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「僕なんか、プレウッティス買うのに貯金全部はたいちゃって、お小遣い全然ないから!」
白い歯を見せて笑う遊に、
「自慢げに言うな。それは自業自得だ。お前は単なる……」
「バカだわね」
貴夜と麗華が呆れた顔で遊を見た。真緒はくすくすと笑った。
「もう、そうやってみんなで僕をバカにするー! 後で罰が当たっても知らないから! あ、そうだ、真緒ちゃん。霧雨通りに行くから、明日はレインコートを着てくるか、持ってきた方がいいよ」
「え? うん?」
真緒は小首を傾げた。その反応を見た貴夜が、遊の言葉に補足する。
「あの場所は、名前の通り、雨がよく降るんだ。霧も、よく発生する」
「そうなんだ。わかった、ありがとう」
食事が終わり、真緒たちは次の目的地、占術紅学院へと向かった。しかし、時間の都合上、下車することなく通過するのみとなった。ハイド魔法学園や呪術シャドウ学園と違い、光の玉の数が少ないのか、それとも光の玉の明かりが弱いのか、学院全体が少し暗く、落ち着いた雰囲気だった。
「お前って、変わってる」
箱列車の中で、真緒の右隣に座る貴夜がおもむろに口を開いた。
「え?」
真緒が聞き返すと、貴夜は一瞬黙り、真緒の目を見た。そして同じ言葉を繰り返す。
「入儀式の日から思ってたんだ。お前って、変わってるよな」
「た、貴夜くん、急にどうしたの?」
どもりながらも、真緒は追究した。が、胸の奥が妙にざわつく。灰褐色の毛先から覗く赤紫の瞳。まるでなにかを見透かされているような気分になった真緒は、貴夜から視線をそらそうとした。貴夜の背景に、見たことのない占術紅学院の建てものが、流れていくのがわかる。だが、その鋭い眼差しから逃れることはできなかった。
「貴夜、なに失礼なこと言ってんのよ」
真緒の左隣から、麗華が顔を出した。
「麗華ちゃん?」
「真緒も失礼だと思ったでしょ? 貴夜ってば、時々、思ったことをためらいもなく言ったりするんだから。それも、初対面の秘人でも言うの。ま、悪気があって言ってるわけじゃないと思うから、真緒も気にしないでいいわよ」
麗華の言葉の後、貴夜がため息をつき、ふいっと顔を正面に戻す。そこで会話が終わってしまい、真緒はこれで良かったのだろうかと心配しつつも、心のどこかで安堵した。
占術紅学院の次は、ひぐれ妖術学校だったが、ここも時間の短縮で通過するのみとなった。ひぐれ妖術学校は、魔示士の見習い学校としては最古で、長い歴史と伝統があった。ひと通り学校を見た後、地下街を回ってハイド魔法学園前に戻る。あと少しの時間で、オリエンテーションが終わろうとしていた。
「諸君、ご苦労だった。今からは見習いとしての心得を話す。それが終われば今日は解散だ。眠たい者もいると思うが、しっかりと心に留めておくように」
皆、疲れて眠そうにしていたが、諸岸導士に言われて気を引き締め直した。




