慟哭
安藤 衛兄ちゃんと海流。ふたりは、お隣に住んでた私のおさななじみ。私と優里お姉ちゃん、海流と衛兄ちゃんの4人はいつも一緒だった。
「張本人」って、どういうこと?『飛ばした』って。
「いや私にも本当の所は分からないよ?あくまで私の主観だからさ。でも、多分安藤で間違いないと思う」
なに、言ってるの?
だって、私たちがいた世界には、むこうには、
「魔法」なんか、ないよ。
「さあ。私にも詳しい理屈は分からん。でも、あいつが使ったのは間違いなくこっちでいう『魔法』だったと思うよ」
……ずび
「まあ積もる話はいっぱいあるんだけどさ、とりあえずは再会を喜んでほしい所だけどね」
…ごめんなざい
「まあいいよ。しっかしあんた、外面ばっかり良くなって中身は全然変わらないよね」
そ、そうがなあ
「どうしたのさあんた、鼻ぐすぐすいわせて、目え真っ赤にしちゃって。まさか、また!?」
にゃにが?
「『にゃにが』じゃないわよ!あんたまた泣きべそかいてるでしょ!だからそれやめろって前から、」
だって。
だって。
もう、だめだよ。
うえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええん!!!!!!!!!!
わたしずっとひとりだっておもってたの!わたしはリリアンヌだけどるりでもあって、だれもるりのことなんかしらなくって、わたしのしってるむこうとかほんとはそんなものはじめからなくって!わたしあたまがおかしいんじゃないかって!もしかしたらわたしがみてるゆめなんじゃないかって!でもおきてもなんにもかわらないの!!なんどねておきてもリリアンヌのまんまなの!!ずっとアンディはいっしょにいてくれるけど、わたしがるりだってアンディにはいえなくて、でもわたしがおかしいんだからがまんしなくちゃいけないっておもってて!!
「…瑠璃」
でもほんとうはおうちにかえりたかったの!!おとうさああん!おかあさあああん!あいたいよおおお!おねえちゃああああああん!!あいたいよおおおおおおおお!!!!!
わたしおうちにかえりたいよ!かえりたいよおおおおおおおおおお!!!!!
「瑠璃、あんた」
う゛ええええええええええええええええええええええん
う゛ええええええええええええええええええええええん
かえりたい
かえりたい、よう
おうちに、かえりたいよう
「あんた、いっぱい我慢してきたんだね」
そういって、和美は私をそっと抱きしめた。
「…ここの」
「うん?」
みんなが嫌いなわけじゃないの。
お父様もお母様も王様も王妃様も、アレックスやフェル様やイリーナやキャサリンやほかのみんなも、私はだいすきで、中でも、
アンディはとってもだいすきで。
「うん」
だから、このあとずっとここにいるならそれでもいいかなあって。
「うん」
でも、もし私の中にいる「瑠璃」がほんもので、ほんとうにそんな世界があったんだったら、
「うん」
お父さんやお母さんやお姉ちゃんやほかのみんなにもう一度、あいたいよ。
「…ごめん。私はむこうに戻る方法は知らないんだ」
うん、わかってる。だからそれはいいよ。でも、
「うん?」
もうずっと、離れないでいっしょにいてよ、和美。
「…あんたは本当に甘えっこだなあ」
だって、もう誰にも会えないと思ってたんだよ。
「まあいいよ。あたしもあんたに会えて、本当は嬉しい」
そうなの?和美はそういうところあんまないって思ってた。
「まあ始終、って訳にはいかないけどさ、これからはできるだけあんたと一緒にいるよ」
うん、約束して。一生いっしょ。
「そういうのはあたしじゃなくてアンディに言いなよ」
アンディにはもう言ったし、言われた。
「なにそれ。16歳には重すぎるわ」
でも。うれしかったし。
「ふーん。久住君見つけたら言ってやろ。『あなたの瑠璃ちゃんはもう寝取られてました』って」
なにそれ。
「まあまだあんた気持ちの整理がつかないだろうから、後でじっくり説明してあげるけど」
うん。
「あんたと私以外に、安藤んとこの兄弟、それに久住君は」
うん。
「ここにいる可能性が高い」
うん。
え?




