13話 初モンスター討伐とイレギュラー
次の日。
気が昂ぶっていたのか、俺より早く起きていた討魔を連れギルドに訪れるとちょうど良く討伐系?の依頼が残っていたので、受付に向かい依頼を受理してもらうとそのまま街の外に繋がる門へ向かった。
なんの問題も無く無事街の外に出ることが出来た俺たちは、早速近場にある森に向かい依頼にあったモンスターを探すことにした。
俺たちが受けた依頼は“森で活動が活発になったゴブリンの調査と殲滅”だ。
ゴブリン――
異世界転生物でもメジャーなモンスターで、スライムやコボルトなどと共に最弱モンスターに数えられているモンスターだ。
ここ、グロウディアでもこの扱いは変わらずギルドで認定される最低の危険度であるF級だが群れに統率者が生まれた場合は危険度が跳ね上がり危険度が3つほど上がってC級になる。
C級になると駆け出しの冒険者では相手にならなくなる為、こう言った調査・殲滅依頼に関してはベテランが担当するようになる。だがそんな危険な依頼が駆け出しであり大剣を持って粋がる少年と武器・防具等を一切持たない少女(ハタからから見れば、だが)に受理されるだろうか?
少し注意しながら進むか…
そう考えながら、歩いていると討魔が何かを見つけたらしくこちらを手招きしていた。
「主よ。向こうにゴブリンがいるぞ」
「そうか、まずは殺さずにアイツに群れまで案内させるか…」
そう言って追跡を始めると、このゴブリン寄り道するわ、昼寝を始めるわ自由奔放で何度かイラついた討魔が己を分体として生み出して斬りに行こうとするなどの小さなアクシデントはあったがなんとかゴブリン達が住むと思われる集落にたどり着いた。その集落では約300匹程のゴブリンがいて、下手につつくと返り討ちに遭いかねなかった。そのまま集落に突撃しようとする討魔を抑えながら観察を続けると群れのボスと思われる個体が出てきた。その個体を鑑定してみるとこんな結果が出てきた。
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名前 ―――
種族 ゴブリンロード
年齢 7歳
レベル 8/50
ステータス
HP 5300/5300
MP 490/490
STR 7600
DEX 7980
VIT 7940
AGI 7300
INT 4970
MND 4960
LUK 30
スキル 王者の風格Lv―
剣術Lv3
初級魔法(闇)Lv4
自己治癒Lv―
言語理解Lv―
称号 群の統率者
最終進化
王者
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「…なあ、帰った方がよくないか?」
そんな弱気な発言が許される程度には危ない存在ではある。ちなみにゴブリンロードの危険度は単体でB級、群れを率いた場合がA級にも届く大物だが、討魔は逆に目を輝かせていた。
「こんな時こそ主が力を示すとき!幸い某の得た経験値は所有者である主に行くのだから、この群れを潰せば主のレベルも上がるであろう!!」
なんか、聞き捨てならない情報と共に撤退を拒否する討魔に流され、闘うことになってしまった。
「俺が戦うことは分かった。だがお前は周りのモンスターにも手を出すな」
そう討魔に釘を刺すと、俺は歩き出す。
万が一にも俺より強いことはないとは思うが、用心するに越したことはないか…それに――――俺も強い奴と殺り合うのは好きだからな。
そんな戦闘狂みたいなことを思いながら俺は彼?の前に立った。
「すまんな、ゴブリンロード。こっちの怖い女の子からの頼みでな、ちょっと俺と殺り合わねえか?」
返答を期待しているわけではないが、と呟いてみると驚いたことに答えが返ってきた。
「――人間如きが俺に逆らうか。いいだろう、キサマには地獄を見せてやろう!!」
そう奴はいってこちらに向かって来た。
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戦闘が始まると同時に俺は手に持った大剣を横に構えた。いわゆる脇構えと言われる構えで身体の横で流して構える。そして――
「…まずは一本貰うぞ、疾の太刀・紫電」
――まさに雷の疾さで振り抜かれた剣が奴の腕を斬り飛ばす。
紫電とは、兒嶋流の免許皆伝のみ存在を知ることが許された6つの剣のうち“最速”を司る一太刀だ。ちなみに、豪の太刀・山砕は“最大火力”を司っている。
そんな“最速”の太刀である紫電は全力で放つと、切っ先が光速に限りなく近い速度で動く為コレを防げるのは兒嶋流の免許皆伝保持者でないと無理だ。その代わり、討魔を使わないと振った剣自体があまりの速さに耐え切れず溶け落ちてしまうため、今回は速度をかなり抑えて振っているがそれでもマッハ7万近く出ている。それでも壊れないこの大剣の頑丈さは本当にありえないと思う。
「なあ、ゴブリンロードよ。力量差は分かった筈だ、それでもまだ殺り合いたいか?」
息を整えて油断なく剣を構えながら奴に聞くと斬られた部分を抑えながら奴は言った。
「片腕を切り落としたくらいでつけあがりおって人間如きが!!“自己治癒”!!」
スキルを発動させ、斬られた腕を再生したようだが、甘い。
「そうか、ならまだまだ行くぞ?“晄気操作 対象・剣”疾の太刀・紫電」
俺はオーラを剣に纏わせ限界まで強化することで、擬似的に強度を討魔と同等かそれ以上まで引き上げた。これにより紫電を全力でぶっ放すことが出来るようになり、それによって起こった現象。
それは――これこそが雷撃だと言わんばかりの速度と威力で振られた剣が、奴の身体を横一文字に斬り裂いた。
だが、それでも足りなかったらしく奴はそのまま再生してしまった。
その後も斬っては再生してを繰り返してきたが、再生する毎にだんだんと消耗していく奴は自身が勝てないことを悟り、自爆特攻を仕掛けて来た。
「ハアハア、貴様だけは絶対に後悔させてやる…!“暗闇弾”!!」
息を切らせながらそれでも魔法を放って来た胆力は称賛に値する。だが、それももう終わりだ。
「悪いな、ゴブリンロード。これで終いだ……豪の太刀・山砕ッッ!!」
放った斬撃は、奴を咄嗟に受けた奴の剣ごと唐竹斬りにした。
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「…ふう。これで最後か」
ゴブリンロードを倒して数時間後、司令塔を失って混乱したゴブリンの群れを殲滅するという依頼を達成する為に黙々と作業を行い、今やっと見つけることが出来たなかで最後のゴブリンを狩ることが出来た。
ちなみに討魔は分体創造で生み出した刀状態の分身を使って戦っていた。
後は、ゴブリンやゴブリンロードの討伐証明部位である耳を手持ちにナイフがなかったので手刀で切り取った後、森から街に向かっていた。もう空は夕暮れどきで、オレンジ色が少し眩しかった。
「さあ、早く帰って飯にでもしようぜ!」
「待つのである、主よ。その前にゴブリン共を換金しないと腐ってしまうである」
「へー、そうなんだ。」
そんな色々と新しく覚えることが増えた冒険者生活が始まった。
ちなみに実際には、どう足掻いても手刀でモノを切断することはできません。
オリオンが切れているのは、オリオンが特殊だからです。




