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「ねぇねぇ、どこのお店で食べる? 僕、卵料理食べたいなー。真緒ちゃんはなにが食べたい?」
遊が尻尾を振りながら質問する。着ているレインコートは無色透明で、フードには遊の耳の形に合わせて三角の山が2つある。
真緒は、それがなんだかかわいらしいと思いつつ、こぶしをあごにあてて、なにが食べたいか考えた。
「えっと、えーっと……私も、卵料理かな」
はにかみながら小さな声で答えると、遊が青い瞳をキラキラ輝かせながら笑みをこぼす。
「私も!」
真緒と遊の間に立つ麗華が、自分の存在を主張するように小さく手を挙げて言った。
「貴夜がいいんなら、卵料理にしましょ。霧雨通りの卵料理はおいしいって評判だし! どう?」
「俺は、なんでもいい」
「じゃあ、卵料理にけってーい!」
遊が右手をグーにして元気よく上に伸ばす。
「どこのお店にする? ふんわり亭は?」
遊の提案に、麗華は首を横に振った。
「それなら、モグミール・パララの方が絶対いいわよ! 値段が比較的安い方だし、味もおいしくって申し分ないんだから。ただ、人気があるからすぐに入れるかわからないけど」
「じゃあ、とりあえずそこに行ってみよ!」
遊の言葉に、真緒も貴夜もうなずいた。
モグミール・パララに着くと、運良く待たずに入ることができ、真緒たちは4人用の四角いテーブルに席取った。
皆でメニューを見た後、貴夜がテーブルに置いてあるベルを振る。カラン、カラン、カランと、軽やかな金属音が鳴った。
「こんばんは。ご注文をどうぞ」
給仕する女性がやってきて、小さくお辞儀した。黄色いワンピースに白のエプロン、頭にはレースの付いた白のカチューシャをしていた。
「僕、カツどんぶり!」
「俺はカルボナーラ」
「私はオムライスにするわ」
「私もオムライスで」
遊、貴夜、麗華、真緒と、ひとりひとり注文する。
「かしこまりました。カツどんぶりが1つ、カルボナーラが1つ、オムライスが2つ。以上でよろしいですか?」
給仕する女性が笑顔で復唱すると、真緒たちはこくりとうなずいた。そして注文した料理が来るまでの間、次に行く店の話をする。
「ここって、どんなお店なの?」
真緒は貴夜が広げた地図を見て、ある場所を指差した。黒の四角い記号がたくさんある中、そこだけピンクの星で記されていた。




