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5 鑑定とステータス

 5


 現状を理解しようと務めるが、わからないことが多すぎて凪にできるのは「これは異世界転生? いや、悪い夢だ」を脳内で繰り返す非生産的な行動だけだ。


 ふう、と盛大にため息をついた。鬱々することにも疲れたので、ちょっとだけでもいいから前向きになろうと意識を切り替えようとする。

 考えと意識を別なことに向けよう。


(そう言えばステータス、って言えば自分の状態が見えるのか?)


 透明なウィンドウは出てこない。


(ええと、さっきは鑑定って言って出てきた気がするし、自分自身に『鑑定』)


 洗礼札の前に現れたウィンドウのようにぱっとあらわれた。

 短い説明文だった先ほどと違って、長大な文がはいる大きさの画面だ。

 え、読みづらい。小さくならないのかな、と思ったら小さくなった。

 目で追うと勝手にスクロールしてくれる便利機能付きだ。ありがたい。


------------------------------------------------------------


 ナナギ

 性別:男

 種族:人間

 年齢:12歳

 クラス:--

 レベル: 3/10

 HP: 3/24

 MP: 18/18


 血統スキル

 --

------------------------------------------------------------


 ここまではいい。日本でも代表的なRPGを一応プレイしたことがあるので、頭の中にさっと内容もはいってくる。

 洗礼札に記されていたのは十四歳で、こちらが十二歳なのは気になるが、そこもいい。

 レベルは最大レベル10で、現在が3ということだろうか。俺の最大レベル低すぎ……となったが、まあいい。

 HPが低いレットゾーンになっているのも、スライムにぶつかった打ち所が悪かったせいだろう。見た目にもほとんど怪我はないし、痛みはないが、頭の中はもしかしたらけっこうやばいことになっているのかもしれない。


(怖いなあ……でも、変なところはないんだけどなあ。脳のことだから自分ではわからないだけか)


 血統スキルという、何が血筋に特別なものがありそうな者が持つスキルっぽいものが空欄なのもいい。

 問題は所持スキルの欄だ。

 

(長い、スクロールが長い)


 スキルの量は膨大でそのほとんどのレベルが0。

 というか、1になっているスキルがひとつもない。

 上のほうに表示してあるのは武器に関しての取り扱いに関する技能なのだろうが、全て0。


------------------------------------------------------------

 所持スキル

 --


 剣技能 (0/4)

 小剣技能(0/13)

 槍技能 (0/15)

 斧技能 (0/5)

 打撃技能(0/7)

 弓技能 (0/3)

 籠手技能(0/9)

  :

  :


------------------------------------------------------------

 

 最大レベルっぽい数字のほとんどが一桁で、かろうじて槍と小剣が二桁あるといったところ。

 もしかして、ナナギは対して才能のない少年だったのかもしれない。そんなナナギの体にいる凪の才能もお察しといったところだ。

 スキルを眺め、低すぎる数値にげんなりしながらスクロールし終えると、やっと違う項目が出てきた。


------------------------------------------------------------


 適正スキル

 槍技能 (0/15)

 小剣技能(0/13)

 料理  (0/15)


------------------------------------------------------------


 限界レベルが大きめのスキルが個別に表示されている。

 これを育てればいいというのが、わかりやすく抜き出してある。


(槍かあ、スライムとか言ってたし、RPGみたいに魔物と戦うのが身近なのかな。厄族とかいうのにも元いた村を滅ぼされたみたいだし、身の危険は日本よりも側にあるのかもしれない。護身用に鍛えるとしたら槍と小剣……短剣とかかな? がいいのか。あとは生活のために料理スキルを伸ばして飲食店で働くのがいいんだろうか)


 この世界で過ごしていくしかない場合に備えて、将来の展望を考える。

 年齢的に学校はどうしているんだろう? などと首をひねったが、もしかしたらそういった教育には力をいれていない場所なのかもしれない。

 日本だって義務教育ができて高校まで行くのが当たり前のような風潮ができたのも、戦後のことだ。

 現実世界でも、教育格差はある。

 中世でも皆が読み書きを出来たわけではないようだし、この異世界の田舎の村に学校がなくてもおかしくなさそうだ。


 そんなことを思いながら、さくさくとスクロールで情報を見ていく。


------------------------------------------------------------


 加護神

 薬の神  

 商人の神 

 盗みの神 

 闇の神  

 無限の神 


 恩恵スキル

 薬学  (0/20)

 錬金術 (0/20)

 鑑定  (★)

 強奪  (0/20)

 闇魔法 (0/20)

 精神魔法(0/20)

 真贋魔法(0/20)

 成長支援(0/20)

 限界突破(0/20)

 平行存在(0/20)


------------------------------------------------------------


(お、おおー。神様の加護か、なんか、ファンタジーにはいかにもありがちな項目に、名前が五つも……俺って神様に愛されてる? いや、この都合の良すぎる展開は本当に夢にしか思えなくなってきたな。

 それにしても恩恵スキルってすごいな。俺を加護している神様が与えてくれているスキルっていうことか?

 鑑定だけ黒星マークなのはなんでだろう)


 恩恵スキルといういかにも凄そうなスキルであっても、限界のレベルが20までしかないところを見るに、適正スキルのレベルの限界値が15までしかないのは、低い数値ではないのかもしれない。

 これは他のひとのスキルを鑑定できたら確認して比べてみようと凪は心のメモ帳に書き留めておく。


------------------------------------------------------------


 精神 10

 器用 13

 敏捷 12

 筋力 14

 運  18

 魔力 14


------------------------------------------------------------


 ゲームでもよくあるステータスらしい数値が出てきた。

 正直、これが優秀なステータスなのかそうでもないのか、それとも平均値なのかはわからない。

 やはり、他のひとと比べてみたいものだ。

 

 他には使役、賞罰などがあったが空欄だ。


 スクロールはこれ以上下にいかないらしい。

 自分自身の鑑定はこれで全てのようだ。


「はああああああああ」


 凪は何度目になるか分からない重いため息をついた。

 自分の鑑定を終えると、また手持ち無沙汰になって気鬱が舞い戻る。

 目頭を抑えて天を仰ぐ。

 夢ならば覚めてくれ……覚めない夢であることは、ふつふつと感じているけれど、そう願わないではいられなかった。


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