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家族で異世界に行ってみた  作者: りゅうポン
第一章 アイリーン王国とワグーナ王国
3/45

え、一人じゃないの?

群像小説のため、単話で読むと、場所が分り難いと思われますので、一応、1話ごとに場所を書いておきます。


異世界:アイリーン王国

 ◇ アキラ 二 ◇


 まあ、夢を見ているという可能性が高いし、いや、そう信じたいだけかもしれないが、まずは心を落ち着かせよう。

 リアルな感覚はあったが、そういう夢もきっとあるのだろう。

 僕は深呼吸をして、心を落ち着かせようとした。

「あのー」

「うわ!?」

 突然、声をかけられて心臓が跳ね上がる。

「あ、すみません、驚かせるつもりはなかったのですが……」

 薄暗くてハッキリとは見えないが、少女がお辞儀をしたように見えた。

 落ち着こうとしていた矢先だったため、めちゃくちゃ驚いたけど。

「まさか、同じ牢屋にもう一人入ってくるとは思いませんでしたので」

 驚かせるつもりはなかったのか、申し訳なさそうにしている。

 声や身長、雰囲気から、中学生くらいの年齢と思われる。

「君は、僕が入る前からここにいたってことだよね?」

 収まらない動悸を、必死に誤魔化しながら、僕は質問をした。

 ……広めの牢屋で、薄暗いとはいえ、一時間も気配を感じさせないって、どうやったらそんな事が出来るんだ……

「はい」

 視界に、少女の全身が入る。同時に、服装を見て、先ほどの疑問が解けた。

 忍者の服装。正確には、忍者に近い服装と言った方がよいかもしれないが。

 忍者とは限らないが、この世界にも、忍者のような存在がいるという事は分かった。

「たぶん、僕がここに入ることになったのは、予定外の事だったんだよ」

 日本では、一つの房に何人も入ることの方が多いが、ここはそうではないらしい。

 そう考えると、今回、一つの牢屋に二人入ることになった理由は、僕が牢屋に入った事がイレギュラーだったという事。

 急遽、牢屋に入れる事になったと推測できる。

「……賢者様のような方が、このような場所に入れられてしまうとは、やはり、この国に未来はないのかもしれませんね……」

「………………」

 自分が賢者のコスプレをしていた事を思い出す。

 ……どうしよう……本当は賢者ではない事を言った方がいいのかな……

 でも、この子が何者かまだ分からないし、取り敢えず、その事に関しては保留にしておこう。

「この国に未来がないって、どういう事?」

「父が言っていました。エストリア女王は、ただの傀儡。大臣を中心とした貴族達がアイリーン王国を腐敗させていると」

 今いる国は、アイリーン王国という名称らしい。

 大臣とは、女王の隣にいた大臣の事だろう。確かに悪人面していた気がする。

「私は大臣暗殺のために、城に潜入したのですが、上位魔術師が大臣の寝室に拘束結界を張っていたため、捕らえられてしまったのです」

「………………」

 ……ツッコミどころが多すぎて、どうしようかと……

 なになに、こんな子どもが大臣を暗殺?そういう世界なの?

 それだけでも驚きなのに、魔術師とか出てきているし、この世界、魔法が使えるのか?

 結界とか、完全にファンタジー世界だよ。

 ……あ、夢かもしれないんだった……

 もし、夢だったとしたら、設定が細か過ぎ。

 というか、この世界の忍者は、任務の内容を初めて会った人にこんなに話してもいいのかな?

「君みたいな子どもが、暗殺なんてしたらダメだよ」

 取り敢えず、一番言いたかった事を、僕は少女に伝えた。

「でも、暗殺の任務は、私、もう何回もしていますよ」

 少女はあっさりと答えた。


 ……うーん、やっぱり、この世界は、僕が作り出した夢だ……

 子どもが、暗殺をする事に躊躇のない世界なんて、僕は認めたくない。

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