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闇のペンタクル  作者: 侑佐
先天能力
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13

 しばらくして、諸岸導士の話が終わると、真緒たちは地上に出た。


「はぁ。やっとオリエンテーションも終わったわね」


 麗華が両手を組んで、夜空に向かってうんと腕を伸ばす。


「そうだよ。次から授業がはじまるよ! あー楽しみっ! どんなこと、教えてくれるんだろう?」


 遊はスキップしながら、真緒たちの前を行く。ローブから出たふさふさの茶色い尻尾が、左右に大きく揺れていた。


「私は、呪術か占術が楽しみだわね」


 麗華がそう言うと、貴夜もうなずく。


「そうだな。それ以外は特に興味もないし」


「僕も早く呪術習いたい!」


 振り向いた遊が、今度は後ろ向きで歩き、途中で立ち止まった。


「出でよ! 大きなチキン!」


 右手の人差し指を立て、くるっと手首を回す。しかし、もちろん、なにも起こらない。その場に凍てつくような空気だけが流れた。


「そんな呪文、呪術にあるわけないじゃない。どちらかというと、それは呼霊術に近いわよ。ま、そんな呪文でチキンが出てきたら、お月様もびっくりだけどね」


 麗華が肩をすくめ、両手を両頬の横で広げてみせた。わざとらしい驚きのしぐさに、遊はむぅっとして頬を膨らます。


「バスが来てる。先に行くぞ」


 ふたりの間を、貴夜が無表情のまま通り過ぎる。待ってよ、と言って、遊と麗華もバスに向かった。


 そんな彼らを黙って見ていた真緒は、ひとり取り残された気分だった。


「真緒も早く!」


 麗華に呼ばれ、はっと我に返る。


「うん!」


 小さな笑みを浮かべ、3人のもとへと走った。そして、明日は今日より楽しくなりますようにと願った。


 濃紫の空に、ひとつの小さな星がきらめく。学園の木々は、静かにバスを見送った。


 

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