表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
113/743

113:伝説の職人(シガミー)、修繕クエスト開始

 ぜんぶの武器(ぶき)を選りわけて、テーブルの(うえ)(なら)べるだけで、30(ぷん)くらいかかってしまった。


 ふぉん♪

『一時的強化による破壊度 【極小】

 時間切れまでの最小残り時間 00:54:02』

 ざっと上級鑑定(じょうきゅうかんてい)した情報(じょうほう)を、迅雷(ジンライ)がまとめて見せてくれる。


 ふぉん♪

『一時的強化による破壊度 【小】

 時間切れまでの最小残り時間 00:50:34』


「じゃ、ココとコッチの(つくえ)(うえ)のヤツは、そこまで良い(もの)ではないから、(いち)(ばち)時間(じかん)が来るまで置いておいてください」

 制服(せいふく)に着がえた冒険者(ぼうけんしゃ)何人(なんにん)かが、(かた)を落とした。


「――もし破壊され(こわれ)たら、ガムラン(ちょう)で売ってる〝魔剣(まけん)居合刀(イヤーイ)〟と(おな)じくらいの(けん)に打ちなおすよ――(あと)で、(ひま)なときになっちゃうけど」

 なんか湧きあがる歓声(かんせい)


 すたたた。

 ふぉん♪

『一時的強化による破壊度 【中】

 時間切れまでの最小残り時間 00:31:58』


「(強化(きょうか)が切れるってことはさ、(こわ)れなくしてもさ、うーんと(よわ)くなっちゃうよねぇ~?)」

 一本(いっぽん)(けん)に触れる。


「――そうなりマす。でスがルコルの帽子(ぼうシ)やバンダナの(れい)もアります。油断(ゆダん)禁物(きんモつ)でス。強化(きょウか)は〝伝説(でンせつ)職人(しょくにン)〟スキルまかせにシて、(とク)強化(きょウか)するコトを意識(いシき)しないでくだサい――」


 ヒヤリとする金属(きんぞく)は、破壊(ロスト)をまぬがれても、すぐに折れてしまいそうに(かん)じる。

 刃こぼれもあるし、立派(りっぱ)彫刻(ちょうこく)もすり減ってしまっている。


 刃が付いてる武器(ぶき)は、修理(しゅうり)同時(どうじ)に――せめて切れ(あじ)(なが)(つづ)くようにしてあげよう。

 (けん)がひかり、欠けた金属(きんぞく)が――大気中(ちゅう)から補充(ほじゅう)される。

 魔法の神髄(ひかりのすじ)(けん)をつつみ、すぐに霧散した(きえた)


「――効率化(こうりツか)のタめに〝武器修復(ぶきしゅうふク)〟〝研ぎ師〟〝切れ味持続(あジじぞく)〟を収得(しゅうとく)しました――」

 迅雷(ジンライ)には、必要(ひつよう)なスキルがあったら、勝手(かって)に取って良いって言ってある。


(つぎ)は――」

 ゴトリ――鉄塊(てっかい)に触れる。

 この金槌(かなづち)みたいなのは、修理(しゅうり)同時(どうじ)(かた)くなるようにスキルをつかう。


 魔法の神髄(ひかりのすじ)はあらわれず、一瞬(いっしゅん)修復(しゅうふく)が終わった。

 (にぶ)鉄色(てついろ)だった鉄塊(てっかい)が、(みが)いた刀身(やいば)(かがみ)のように変わった。


「うわひっ、面白(おもしろ)いなぁ♪」

「――シがミー。(あソ)んでル余裕(よゆウ)は、ありませんヨ――」

「(わかってるよ。けど、これなら、だいぶ(はや)く終わるよ♪)」


 遠巻(とおま)きに(なが)めていた一人(ひとり)冒険者(ぼうけんしゃ)が、ドタバタと駆け寄ってきた。

「これ、(おれ)のなんだよ! コレじゃ買ったときより、ピッカピカだっ♪」

 ありがとうと言って、受付係長(ウェレ)のもつ紙束(バインダー)になんかを書いて、出て行ってしまった。


「――〝自動修復(じどうしゅうフく)(しょウ)付与(ふヨ)〟ヲ収得(しゅうトく)しマした。まダ半分(はんぶン)も終わっていませンよ?――」


 だいぶ(はや)くできるようになったけど、たしかに(いそ)がないと、リオがシガミー(てい)に住み込むことになって、姫さん(リカルル)にまた(うら)まれる。


 剣剣剣剣(けんけんけんけん)普通(ふつう)甲冑(かっちゅう)細身(ほそみ)(けん)素早(すばや)さが上がる革鎧(かわよろい)金槌(かなづち)(かる)くて(かた)(たて)(おの)(てつ)(こん)――この(こん)は、ぼくがいつか(そだ)ったときに是非(ぜひ)使(つか)いたい。

 金剛力(こんごうりき)使(つか)うなら、錫杖(しゃくじょう)で良いけど――迅雷(ジンライ)、この(こん)情報(じょうほう)(おぼ)えておいてよ。


「――ブクマしましタ。(いソ)いでクださい。もうジき夜が明けマす――」


 ふぉん♪

『一時的強化による破壊度 【大】

 時間切れまでの最小残り時間 00:24:13』


 つぎの(つくえ)は、(けん)防具(ぼうぐ)だけじゃなくて、(ぬの)護符(ごふ)みたいなのも混じってた。


 ええと、この(ぬの)は――身にまとウと『素早(すバや)さが上ガり、(てキ)攻撃(こウげき)を引きつケる効果(こウか)』があるようデす――それなら、こんな(かん)じでどうかなぁ?


 ポォウ――♪

 一瞬(いっしゅん)ひかる(ぬの)

 強化しすぎないように、スキルの使(つか)(かた)を、すこしだけ工夫(くふう)する。


 縦糸(たていと)には『(てき)攻撃(こうげき)を引きつける効果(こうか)』をくっつけて、横糸(よこいと)には『素早(すばや)さを上げる効果(こうか)』をくっつけた。

 これなら(ふた)つの効果(こうか)同時(どうじ)に掛けたわけじゃないから、ソコソコのこうかで済むんじゃないかな。

 突然(とつぜん)なんでか(おもい)いついたから、これもひょっとしたら伝説(でんせつ)職人(しょくにん)スキルのおかげかもしれない。


 すたすたすたた。

 はぁひぃ。すこし(つか)れた。

「やっと、最後(さいご)(つくえ)だ」


 ふぉん♪

『一時的強化による破壊度 【特大】

 時間切れまでの最小残り時間 00:14:43』


「――のこりハすべて一点物(いっテんもの)。めズらしい装備(そウび)道具(アイテム)だけにナります。シガみーの……〝首紐(くびヒも)〟のよウに、固有(コゆう)スキルや効果(こウか)付与(ふヨ)されてイる場合(ばアい)にハ、そレを遵守(そンしゅ)保持(ほジ)するこトを優先(ゆウせん)してくだサい――」


 迅雷(ジンライ)が、まとめて見せてくれていた情報(じょうほう)が――ふぉふふふぉぉん♪

 三枚(さんまい)に分かれた。


「――(とク)にレア度の(タか)いものは、こノ三点(さンてん)になりマす――」


『ルードホルドの魔法杖【無限属性】

 魔法攻撃力1300(+700)。全属性使用可能な魔法杖アーティファクト

 追加効果/STR-20/VITー20/INT+85

 条件効果1/【付け焼き刃】上級職人による一時的な性能強化中。

     ただし、効果が切れる際に破壊される可能性あり。

     その確率はアイテムのレア度に比例。

     【強化残り時間 00:16:02】

 条件効果2/【球軸術数】一日に一度、MP消費1で、

      現存する魔法の中でも最大級の魔法を放つ事が可能。

      魔法属性は選べるが、同じ魔法は二度と放てない。

 装備条件/STR21、VIT21』


 伸び過ぎちゃった(ひつじ)(つの)三本(さんぼん)――まとめた山菜(ぜんまい)みたいな(かたち)

 (つか)部分(ぶぶん)には、こまかな彫刻(ちょうこく)が彫られていて、(つの)先端(さき)には、いくつもの宝石(ほうせき)がちりばめられている。


「これは、立派(りっぱ)(つえ)だねー。この(まち)では有名(ゆうめい)(つえ)なのかい?」

「はじめて見たコン」

「はじめて見たニャ」

「はじめて見ましたよぉう」

 聞いてみたけど、有名(ゆうめい)なものではないらしい。


「そちらは、コントゥル伯爵夫人(はくしゃくふじん)の持ち(もの)です。ふだんは宝物庫(ほうもつこ)(おさ)められています」


「リカルルさまの、母上(ははうえ)かぁ――(下手(へた)なことをすると、下手(へた)なことに……なりかねないヤツだねコレは)」

 (リカルル)窮地(きゅうち)に、コレでカチ込みかけるつもりだったんだな。


 姫さん(リカルル)が、あのまま年月(としつき)(かさ)ねた姿(すがた)想像(そうぞう)すれば、(ひと)となりは想像(そうぞう)がつく。

 想像(そうぞう)するに――(はな)れて見てる(ぶん)には、きっと(わる)くないんじゃないかなと。

 なんと言っても〝(はな)〟がある。


 ただ、実際(じっさい)に手とか(あし)とか魔法(まほう)(つえ)なんかが――〝(とど)距離(きょり)には〟――(ちか)づきたくない。

 ヘマをして()びに出向(でむ)く、なんてことになってもたまらない――慎重(しんちょう)にやるぞ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ