演技が上手なのね
群像小説のため、単話で読むと、場所が分り難いと思われますので、一応、1話ごとに場所を書いておきます。
異世界:リベルト村
◇ レイカ 一 ◇
ドサッ!
「痛っ!」
硬い床に尻餅を着いた。
急に何?!ここはどこ?
……さっきまで、洞窟の中にいたと思うんだけど……
ザワザワザワ!
周囲がざわついている。
見渡すと、私は大衆に囲まれていた。
……耳が尖っている……
という事は、この人達は、エルフ?
まるで本物みたい。
最近のメイク技術は凄いのね。
「あなたは、もしや精霊使いですか?」
一人の男エルフが声をかけてきた。
ああ、そういう設定。
ちょうど、私も精霊使いの格好をしている。
「はい、そうです」
「おお、やはり!」
リアクションも上手だ。
「あなたこそ、言い伝えにより私達が待ち望んでいた、伝説の精霊使い」
演技力もいい。演技指導の賜物だろう。
「どうか、私達と共に、世界の混乱を鎮めて下さい」
全員が土下座を始めた。
ホント、演技が徹底している。
「分かりました。私に出来る事がありましたら、お手伝いさせていただきます」
「「「おおお!!!」」」
歓声が上がった。
「私は、このリベルト村の長エレニアです」
先ほど、声をかけてきた、男のエルフ。
「私達は、近年続いている、アイリーン王国とワグーナ王国の争いを解決したいと思っているのです」
「えーと、アイリーン王国と、ワ……、何でしたっけ?」
「ワグーナ王国です」
設定が細かいのね。覚える必要はあるのかしら?
「……なるほど……伝説の精霊使い様は、この世界とは違う世界から来られた方なのですね……」
一人で何かを悟り、納得されている様子。
「この世界で分からない事がありましたら、私達が全力で援助させていただきますので、何でもお聞き下さい」
あ、そういう風に話を進めていくのね。
「ありがとうございます」
……そう言えば、アキラさんとルカワ、ルナはどこにいるのかしら……