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おや? 厨二病のカラスの様子が……  作者: ピラフォー
教会編
21/25

兄と妹

「お兄ちゃん、大丈夫?」

「ああ、大丈夫だ」

「もうすぐ、おうちに着くかな?」

「もちろんだよ」

村まであと少し。

今日は沢山の薪を取ったんだ。

きっと母さんは喜んでくれる筈だ。

そう、その筈だった。

「お兄ちゃん、変なにおいがするよ?」

「そうだな」

何かを焼くような。

それでいて鉄のような。

村に近づくにつれて強くなっていく刺激臭。

この背の高い草を抜ければ村に……

「待て! ユーリ!」

「わぷっ!? どうしたの?」

何だ、あれ……! 人を重ねて、焼いている?

「ねぇ、何が見えるの?」

「っ! 見るな!」

「だ、誰かぁ! 誰か助けてくれ!」

まだ生きてる人がいるのか!

「五月蝿いなぁ!」

え? 今、おじさんの、腕が……

「ねぇ? お兄ちゃん?」

「ユーリ、今はじっとしていてくれ」

「うん。わかったよ」

「いい子だ」

誰なんだ、あの金色の十字架を首に下げた男は……?


「なあ、君達って、カミヤの子供だろ」

「っ!?」

なんだ、ドゥムおじさんか……

「おじさんも大丈夫だったのか」

「ああ、奴らに見つかる前に逃げてきたからな」

そうだ!

「母さんは! 母さんはどうなった!」

「カミヤか……あいつは、死んだよ」

「は? 嘘、だろ? 母さんは元々勇者なんだろ! そんなわけ無いだろ!」

「うるせぇ! カミヤはな! 村の奴らを守るために戦って死んだんだ!」

「お母さん、死んじゃったの?」

「いや、大丈夫だよ。きっと生きてるよ!」

「ああ死んださ。全員を庇おうとしてな」

こんな時に、わけもわからない小さな子供はどちらを信じると思う?

自分と常に一緒にいた兄と

兄よりも年上で顔見知りな大人と

答えは簡単だ。


「本当に死んじゃったの?」

兄なんかより大人の方が信じられてしまう。

「そうさ! だからよ、お前達も母さんと同じように()()()()()()()()!」

「ガッ!?」

蹴られた!? あの糞ジジイ!

「あ? まだ生き残りがいたのか? ったくめんどくせぇなぁ! おい!」

「なあ」

「あ?」

「お前が村をやったのか」

斧を持つ手に力が篭る。

「ああ! そうだ! 綺麗だろぉ!」

「なら死ねぇぇぇぇぇ!」

肩を狙って斧を大きく振りかぶる


ぐしゃっ!


「ああ、痛えなあ、見ろよこれ、食い込んじまってんだろ糞ガキ!」

「ガハッ!」

腹を思い切り蹴られて息が……!

男は肩に深々と刺さった斧を引き抜き

俺の左肩に向けて振りかぶった。

「ああああああぁぁぁぁっ!?」

「五月蝿いなぁ! さっさと死んじまえよ!」

「お兄ちゃんに乱暴しないで!」

「ああ?」

ダメだ! 来るな! 来ないでくれ!

俺は必死になって男の足を掴む。

「何掴んでんだよっ!」

「ガァッ!」

勢いよく蹴られた俺は、そのまま奥の林の中に飛んでいった。


「お兄ちゃん!」

「おっと、妹ちゃんはこっちだよ」

『どうだ。勇者の娘は?』

「ちょうど俺様の手の中にいるぞってんだ」

『兄もいるようだが』

「ああ、そいつはさっき腕飛ばして殺した」

『なら、早く戻って来い』

「了解了解」

「離して! お兄ちゃんを助けに行くの!」

「ダメダメ! 君は大切な道具なんだからね。傷つけちゃダメなの!」




はっ!?

ユーリは! 村は!

そうだ、あの男に、みんな……!

動け! 動いてくれ! 俺の体!

「ぐっ………!」

クソッ! 痛みが体中を走って力が入らない!

「小童。それ以上動くと、死ぬぞ?」

「だ、れだ!」

アイツらの仲間か!

「なあに、只の魔女だよ」

「ま、じょ?」

魔女か……

母さんから聞いた事がある。

(悪い魔女は人間や動物を使って怪しい実験をしているのよ。でもね、私のお友達の魔女は、沢山のお薬を作ってくれていて、とっても助かったのよ?)

じゃあ、この黒い布に包まれた魔女は……!

「妹を、返せ! お前の、手下が、やったんだろ!」

「はて? 何の事か?」

「しらばっくれるな!」

だんだん喋れるようになってきた……!

「母さんを! 村のみんなを返せ!」

「待て! 誤解だよ、私は村を襲ってもいないし、人を殺しても……!」

まだ嘘をつく気か!

「十字架を首に下げた男を従えているんだろ!」

「っ!? 待て、まさか童……!? 一つ聞く。お前の村はどっちだ……」

「あっちだ」

「そんな! まさか! 嘘だ! まだ、まだ刻限にはなっていない筈!」

アイツ村の方に!

「待て! まだ話は終わっていないぞ!」



嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!

あの村は、神谷の!

(村のみんなを返せ!)

もしかしたら、もうみんないなくなって?

そんな筈ない! 勇者の因子を女神から封印する術もまだ解けていない筈なのに!

椎名君に何かあったの? 術が解けるとしたら、それしか……

(なあ、この世界の秘密を教えてやるよ)

(何を言う! 魔王の言葉などには耳を貸さんぞ!)

(なら、そのまま聞いておけよ。お前達を送った女神の正体は……◼️◼️だ)

な、え? 家は? みんなは? 神谷?

「あれは!」

神谷のペンダント!

血で汚れてしまっているけど、金剛石で作った、唯一無二の……!

「ごめんね……神谷。遅くなって……本当に……ごめん」

『ザーザザ、ザーザー』

「ペンダントから魔力反応!?」

『もし、このペンダントを手にした人がそこにいるのなら、この願いを聞いて欲しい。どうか、子供達を、頼みます。一人は、少し無愛想だけど、妹思いのプラチナブロンドの少年。もう一人は、黒髪の正義感溢れる少女。この願いを聞き届けてくれるのならば、このペンダントは差し上げます。どうか、あの子達を……守ってあげて……』

神谷……

「全く、本当に世話が焼けるね! 宿題忘れたり、色々無くしたり、いっつも私がやってるじゃん。本当、最後ぐらいは世話焼かせないでよ。神谷……」

あの男の子が神谷の息子。

もし、そうなら……

「その仕事、請け負ったよ! ()()()の名に懸けて!」



やっと、戻って来たか……!

「なあ、童。名前は?」

「ウルフだ」

「そうかい、狼ねぇ。神谷らしい」

カミヤだって!?

「お前、母さんのことを知ってるのか!」

「勿論さ。なんたって、親友だからね」

母さんの親友で魔女?

「お前、悪い魔女じゃないのか?」

「アンタ失礼だね」

「じゃあ、十字架のヤツらとは違うのか?」

「教会と? あんな集団と一緒にしないで欲しいね」

教会……そいつらが、みんなを!

「おい、魔女。お前は強いのか?」

「私には栞鳳って名前があるんだよ。それに、私も一応勇者だったんだぞ?」

「ならシオン。俺を強くしてくれ」

「断る。と言いたいところだけど、そうもいかないんだよね」

「それって!」

「私は神谷みたいに優しくしないよ?」

俺が強くなって、アイツらを殺せるのならばそのくらい……

「なんともないさ」


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