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闇のペンタクル  作者: 侑佐
真緒の秘密
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「ねぇ、貴夜くん……」


 真緒の心がざわつく。体を起こしてどうにか貴夜の元へ行こうとするが、思うように動けない。頭はふらふらするし、言葉を発するだけでも息が上がる。


「貴夜くん」


 泣きそうな、ふるえる声でもう1度呼ぶ。言うことを聞かない体にむち打ちながら、床にはいつくばってでも貴夜に手を伸ばした。けれどもその手は届くこともなく……。視界が涙で滲んでいく。声にならない声が口からもれた。


 嫌だ、嫌だよ。さっきまで元気だったのに、そんな……嫌だよ。どうして? どうして返事してくれないの?


 真緒がそう思っていると、仰向けになっている貴夜の体がピクッと動いた。


「た、貴夜くん?」


 錯覚だろうか? 真緒は目をこすって瞬きした。貴夜の方から小さなうめき声が聞こえてくる。


「う……あ……」


 貴夜はなにか言いたそうだった。けれどもそれは苦しい叫びのようにも聞こえ、真緒はなんて声をかければいいのかわからず、黙って見ることしかできなかった。


「ああ……あがっ……」


 貴夜の左手が動く。ふるえながら天井に向けて伸ばす様は、救いの手を求めているようにも見え、真緒の目に痛々しく映る。


「たっ、貴夜くん!」


「あ……う……あ……たまが……」


「貴夜くん! 私はここにいるよ……大丈夫だよ」


「あた、まが……めが……」


「え?」


 真緒が観察するように貴夜を見つめる。


 貴夜はふるえる左手をおでこに乗せ、右脚を三角に曲げて立たせた。大量の汗をかき、浅い呼吸をしている。右手の腕からは血が止まることなく流れていた。


「目、が……目が……見えない……頭、が……痛い」


「そ、そんな……どうして?」


 真緒は、わけがわからなかった。貴夜が腕のけがをしたのは見ていたから知っていたが、頭などは知らない。竜との戦いを回想しても、そんな場面が出てこない。自分の知らないところで、けがをしたのだろうか。


「くっ……はっ」


 貴夜の口が酸素を求めるように大きく開いた。目尻から、透明のしずくが流れて髪をぬらす。


 

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