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37 強面貧乏お嬢様、本当の幸せをみつけました

最後は2話投稿します。


私とローレンツ様の結婚の日取りが正式に決まった。


それに伴いローレンツ様は、我がアルベルツ子爵邸に移動するための、準備をする事に奔走していた。


まず、子爵邸の整備。


古い部分も多々あったので、直したり、庭も整備していた。


子爵邸の庭には、かつて綺麗に整えて植えていた花達が、無造作に増え、花と雑草がうっそうと生えていた。


まず、花も雑草もすべて取り除こうとしたが、妹のデリアとドリスから強い反対にあい、雑草のみ抜いて、花はそこに生えていたものを利用し、整えた。


子爵邸の整備をする間は、私の家族はブレンターノ家にお世話になっていた。

()()()()()()()()()()ので、そこを借りる事ができたのだ。


お祖父様とお祖母様、それにブレンターノ家の使用人一同「いつまでもいてね」とばかりに、私の家族に構ったらしい。


私はというと、未だにベック男爵家にお世話になっていた。


貴族夫人教育も継続していて、よく、ビアンカも侍女長と一緒に手伝ってくれている。


ここ最近はアンネリーゼお姉様も混ざって、指導を受けていた。


たまに、アンネリーゼお姉様と一緒にブレンターノ家へ行き、ベッティお祖母様からも社交界での振る舞いや、お茶会について聞いている。


アンネリーゼお姉様は、常に目を輝かせながら、お祖母様の話を聞いていた。

何でもお祖母様は、アンネリーゼお姉様の憧れの存在だったらしい。

お祖母様も、アンネリーゼお姉様を気に入ってくれて、全員は難しいが、出来るだけ女性から恨まれなくする方法を伝授していた。



アルベルツ子爵邸の整備が終わり、先に家族が帰宅すると、以前のアルベルツ子爵邸そのものがそこにあったという。


出来るだけ手は加えず、そのまま修復するよう、ローレンツ様が指示したそうだ。

両親は懐かしんで、うっとりという表情で見ていたと妹達は言っていた。


中へ入ると、何と、全員分の新しい服も用意されていた。


ローレンツ様の弟のヴェンデル様が、デザイナーに指示して、作ってくれたのだ。


ブレンターノ家へ寸法を計りに来たデザイナーは、私の家族を見て、目を輝かせた。


「あぁ!止まらな~い!! アイディアが! 溢れ出して止まらな~い!! 誰か!! 誰か!! 紙をじゃんじゃん持って来て~!!」


といって、家族をドン引きさせたらしい。


私もウェディングドレスを仕立ててもらう為に会ったのだが……


「精霊!! いや!! もう女神様ですよね!!  もう、ふんだんに絹を使いたい予感!! やっぱり『絹王子』には絹よね!! でもレースも捨てがたいし……胸にはバラのモチーフのいっぱいつけて~……いえ大胆にこういうのは……あぁ!! 紙!! 紙よ~!! 神よ~!! 私に紙WOW!!」


と、祈られてしまった。


この方を採用したヴェンデル様はすごいと思う。


だって、想像以上に素晴らしいものが出来上がったのだから。


私とローレンツ様も、後日アルベルツ子爵邸に一部のベック家の使用人達と共に引っ越しをした。

一緒に働いていたビアンカは、私専属となって、私を支えてくれている。


今、寝室には、届いたばかりのウェディングドレスがあった。


ウェディングドレスを目の前にして思う。


「私が着ていいのかな……」

「カミラの為に作ったんだ。 カミラが着なきゃダメだよ」

「着こなせるかどうか……」

「絶対大丈夫だから!」

「……ローレンツ様」

「カミラ、そろそろ”様”は取ってくれないかな?

 夫婦になるんだから」

「……ロ…………………………ロー……レンツ?」

「ん~……硬いけどいっか」


そういってローレンツは、私の口に自分の口を重ねた。


ローレンツが離れると、私は身体が全身熱くなり、胸がいつもよりも強くドキドキした。


目……目が合わせられない……!!


「カミラ、こっち向いてよ」

「それは……」


すると、ローレンツ様は私の顔を両手でつかみ、ローレンツ様の正面に私の顔を向かせ、また口を重ねて来た。


さっきよりも……長い……!!


やっと離してもらうと、ローレンツ様はニィっと微笑んだ。


「嫌って言われても、俺は離さないからね?」


それを聞いて、自分で言った事を思い出す。



『夫に愛してもらうなど、私には程遠い夢みたいなものですから』



私の顔が熱くなり、目をそらしていると、ローレンツ様はおもむろに一枚の紙を私に差し出した。

それは、婚前契約書と書かれたものだった。

書かれていた項目を要約すると、3つのことが書かれていた。



・子爵家の負債を清算すること


・カミラの妹達を学園に通わせ、養うこと


・一生カミラと共に愛し合うこと



その下には「ローレンツ・ベック」とサインが入っていた。


私が顔を上げると、ローレンツ様は微笑んだ。


「ここに、サインをしてくれますか?」


「……はいっ!!」


私は、自分を本当に愛してくれる人を見つけたのだった。


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