表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『半径1メートルの日常』  作者: 八神 真哉
PR
36/110

『禁じられた遊び』

小学校4年の頃まで校庭にあり、のちに撤去された物がある。

一つは旋回塔と呼ばれる大きな傘状の遊具である。鉄輪にぶら下がってぐるぐる回る。

調子に乗って何人かで勢いをつけると恐怖を覚えるほどの遠心力が生まれる。


もう一つは、7mぐらいの長い竹が空に向かって伸びている遊具だ。

左右に鉄柱が立ち、それをつなぐ最上部に一定間隔で鉄の輪っかがある。

そこに突っ込まれた竹を、いかに早くよじ登るかを競うのである。

チーム戦であれば早く降りて次の者と交代する。

危険なのはその時である。事故でもあれば責任が問われるからだろう。

やがて、それらは撤去された。


小3の冬に流行ったのが、わたしが主導していた遊びである。

寒くて手がかじかむのでボールを使う『ろくむし』(※後述)は休止にしたのだろう。


ルールは適当に決めた。内容は、団体の騎馬戦に近い。

三人が一人を担ぐのではなく、一人が一人を背中に担ぐ。

フェニックスが植えてあり、石垣で囲われた一段高い場所にある陣地を奪われたら負け。

自陣では担いだ人間をおろし、休むことができる。

引きずり下ろされたコンビは戦力外となる。


いつも山田君とコンビを組んだ。ほかのクラスからの参戦もあったが、我々は一度たりとも負けたことがなかった。

しかし、山田君は、この春、新しく開校する中央小学校に移ることが決まった。

山田君が言った。

「おれたち無敵だったのになあ」。


中央小学校は、わたしを陥落させた双子の妹、のりこちゃんだけでなく、苦楽を共にした戦友をも奪っていったのである。


しかし、この遊びは禁止された。U君が転んで頭を打ったからである。

誰も同情しなかった。「お前のせいで遊べなくなった」と批判を浴びせた。


 この後、流行ったのが独楽である。好みの色を塗った。

駄菓子屋で売っていたその独楽は、子供の手には余るほどであった。驚くほど重い。

そして大きい。分厚い鉄で武装した、いわゆる「ケンカ独楽」である。火花も飛び散る。


横から弾く方が当たる確率も高く、はずれてもよく回るが戦術は常に進化する。

しばらくすると頭の高さからぶつける「原爆」と呼ばれる投法が開発された。

攻撃力こそあったが、はずそうものなら、地面に激突、自分の独楽がダメージを負った。


次に登場するのが縦回転で2m上空から叩きつける「水爆」である。

わたしはこれを得意としていた。鉄の塊を叩きつけるのであるから、木部にひびが入ることもあった。最強の攻撃力を誇ったが、はずせば、ほぼ自爆である。

広島の地でこのような名称を付けるのはいかがなものかと思うが、なにぶん子供のことである。誰一人「まずいのではないか」と指摘する者はいなかった。


重い上に戦い方が荒っぽいので、すぐに軸が曲がる。地面への抵抗が大きくなる。

時折、石や金槌で叩いてみるが完全には直らない。

戦争は大きな技術革新をもたらすと言う。ここで新兵器が登場した。

曲がらぬ軸である。鉄工所の息子が親に作ってもらったのだ。

当時で言う「鋼鉄」である。今でいう「ベイブレード」の走りである。

うらやむ者はいても「卑怯だ」と言う者はいなかった。


しかし、この遊びも禁止された。Uくんの頭を「水爆」が直撃したからである。

保健室で頭に包帯を巻かれたU君は、度重なる不幸にもかかわらず同情を買うどころか「おまえがもたもたしているからだ」と言われていた。


念のために書き加えておくが、ぶつけたのは、わたしではない。

その「水爆」が、わたしの放ったものであれば、U君は間違いなく病院送りになっていたであろうからである。


挿絵(By みてみん)


『ろくむし』について


小学校3年の頃、休憩時間に男子の間で、ゴムボールを使う『ろくむし』という遊びが流行った。それについて書こうとしたが、なにぶん古い話である。神代の昔である。当時、女子であった方にもわかるようにルールを簡潔に書こうとしたが、『けいどろ』同様かなりあやふやである。ローカルルールも多かったようだ。ここでは、わが校、わがクラスのルールを記す。


まず最初に20メートルほど離れた場所に地面に直系1.5mほどの円を描く。円は校庭のポプラ並木をはさんで描いた。まわりには雲梯やシーソーもあった。障害物があることが望ましかったのである。


2チームに分かれ、オニが円の中で、自分の頭より上にボールを「1むし、2むし」と声を出しながら、6回投げる。子は、その間に円から出なければならない。離れた円に無事たどりつけばとりあえず「セーフ」である。これを6往復すれば「勝ち」となる。円の外でオニにボールを当てられたら「アウト」(頭、顔はセーフ)。オニの側は大きく外してボールが転々となれば目も当てられないので、円の外にいる味方にパスして近くからぶつけることもある。そんなルールだったと思う。


6年の頃「八神は、年中ポケットにゴムボールを忍ばせていた」と言われたことがあるが、これはいささか盛りすぎである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ