、鉢巻(はちま)きがわりに(あたま)に巻いた。


 大工仕事(でぇーくしごと)に、ニゲル語はねぇやな!

 ココにお(きゃく)は居ねぇから、かまわねぇーだろぅ?


「さぁー、(なに)をすりゃ良いってんだぁー? (なん)でも言ってくれやぁ、べらぼうめぃっ!」

 てやんでぇ――――ぃ!


「――リカルルちゃん、その猫耳頭(ねこみみあたま)、閉じちゃってくれるー?――」

「わっかりぃましたわぁー♪」

 いつの間にか、となりに立ってた伯爵令嬢(はくしゃくれいじょう)背後(はいご)(まわ)られた。


 ふぉん♪

『▼――ピピピッ♪』

 ビードロの〝気配(うごき)を見るしくみ〟が――おせぇ。


 ギューッ――ばくん♪


 ぷぴぽぽーん♪

「ハッチ閉鎖(へいさ)確認(かくにん)、ハッチ閉鎖(へいさ)確認(かくにん)――気密保持開始(きみつほじかいし)します」

 五百乃大角(いおのはら)(こえ)一瞬(いっしゅん)暗闇(くらやみ)――――ヴュパパパパッ!

 冒険者(ぼうけんしゃ)カードと(おな)紋章(もんしょう)が、ビードロに映し出され――チチチピピッ♪。


 小鳥(ことり)の鳴き(ごえ)がして――「「うふふ、かわいいぃ」」――(そと)(おと)が、よく聞こえるようになった。


「こりゃやべぇ――にゃ。迅雷(ジンライ)手助(てだす)けに慣れちまうと、自分(てめぇ)気配(けはい)(かん)じとるのが下手(へた)になりやがる――にゃ♪」


「こっちの(ほう)が――語尾(ごび)がかわいくて、(いさ)ましさが緩和(かんわ)されますわぁ♪」

「――そぉーねぇ♪ シガミーは当分(とうぶん)猫耳頭(それ)装備(そうび)しておくようにっ♡――」


「わかった――にゃ」

 なんでもいい。いまは迅雷(ジンライ)を、どーにかするのが(さき)だ。


「うふふふふふふふふぅ――♡」

 だから、(はら)執拗(しつよう)になでるなってんだ――にゃ。


   §


 よっと!

 ドズズズズズズズズゥゥン!


 土台(すだぁこ)の真ん(なか)、すこし段差(だんさ)をつけた(うえ)

 御神体(ごしんたい)そっくりの――巨大(きょだい)五百乃大角(いおのはら)を置いた。


「コレが、この神域(しんいき)統括(とうかつ)する――女神像(めがみぞう)ですのっ?」

 とても〝()〟の女神(めがみ)には、見えない。

 上下逆(じょうげぎゃく)にした鏡餅(かがみもち)そっくりな、姿形(すがた)

 多少(たしょう)手直(てなおし)しはしたけど大体(だいたい)は、うちにある五百乃大角(いおのはら)御神体(ごしんたい)さまと、そっくり(おな)じだ。

 まえに御神体(ごしんたい)(つく)ったときの姿形(すがた)を、取りだして使(つか)えたから、時間(じかん)はかかっていない。


「――と、とってもかわいらしいですわねぇー♪」

 ちょうど目の(たか)さが、(した)(ぱら)のあたりで――やっぱり執拗(しつよう)になで(はじ)めた。

 お貴族(きぞく)さまの、(こころ)琴線(きんせん)に触れてるんだろうが、下々(しもじも)(おれ)には皆目(かいもく)わからん。


「あとは、この〝神力結晶(しんりょくけっしょう)〟をオデコの(あな)にはめ込めば――にゃ――ぽきゅむ♪」

 鏡餅(めがみぞう)大きい方(あたま)に取りつき、手に(おさ)まる程度(ていど)の、キラキラした小石(こいし)をつよく押しこんだ――――かちり♪


 ふぉん♪

『>女神像端末#3313を検出』

 ふぉふぉぉん♪

『>女神像端末#3313

  名称未設定ワールド領域内エリア統括データベース、

  ならびに事象ライブラリ構築を開始します。

  使用可能まで 11:59:59』


 なんか出た。十二時間(じゅうにじかん)かかるってのはわかる。

「―――ぬぅぅぅぅぅ!? ワールド(めい)すら設定(せってい)してないとわ、やってくれるわね、あのバカ(あに)めぇぇっ!――」

 憤慨(ふんがい)する御神体いおのはら


「――シガミー、女神像(めがみぞう)背中向(せなかむ)けてぇくれるぅぅー?――」

 おやすいご(よう)だ――にゃ。


「あら、しっぽ? 尻尾(しっぽ)が生えていますわよ、シガミー?」

「え? いつのまに?」

 カラダをよじると、たしかに尻尾(しっぽ)が生えてた。

 その(さき)からトゲみたいなのが、二本(にほん)も生えてて――こりゃ武器(ぶき)か!?

「――武器(ぶき)では無いでーす。それ、女神像(めがみぞう)足下(あしもと)に有る(あな)に刺しちゃってくれるぅー?――」


 ふぉん♪

 『↓――女神像端子』

 目的地(もくてきち)をしめす、いつもの(やじるし)がでた。

 おれは(こし)を落として、尻尾(しっぽ)を――がちりっ♪


 ふぉん♪

『>女神像とのリンクが確立されました』

 また、なんかでた。わからん。


女神像(メガミゾウ)トノリンクガ再接続(サイセツゾク)サレマシタ。AOS(エイオウエス)復旧(フッキュウ)シマ()

 おっ!?

迅雷(ジンライ)(こえ)だぜ――にゃ」


「きゃぁぁぁぁっ――――!」

 にげていく姫さん(リカルル)


 振りかえると、かま(くび)をもたげた巨大(きょだい)目玉(めだま)

「シガミー、ゴ不便(フベン)ヲオカケシマシタ。ゴ(ヨウ)御座(ゴザ)イマセンカ()

 (こわ)がちがうけど、わかる。

 こいつぁ迅雷(ジンライ)だ。

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