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145:龍脈の棟梁(シガミー)、女神像建立開始

 ふぉん♪

『>高度486㍍』

 ぎゅぎゅぉぉぉぉぉぉぉっ――――!!

 (ちい)さな(ぼう)親指(おやゆび)で押しこむと、見ている方向(ほうこう)にすすむ。

 裏天狗(うらてんぐ)のうごかし(かた)と、(おな)じ――じゃねぇー!


 ふぉん♪

『>高度588㍍』

 ぎゅぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ――――!!

 (いきお)いが付きすぎたけど、いそいで魂徒労裏(こんとろううら)をうごかすと、またひっくり(かえ)りかねない。

 コレだけの大目玉(おおめだま)(あやつ)ろうとすると、ちょっとのズレでも(おお)きく(うご)いちまう。


 さいわい、大目玉(めだま)(やわ)らかさのおかげで、いきおい(・・・・)がカラダにのしかかることはない。

 けど、おれも姫さん(リカルル)も……なんでか梅干し(いおのはら)まで(よこ)になってる。

 もう、このまま、天辺(てっぺん)までいく。


 (きり)の向こうは(なに)も見えない――――ぎゅぉぉぉぉぉぉぉっ!!!


「あれ? いまなんか――――?」

 ビードロの(なか)に、なんか見えたと(おも)ったら――――


「――「「うぉわぁぁーー」」――」

 でた!

 これは、なんだろ?

 でけえ、(しま)だった。


 グリリッ――――ぎゅるるるるっ、ぐじゃらららるらぁ――――!?

「きゃぁぁぁぁっ――!」

「うおっぁ、(うご)かしすぎたーっ!」

 上下(じょうげ)(さか)さまになって――「――ウケケッケケケケケケケケケケケケケッケッ♪――」

 魔物(まもの)(たか)らかに――(わら)うるせえ。


   §


「――まったく、ウチのバカ兄貴(あにき)は! 自律型大陸(じりつがたたいりく)プレートだけ放流(ほうりゅう)して、そのまま放置(ほうち)したのかー、飽きっぽいんだからまったく、もぉーぅ――」

 後栂叩射六(じりつがたたいりく)……わからん。


 だだっ(ぴろ)地面(じめん)

 草木(くさき)は生えてなくて、(とり)(むし)一匹(いっぴき)も居ないけど――

 地面(じめん)(つち)というか――色が付いてる(・・・・・・)だけでも、気持(きも)ちがだいぶ(らく)になった。


「おまえさまの(あに)てのも、(かみ)なんだろう? いまはどこに居るんだ? (れい)(かみ)(ふね)に乗って、(かみ)(くに)(かえ)ったのか?」


自律型(じりつがた)……大陸(たいりく)? それに美の女神(イオノファラー)さまの……お(にい)さま? (かみ)(ふね)は、まえに壊れたと聞きましたけれど……」

 出してやった(つくえ)に突っぷして、あたまを(かか)える伯爵令嬢(はくしゃくれいじょう)

 気持(きも)ちはわかる。おれだって、迅雷(ジンライ)が居なけりゃ――サッパリ、はなしについていけねえからな。

 いや、居たところで((はな)せないだけで、おれの(くび)のうしろにちゃんと居るけど)――神々(かみがみ)言葉(ことば)やかんがえ(かた)には、到底(とうてい)ついていけねぇんだけどな。


「――いいえ、レンくん……(かれ)はもう(かみ)では……ないわね――」

 煉燻(れんくん)……(かみ)じゃない?


「なんせ、あたくしさまが正式(せいしき)に、プレイヤーアカウントを受けついだからねぇー♪」

 えへん♪

 火鼠る(かーそる)とかいう分け身姿(すがた)の、(ひら)べったい梅干(うめぼ)しさまが威張(いば)ってやがる。

 そりゃ、(かみ)なんだから威張(いば)っても良いんだが、こうも、(ちい)さい(なり)でふんぞり返られてもな――――ころん、ごろろろっ――ごちん!

 うしろに(いきお)いよく(ころ)がり、置いてあった和菓子(わがし)(みたいな)(かたち)にぶつかった。


「――いった、あたまぶつけたんですけど――責任者出(せきにんしゃで)てこぉーい!――」

 責任者(せきにんしゃ)はおまえだろ。いま自分(じぶん)で、威張(いば)ったばかりじゃねーか。


「あの、シガミー?」

「どうした?」

(わたくし)にも、イオノファラーさまのお姿(すがた)を見られるようには、できませんか?」


「あーそうだな。(こえ)しか聞こえねぇのも、不便(ふべん)だ――できんのか?」

「――迅雷(ジンライ)が居ないと、あたくしさま(まわ)りの処理(しょり)はできないわね――」

 うしろあたまを、さすりながら、窮状(きゅうじょう)(うった)える御神体(ごしんたい)


「わりぃけど、出来(でき)ねえみたいだな」

「そうですか、では、なおさら女神像(めがみぞう)をいそいで建ててしまいましょう」

 お? 復活(ふっかつ)したぞ。

 地面(じめん)(あし)をつけて、気力(きりょく)を取りもどしたらしい。

 こわがってた目玉(めだま)も、おれたちを地面(じめん)の真ん(なか)に置いたら、どっか行っちまったしな。


「そうだな、(あめ)は降りそうもねぇけど――また、(なに)邪魔(じゃま)しに来るかわからねぇからなー」

 (そら)見上(みあ)げる。(きり)の向こうには(なに)もなくて、(ひる)(よる)かもわからない。


「――シガミーは、すっかり〝べらぼうめぃてやんでぇい〟に、(もど)っちゃったわねー?――」

「それは、シガミーの(くち)(わる)さのことでしょうか? (わたくしも)(まえ)から気になっては、いたのですが――」

「――そう! 猪蟹屋(ししがにや)のみんなから、女性客(じょせいきゃく)が逃げるって、つるし上げられたのよねー♪――」


 ひょい、ズドォン!

 五百乃大角(いおのはら)が、ちかくにあった和菓子(あいこん)から――(なに)かを取り出した!


「わわ!」「きゃっ!」

 ぐらぐらり――相当(そうとう)(おも)さだ。


 ソレは、五百乃大角(いおのはら)背中(せなか)にくっつけてた(はこ)と、おなじ(かたち)

 酢蛸すだぁことかいう、迅雷(ジンライ)の代わりにいろんな(こと)出来(でき)たり――(この)をつくり出したりするのに必要(ひつよう)な、(ちい)さい(はこ)とも(おな)(かたち)

 だけど、(おお)きさは――おれの寝床(おれ)くらいある。


「――コレが、女神像(めがみぞう)土台(どだい)にぃーなりまぁーす♪ はい、総員拍手(そういんはくしゅ)ぅー♪ ぺちぺちぺちっ♪――」

 ちいさな手拍(てばた)きが、きこえた。


 ぺちぺちぺちぺち、ぱちぱちぱちぱち♪

 ご気分(きぶん)(がい)されても、迅雷(ジンライ)(なお)るのに余計(よけい)時間(じかん)がかかるだけなので、言われるままに拍手(はくしゅ)をしてやる。

 姫さん(リカルル)は、美の女神(めがみ)であらせられる五百乃大角(いおのはら)の野郎(さま)本気(ほんき)(うやま)っているので、力強(ちかたづよ)拍手(はくしゅ)自発的(じはつてき)にしてくれている。


「――はいじゃぁ、早速(さっそく)デザインしてくけど――いま、(なん)(はなし)をしてたっけ?――」

「シガミーの、(くち)(わる)さについてですわ」

「――あ、そうだった。ニゲル語も似合(にあ)わないけど、この見た目でアレはないよねぇー♪――」


孤児(こじ)の身の(うえ)をかんがえて、つよくは言わないで来てしまいましたけれど――レーニア……リオレイニアがよく見過ごしています……ね?」

 なんだその、(いぶか)しむような目は。

 ニゲル語に、まるで言及(げんきゅう)がなかったのが、ちょっと(かな)しい。


(めし)を食うときの作法(さほう)とか、しゃらあしゃらした挨拶(あいさつ)仕方(しかた)なんかは、時々(ときどき)やらされてるぜ?」

 おれは片足(かたあし)をひいて、毛皮(けがわ)をちょっと摘まんで、(こし)(しず)かに落とした。

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