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「きみたちは麗華の友達だね?」
真緒と遊の目線に合わせて、小声で確認するように言う。
髪色が違う上に、青年の顔が麗華よりも知的そうに見えるが、よく見れば顔かたちが少し似ている。真緒は、この時はじめて青年と麗華が兄妹であることを知った。
真緒たちが深くうなずくと、青年の硬かった表情が少しだけゆるむ。
「そうか。これからも仲良くしてやってくれ。あいつ、気が強くておせっかいのようなところがあるけど、本当は良い子なんだ」
「うん、もちろん! あ、ニーニが、えっと麗華ちゃんが、ずっとお兄さんのこと探してました! 今日も、誰かが霧雨通りでお兄さんを見かけたとかで……でも探したけど見つからなくて。だから、早く」
遊が話している途中で、青年は再びくちびるに人差し指を添え、しぃーっと息をもらす。そして、なにかに気づいたのか後ろを振り返り、緊迫した様子で真緒たちに話しかけた。
「悪いけど、今は時間がないんだ。きみたち、ここにいてると危険だ。今すぐここを、いや、霧雨通りを離れた方がいい!」
青年の言っている意味がよくわからず、真緒と遊が顔を見合わせ、首をひねる。
「それと、忘れずにあのチョコを届けてくれ! 必ずだよ!」
真緒たちが青年の方を見た時には、青年は出入り口の扉の方に向かって走り出していた。
「お兄さん、なにかあったのかな?」
「わかんないけど、ここが危ないって言っていたから、麗華ちゃんたちに知らせた方がいいのかも」
真緒たちは青年が人ごみの中に消えたのを見て、足早に麗華と貴夜を探すことにした。
周りから、菓子を食べてゲームを楽しんでいる子供の声がする。陽気な音楽も流れていて、不穏な空気などない。真緒は、麗華の兄の言葉が本当なのかわからなかった。
「あっ! ニーニ!」
探しはじめてすぐに、遊が麗華を発見した。
麗華は、輪投げコーナーでおしゃれなブローチを手に入れるために、たくさんある棒の、真ん中あたりをめがけて何回も輪を投げている。真緒が隣のコーナーをちらりと覗けば、そこに貴夜もいて、吹き矢で的を射るゲームをしていた。
「ニーニ! 大変だよ!」
「ちょっとなに? 今、私、集中してるんだから邪魔しないでよ」
遊に話しかけられ、手を止めた麗華がしかめっ面をして腰に手をあてる。
「それどころじゃないんだ! ニーニのお兄さんが、さっきまでこのお店にいて、ぼくたちに危険だから逃げろって」
「え? 今なんて言ったの? 私の兄さんがここに? どうして?」
麗華は遊の言葉が信じられず、疑いの眼で遊を見た。
「そうだよ。なんでここにいたかは知らないけど、真緒ちゃんにチョコを渡して、すぐにどこかへ行っちゃったんだ」
「なにそれ? どういうこと?」
「だから、それは僕もよくわからないよ。確か、誰かに渡して欲しいとかって……ねぇ、真緒ちゃん、そうだったよね?」




