表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
130/743

130:龍脈の棟梁(シガミー)、極所作業用汎用強化服

 ふぉふぉん♪

 迅雷(ジンライ)が〝ビードロ(大)〟に(うつ)しだしてくれたのは、〝強い服(ぼく)〟の全身(せんしん)……らしい。


 (あたま)をまるごとおおう(おおき)きな獅子頭(ししがしら)と、カラダをすっぽり(つつ)装束(しょうぞく)


 それはまるで、御神体(ごしんたい)逆さ鏡餅(ねがみめんど)

「――女神粘土(めがみネんど)でス、シガみ()――」

 そうそう、女神粘土(めがみねんど)だ。

 神々(かみがみ)世界(せかい)流行(りゅうこう)してる……木彫(きぼ)りの人形(にんぎょう)名前(なまえ)を、いつも言い間違(まちが)える。


「しかし、これは――御神体(ごしんたい)そっくりだね」

 まるい(あたま)に、ちいさな(からだ)がくっ付いてる。

 かわいいって評判(ひょうばん)の、ウチの(めし)(かみ)みたいな輪郭(すがた)

 子供(レイダ)姫さん(リカルル)が見たら――すごい(いきおい)いで飛びついてきそうな。


「――やだー! ジガミ゛ー、(じょう゛)ガワ゛イイィィー♪ j☆fj∮んkぇb、ッブッツン♪――」

 五百乃大角(いおのはら)奇声(きせい)(はっ)して、どこかにすっ飛んでいった。

 まあ、放っとこう。


 ひまな御神体(いおのはら)に言われるままに(つく)ったのは――〝(つよ)い〟らしい(ふく)だった。

「――極所作業(きょくしょさぎょう)用汎用(ようはんヨう)強化服(きょうかふく)でス――」

 (なが)いよ?


(した)に着てる、姫さん(リカルル)のお下がりに似てるかな?」

 上下(じょうげ)がつながってて、土埃(つちぼこり)(ふく)(なか)(はい)ってこない(ところ)とかが。

「――どちラも作業着(さぎょウぎ)なノで、機能(きノう)追求(ついキゅう)すルと似た構造(こうゾう)になりマす――」


 ふきゅ♪

 自分(じぶん)の手を見ると、ビードロ((だい))の(なか)強化服(ふく)も、(じぶん)の手をじっと見てる。

 ぽきゅぽきゅぽきゅきゅむ――(なに)もないまっさらな地面(じめん)を、かるく(はし)ってみた。


 金剛力(こんごうりき)は、たしかに使(つか)えた。

 ぼきゅむ――すととぉん!

 (がけ)に向かって跳びあがる。


 ぽきゅむ――すたたたたたっ♪

 普通(ふつう)断崖絶壁(がけ)を、どこまでも蹴あがれた。


 ――――ととぉぉぉん――――――くるくるくるるるっ――――――ぽっきゅん♪

 (がけ)を蹴って、華麗(かれい)着地(ちゃくち)


「こいつぁ、面白(おもしろ)いねっ♪」

 金剛力(こんごうりき)より、自然(しぜん)(うご)ける。

「――パワーろス……緩急(かんきゅウ)ノ付イた(うゴ)きヲ、自動的(じドうてき)ニ〝(つナ)グ〟のデ、神力(しんりょク)従来(じゅウらい)金剛力(こんごウりき)とくラべ、倍程度(ばイていど)長持(ながモ)ちしマす――」


 獅子神楽(ししかぐら)みたいな(もの)かと(おも)ったけど、〝強化服(このふく)〟は着てるだけで、自分(じぶん)のカラダのように(うご)かせた。

 なにせ、(あたま)(うえ)獣耳(みみ)まで、〝思った通りに(・・・・・・)(うご)くのだ。

 とおくの(かぜ)(おと)大工仕事(だいくしごと)物音(・ものおと)を、右耳(みぎ)左耳(ひだり)で――別々に(・・・)聞きわけることまで出来(でき)た。


「――16ch(チャンねル)立体音響(りったいおンきょう)ト、脳波連動(のうはれんドう)指向性外部(しこうせイがいぶ)マイクが使用可能(しようかノうです)でス――」

 わからん――けど、よく聞こえて、良く聞き分けられて――こうして念話(ないしょばなし)がわりの耳栓声(みみせんごえ)まで、耳栓無しで(・・・・・)聞こえてくる。


 もういちど、ビードロ((だい))に(うつ)し出されている、強化服(じぶん)姿(すがた)をよーく見た。

 コレを生き(もの)とみるなら、猫耳族(ねこみみぞく)猫頭(ねこあたま)のヤツだ。

 ウチに、いつも手伝(てつだ)いに来てくれてる猫頭(ねこあたま)(おな)じ……すこし、目と(くち)(はな)(みみ)(おお)きい気がするけど。


「それにしても、今度(こんど)のビードロは(おお)きくていいね。ものすごく見やすい♪」

 ためしに、迅雷(ジンライ)収納魔法(しゅうのうまほう)(なか)にある(もの)を、引っ張りだして(なら)べてみる。


 ぽこぽこぽこぽこん♪

 出てきた〝ただの(つち)〟の和菓子(アイコン)を重ねて――(おお)きな和菓子(アイコン)にする。

 その(なな)(した)に、あらわれた〝ただの(つち)〟の(かず)は――『17⁸』

「178個になっちゃったよ? まちがって消しちゃったか?」

「――いいエ、操作(そうサ)間違(まチが)っていませンよ――」


 よーくみると、『17』の(よこ)(ちいさ)さな『8』が、くっ付いてた。

 むむむぅ?

 ぼくは(くび)をかしげた。

 猫耳頭(あたま)(なか)はひろくなってるから、(くび)自由(じゆう)に曲げられる。

 つられた猫耳頭(あたま)も、すこし曲がった。


「――アイコンの枠内(わくナい)表示(ひょウじ)しキれない、(おオ)キな数字(すウじ)適宜省略(てきぎしょウりゃく)されマす――」

 わからん。

「じゃ、省略(しょうりゃく)しない数字(すうじ)は、どうやって見るんだい?」

「――かルく目力(めヂから)ヲ込めてくダさい――」


 くっ――ふぉん♪

『土の塊【コモン】

 6,975,757,441個』

 すっ――目力(めぢから)をゆるめると、飛び出してた(いた)がひっこんだ。


「そういうのか。わかった」

 コレだけ沢(たくさん)あったら、(とりで)ちかくの大穴(おおあな)結構埋(けっこうう)まるだろ。


 折角(せっかく)だから、(つち)とか木とか(いわ)とかを、〝おなじ(いた)〟に振りわけておく。

 念話ないしょばなし要領(ようりょう)で――(板作成(いたさくせい)名前(なまえ)は『土と木と岩』で)――(あたら)しい(ばしょ)をつくる。


 ひょいひょいひょい♪

 目でまとめてつかんで(・・・・)(うご)かして、いま(つく)った(いた)(ほう)りこむ。

 こまかい操作(そうさ)をするときは――(指先指定(ゆびさきしてい))――で直接手(ちょくせつて)でつかめばやりやすい。


 迅雷(ジンライ)収納魔法(しゅうのうまほう)(なか)のものを、便利(べんり)使(つか)うヤツ――〝符合倫具(ふあいりんぐ)なんとか〟の操作(つかいかた)は、さんざん取ってきたスキルのおかげか、もう(こま)ることはなくなった。


「――物理空間(ぶつりくウかん)ストれージ・ファイリンぐシステムでス――」

 そう、ソレな。


 そして〝符合倫具(ふあいりんぐ)死捨無(しすてむ)〟の、いちばん(うえ)にある『(さん)』ってやつを、目でつよく押すと(・・・・・・・・)――

「――メニューアいコンでス――」

 そう、〝()()う〟だ、〝()()和菓子(アイコン)〟」


 ふぉふぉ――ぽん♪

 ビードロの(べつ)に、(べつ)のビードロがあらわれる。

 まえに女神粘土(ごしんたい)(つく)ったときの、〝絵で板(えでぃたぁ)〟っていう(ひかり)格子(こうし)


 強化服(つよいふく)をつくるのにさっき、また使(つか)ったけど、これはほんとうに面白(おもしろ)くてこまる。

 〝強化服(このふく)〟を着れば、いつでも呼び出せるようになったけど、時間(じかん)がいくら合っても足りなくなるに決まってる。


 けど一度(いちど)くらいなら――またレイダにも見せてやりたい。

「――強化服(きょウかふく)はフリーサイズなノで、よホど大柄(おオがら)でなケれば、(だレ)にデも着せられマす――」

 じゃあ本当(ほんとう)に一度くらい、レイダやリオにも見せてや――


 ヴュウワァ、かちゃかちゃかちゃ、ぷぽん、ぽこん――なにもない〝絵で板(えでぃたぁ)〟の格子(こうし)(なか)に、ひとりでに形作(かたちづく)られていく――タラーン♪


 完成(かんせい)した輪郭(りんかく)。見なれた(かたち)

 となりに、(うつ)しだされている強化服(ぼくのすがた)とおなじ――まるくてでかい(あたま)に、(ちい)さいからだ。


 ぐぐぐっ――すぽん♪

 すたりと、格子(えでぃたあ)からとびおりる御神体(かがみもち)


「――〝キャラメイク・エディタ〟を普段(ふだん)工作(こうさく)使(つか)えるようにするのに、あたくしさまの(とら)の子のSP(スキルポイント)を使ってあげたんだからぁ、大事(だいじ)にしてよねー?――」


 二歩(にほ)もあるくと、いつもの(ちい)さな〝和菓子(アイコン)〟になった。

 いや(ひら)たいから、〝火鼠(かそ)る〟ってヤツか?

 まあとにかく、下っ腹(いおのはら)(ちが)いはない。


「――イオノふァラー。物理空間(ぶつりくウかん)ストレージ・ファイリンぐシステムに、内部から(・・・・)侵入(しんニゅう)するのハお(ヒか)えくダさい。事象(じシょう)ライブラリの保全(ほぜン)支障(しシょう)が出なイとも(かギ)りませンの()――」


 ほんとうに自由(じゆう)だな、この梅干(うめぼ)しさまは。

 御神体(ごしんたい)っていう〝肉体(からだ)〟にしばられたら、すこしは大人(おとな)しくなるかと(おも)ったんだけどなー。


「あれ、まだ強化服(そのこ)に、名前(なまえ)つけてないの?」

 名前(なまえ)? 強化服(ふく)和菓子(アイコン)に、目力(めぢから)をかける――

 ふぉん♪

『防具セット:名称未設定』

 さっきのなんとかいう(なが)いのが、(ふく)名前(なまえ)じゃないらしい。


「もー、そんなの一択(いったく)に決まってるじゃない! シガミーも迅雷(ジンライ)もグズが過ぎるわよっ(キリッ)! じゃあ、あたくしさまがつけてあげる。報酬(ほうしゅう)わぁー、お寿司ぃでいーい-わぁ、感謝(かんしゃ)なさいっ! どかーんっ♪」


 ふぉふぉん♪

『防具セット:シシガニャン』

 (ふく)名前(なまえ)が、〝猪蟹屋(シシガニャー)〟みたいになった。

極所作業服/人が耐えられない極所環境に、耐えるための防護服。

強化服/パワーアシスト機能や、工作機械などを取り付けた人用の外骨格。パワードスーツ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ