魔王軍戦力拡充計画!
クレーエ?
俺の名前?
「もしもーし? 大丈夫ですか?」
「誰が……」
「はい?」
「誰が決めやがったんだ! この名前を!」
この名前を決めたのは……アイツか!
「クッソ! 楽しみにしてた事が一つ消えた!」
沢山名前、考えたんだけどな。
「何て名前ですか?」
「クレーエ」
「っ! そうですか、クレーエちゃんですか……」
「ちゃん付けすんな!」
まぁ、悪くは無いな……
「では、私達がやるべきことについて説明しますね」
「はい、先生!」
「良い返事です。まず最初に、この塔の事について教えていない事を話しましょう」
「それは何ですか先生!」
「それは……」
「それは!」
「この塔は私達以外の者に視認できないということです」
な、な!
「なんだってぇ!」
「あの、疲れたので普通にしてもらえますか?」
「あ、はい、すいません」
「詳しく説明しますね。
まず、この塔が見えていないというのは、城下町も含め、ダンジョン全域が現地民だけでなく、この世界の神にも見えていません。そのため、ここの中なら好き勝手出来るというわけです。
そして、私達がすることはただ一つ。この世界の神の妨害です」
「神は敵なんですか? 先生」
「はい、そこは後で話しますので。貴方は私達魔王軍の戦力拡充をしてもらいます。期間は最高四年以内となっていますのでその間に、次のことをしてもらいます。
1,魔物の生成と強化
2,ハリボテ魔王城と魔王の作成
3,自身のレベル上げ
4,変装の準備
5,人との交流
となっており、人と交流して勇者に近づきやすくすることが最終目標です」
はぁ……?
「すみません。情報が多すぎて理解が追いつかないんですけど」
普通に突っ込んでいくのはダメなの?
「一から説明しますとですね、まずは、戦力拡充ということで、ダンジョン内に魔物を生み出すのは分かりますか?」
「はい。だけど、ハリボテ魔王城って何ですか?」
「それは、神の目を欺く為に作ります。この塔が見えていない以上、神はどこに魔王がいるかわかっていません。そこで、ハリボテ魔王城とかを作ることで、勘違いをさせることができ、尚且つ、今後の行動にも役に立つ。と、上が言っていました」
言っていました……身もふたもない。
「神って案外細かいところまで見えているわけじゃないの?」
「はい。神様は全部お見通しなんてことはなく、普通に部下達に任せています。そんな全部を見たりしてたら、神と言えど過労死してしまいますよ」
神も死ぬのか。
「まぁ、見ていない訳ではいない以上、こちらも注意しなければならないんですよ」
「でも、部下が見ているんだろ?」
「そこら辺は全部上が買収しましたよ。まぁ、神の部下と言ってもその上の奴に逆らうなんて出来ませんもの。というか、向こうもここの神にはうんざりしている見たいで二つ返事で引き受けてくれましたよ」
人望ないなぁ……
「それじゃあ、魔物を作れば良いのか?」
「その通りです。スキル【ダンジョン作成】の中の項目にあるはずなので、このリストの通りに作って下さいね」
分厚いな!? 広辞苑ぐらいあるぞ!
「このリストの中身って何が書いてあるんだ?」
「聞くより見た方が早いです」
どれどれ……!?
〈目次〉
1,魔物を魔物に合った層に生成しよう!
2,エリアボスを決めよう!
3,層の管理者を作ろう!
4,偽魔王を作ろう!
5,レベルを上げよう!
「中身、間違ってない?」
「間違っていません。その軽い感じはこれを作った人に文句を言って下さい」
『ひっどーい! アタシ、頑張って作ったのに〜』
ああ、製作者はコイツか……
『まぁ、こっからじゃそれ直せないんで、割り切ってちょ』
コイツとは違ったウザさがあるなぁ、おい!
「同僚がすみません」
「いえいえ、仕事をしてくれるならそれで……なんて言うと思ったかぁ!」
そもそも、仕事に自分を主張するなよ!
「と、とりあえずはこれの通りにやって下さい!」
『そーだそーだ! 割り切れ少年!』
「うるせぇ!」
「ふぅ、疲れたぁ」
一通り終わった感じかな、2つ目までが……
「スキルを使用するとMPを消費しますからね」
「次は、層の管理者を決めるのか……なぁ、そいつらってどこで活躍するの?」
「最後のボスラッシュで、「今まで俺たちのシマで好き勝手してくれたなぁえぇ!?」みたいな感じで登場する予定です」
さっきの演技めっちゃ上手かった。見た目が厳ついからすげぇ怖い
「名前とか付けても良いかなぁ?」
「良いですよ、別に強くなったり、MP吸われたりしませんので」
「よし! それじゃあ作っていくか!」
まず最初の管理者から決めようか
塔と同じような感じだし……そこに合った魔物……騎士辺りが良さそうだなぁ
「龍騎士! 君に決めたぁ!」
「それ要ります?」
うるさい! 気分だ!
おおっ!床が光出した! 何万回遠くから見たけど、近いともっと格好いいな!
固そうな鱗、黒く輝く体、細く金色の瞳、なんといっても大きい翼!
「よくぞ参った。お前が塔エリアの管理者だ!」
「グギャャ!」
あれ?
「人語を解してない?」
「グギャ!」
「いいえ、理解していますが喋れないんですよ」
「じゃ、じゃあ」
「まぁ、ここはお任せ下さい。我が権能の使用の許可を求めます」
【許可します】
えっ、何?
「おおっ、感謝します。我が王の付き人よ」
え、急に喋り出した!?
「いえいえ、こちらも話しが通じないと些か不便ですので」
「その通りですな」
「「HAHAHAHAHA!」」
ダメだ、ついていけない。
「おっと、挨拶が遅れてしまいました。私、貴方様に呼ばれ馳せ参じました。どうぞ何なりと」
「ええと、お前は俺の部下で、良いんだよな?」
「えぇ勿論です!」
「そうか……ならば! お前に名を与えよう!」
「有難き幸せ」
「お前の名は、ヴィンデ! 龍騎士ヴィンデである!」
「はっ、このヴィンデ、貴方様に忠誠を!」
「ではヴィンデ、貴方には91階層を任せます」
「了解しました!」
「質問なんですけど、さっきの口調って何だったんですか?」
「ノリだよノリ。少しでも大きい存在に見せたいじゃん」
「フッ」
「笑うなぁ! 次だ!次!」
「一ついいですか?」
「何だ! また弄るのか!」
「違いますよ! そのですね、エリアごとに名前を付けたらどうですかって言おうとしただけです! 貴方はエリアに名前が付いているゲームとかしていたでしょう! 旧市街とか」
「それはいいな! ナイスアイデアだ! それじゃあ早速付けて行くか……!」
祝福? 祝福って何だ?
「ふおおおっ! スキルですな! チートですな!」
そう、なのか?
『よくご存知で! 祝福の力で魔王を倒すのです!』
「うっひょーーい! これから拙者の英雄譚が始まるでござるよぉぉぉ!」
『そのためにまずは、ステータスの確認をしてもらいます。今は大まかな情報しか分かりませんが、向こうに行ったら詳しくわかるので、ご心配なさらず。それでは、ステータスと心の中で唱えて下さいね』
ステータス!
= = = = =
名前:竜堂 初
種族:人
HP:650
MP:120
筋力:A
体力:S
特攻:A
特防:S
俊敏:A
幸運:S
= = = = =
『まぁ! 竜堂様はSが三つも! この文字は、今後の成長するときに増える量の目安となっております。そのため、今、Sが少なくとも、たくさんレベルを上げることで、追いつくことだってできますので、頑張って下さい!』
「その、拙者、俊敏と筋力はSで、それ以外みんなDとCなんでござるが……」
「お前、そこは、刀とか使って一瞬で決めるスタイルだろ! 最高じゃねぇか!」
「嵐氏はどうだったでござるか?」
「オールA」
「万能でござるな!」
もしかして、俺、強いのか?