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コメディー

まな板を叩く音

作者: 山目 広介

 ――トントン、トントン――


 小気味良い調子で軽快な音が響く。

 これは味噌汁だろうか。

 他にも香ばしい香りが鼻をくすぐる。


 ぐるるる~


 お腹が鳴る。

 だがもう少し寝ていたい。

 目を瞑ると巨乳美女がエプロンを着けてキッチンに立っている。

 背中しか見えていない。顔が見えないが妄想だからたぶん美人だ。

 脇から覗く、横チチ。

 エプロンに皴を作る胸。


 きゅるるるる~


 睡眠欲と性欲の合わせ技に食欲が勝ちやがった。

 目が覚める。


 ――トントン、トントン――


 未だに聞こえてくる音。匂いとともに食欲を刺激する。

 布団から出て、洗面所へ行く。ついでにトイレにもよって用を足す。

 そしてキッチンへ踏み込む。

 弟と幼馴染の俺の彼女があの音を作っていたようだ。

 弟は目玉焼きが良かったようだ。だがテーブルには俺の好みのだし巻き玉子がある。

 だから駄々を捏ねているようだ。


 その音を聞きつつその光景を眺めていると、昨日の絶望が襲ってくる。


 彼女の親戚の集合写真を見せてもらったときだ。

 女系家族なのか従姉妹は皆女の子だった。訊ねてみると男は席を外していただけだそうだ。

 その親子たちで並んだ写真には共通点があった。

 巨乳の母と絶壁の娘。

 俺は彼女の母親の巨乳を信じていた。その遺伝子を!


 目から心の汗が溢れてくる。

 未だに弟がまな板(彼女の胸)を叩く音が響いていた。


 ――トントン、トントン――




 リア充は爆発しろ!

 とりあえず、おっぱい星人はちっぱいとくっ付いてろ!



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