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おや? 厨二病のカラスの様子が……  作者: ピラフォー
王国編
18/25

神の子に祝福を

『随分と眠っていたようだね』

『ええ、そうみたい。今はいつ? 私の子供達は?』

『おっと、そう一斉に質問しないでおくれよ。僕だって、久し振りに君と会えて緊張しているんだ』

『その冗談は相変わらずなのね』

『それで、君の子供達だけど……残念ながら、あの女が支配しているよ』

『薄々感じてたけどね。わかったわ』

『あの魔王はどうするんだい?』

『そうねぇ、この子が初めて、私をここまで引きずり出してくれたんだもの。何かしてあげなきゃ。それに……』

『それに?』

『とっても美味しい物や、沢山の感情を、私に思い出させてくれたの。今までの子達は、殺して、殺されて、泣いて、笑って、単純な感情だけしか思い出せなかった。でもこの子は違う。心から笑っている。楽しんでる。だからこそ、この世界の母として、子供の幸せを守ってあげたいの』

『ははっ、君らしい答えだ……』

『そうかしら?』

『ああ。それなら、魔王と一緒に過ごせばいい。君と魔王が一つになればいい。多重人格ってヤツさ、きっと魔王の部下達も歓迎してくれるだろう。というか、そうしなければ、魔王は死んでしまうよ』

『貴方が言うなら、それが一番なのね。わかったわ、あの子と相談して、ちゃんと決めてくる』

『ああ、本当に君らしい。僕なら、問答無用で一体化するのに』

『じゃあ、行って来ます。私達のお父様』

『行ってらっしゃい。クレーエ』




何処だ……

俺は、死んだのか?

暗いし寒い。

光も無ければ命もいない。

『おまたせ』

ああ、待ってた。

何でだろう。何で待ってたんだろう。

まぁいいや、俺は死んだんだ。役目も終わった。思い残す事なんて無い。

『本当にそうなの?』

……。

『貴方は私だったのよ? 私が分からない筈ないでしょう?』

本当は……

本当は……!


もっとアイツらと一緒に居たかった。戦いたかった。それに、

『それに?』

まだクラスメート達と会っていない!

『そう……。貴方が望むなら、それを叶えることができる。だけど、貴方が前に出ることは出来ない。感じることも出来ないかもしれない。それでも、それでも! その願いを叶えたい?』

ああ。このまま死んで無くなるよりはよっぽどマシだ。

『わかったわ。創造神クレーエの名において命じる。その魂を我が魂と融合させ、我、現界せん』

吸い込まれていく……だけど、何故だか心地いい。

『まずは、貴方の子を止めないといけないわね』

そうだな……。

『じゃあ、向こうに行くまで暫しの間、ぐっすりと眠りなさい。私の可愛い子……』

おやすみなさい、母さん……

【ステータス変更しました。お帰りなさいませ。お母様】




「おやめなさい。ザンテーメ」


「っ!? 主様!」

「困惑してしまうのも仕方がないでしょう。ですが、貴方があの子の子だとしても、異世の子を虐めて言い訳ではありません。その子はあの女にただ呼ばれてしまっただけの幼き子。還してあげることが、一番の救いです」

「エルザ様?」「いや、でも、白い翼なんて」「綺麗……」「やはりエルザ様は女神だったのか!」「俺はエルザ教を作るぞ!」「じゃあ俺は大司教!」「私聖女!」

あの子は本当に慕われていたのですね……

「なあ! その通りだ! 俺はただ連れて来られただけだ! だから帰してくれ!」

「ええ、可哀想な子。元の世界に返すことはできませんが、この世界の一部として、還してあげましょう」

「え? どういうことだ?」

「ザンテーメ、貴方にはその心得がありましたね?」

「御意」

「おい! どういうことだよ! 還すってまさか!」

「そのまさかだ。安心しろ。痛くはしない」

「やめろ! やめろやめろやめろやめろやめろやめ」


スッ


一つの魂が還りましたか……

「皆様、残念ですが、今まであったことを忘れていただけ無ければいけません」

「それってどういう?」

「《無に帰せ》」

これでいいですかね。後は、片付けもしなければ……

「手伝ってくださいますか? ザンテーメ」

「勿論です。魔王、いえ、創造神クレーエ様」

「魔王でもいいのよ?」



決勝戦辺りがいいかしら……


「今大会優勝者は崩壊か、神速か! さあどうなる! 決勝戦、開始ぃぃぃ!」

「お主、つい先程まで、何があったか覚えておるか?」

「すまないが、分からないな」

「そうか、それは残念だ」

「では」

「「始めるとしようか!」」


弾く。己の心を込めて。

また弾く。己の技を込めて。

そして弾く。己の力を込めて。

ああ、楽しい。ここまで戦えるのは。

何があったか覚えていないが、そんな些細なことはどうでもいい。

この戦いが。この昂りが。この躍動が。この緊張感が。

全て味わう事が出来た。それで充分だった。

神速!


「終わりだ」

「おう、降参だ!」

「ここでゾンマーが降参! よって、今大会優勝者は、神速ぅぅぅぅ! さて優勝者にインタビューといきましょう!」

「今の気持ちは?」

「とてもいい戦いだった」

「何か言いたいことなどはありませんか?」

「そうだな……。俺はとあるクランに参加している。そのクランには、俺と同じ、いや、俺よりも強いヤツがいる。そいつらは今、世界中に散らばっているが、近々集まる気だ。もし、手合わせしたい奴がいるなら、俺達の前に来るといい」

「神速より強いって!」「マジかよ、勇者より強いんじゃん!」「イケメンいるかなぁ」

「では、こちら、賞金とトロフィーです!」

「ああ」

「この後のご予定は?」

「連れに聞かないと分からないな」

『ギルド近くで待ってるわよ』

届いたかしら?


「では、説明してくださいますか?」

「そんな堅苦しくしなくていいのよ? 貴方を生み出した存在の皮を被った、同じで違う魂が入っているのだから」

まぁ、説明するというのは、少し難しいんだけどね

「分かった。だが、一つだけ聞かせて欲しい」

「何かしら?」

「主様は、本当の主様は……あの時死んだのか?」

「残念ながらそうよ。彼の体は、実際には、私をあの女から隠し、解放する為に作られた物。とても脆く、そして儚い、神を降ろす器。私が出る時点でもう彼の体は役目を終えてしまった。だけど、彼にはまだ思い残す事があった、やりたい事があった、会いたい人々がいた。だから、私は彼の体が壊れ、崩れてしまわないように、この体に入った。それが全ての事よ。ちょっとだけ省いちゃったけどね」

「いや、充分だ……」

「そう……」


「この後、何をするか聞きたい。何をするんだ?」

そうねぇ、ミーちゃんは学園に入学しなさい! って言ってたけど……そうね

「ちょっとだけ、遊んじゃおっかな!」

「何をする気だ?」

聞いて驚きなさいよ……!

「学園の先生になります!」

「……どういう事だ?」

「ミーちゃんらしく説明するとね」


1,私の権能で新しい私を作る。

2,それに私を入れる。

3,試験を受ける。

4,先生になる!


「どう? 分かりやすいでしょ?」

「分からん。そして、冒険者の方はどうする?」

「そこはなんとなくでやるわよ」

「そうか……」

そうとなったら、直ぐに取り掛かるわよ!

「じゃあ、転移で人目の無いところに行ってくるわね」

「な、ちょっと待て」

「さようならぁ」


この辺りが良さそうね!

「「がるるるるるっ!」」

あら、襲う気満々ね。そうねぇ、肩慣らしついでに遊んであげましょうか

「がぁぁっ!」

邪魔にならないようにサイコロにでもしておきましょうか……

「それっ!」


コトンコトン


これでよし!

それじゃあ、取り掛かりましょうか!


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