表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇のペンタクル  作者: 侑佐
先天能力
62/105

12

「僕なんか、プレウッティス買うのに貯金全部はたいちゃって、お小遣い全然ないから!」


 白い歯を見せて笑う遊に、


「自慢げに言うな。それは自業自得だ。お前は単なる……」


「バカだわね」


 貴夜と麗華が呆れた顔で遊を見た。真緒はくすくすと笑った。


「もう、そうやってみんなで僕をバカにするー! 後で罰が当たっても知らないから! あ、そうだ、真緒ちゃん。霧雨通りに行くから、明日はレインコートを着てくるか、持ってきた方がいいよ」


「え? うん?」


 真緒は小首を傾げた。その反応を見た貴夜が、遊の言葉に補足する。


「あの場所は、名前の通り、雨がよく降るんだ。霧も、よく発生する」


「そうなんだ。わかった、ありがとう」


 食事が終わり、真緒たちは次の目的地、占術紅せんじゅつこう学院へと向かった。しかし、時間の都合上、下車することなく通過するのみとなった。ハイド魔法学園や呪術シャドウ学園と違い、光の玉の数が少ないのか、それとも光の玉の明かりが弱いのか、学院全体が少し暗く、落ち着いた雰囲気だった。


「お前って、変わってる」


 箱列車の中で、真緒の右隣に座る貴夜がおもむろに口を開いた。


「え?」


 真緒が聞き返すと、貴夜は一瞬黙り、真緒の目を見た。そして同じ言葉を繰り返す。


「入儀式の日から思ってたんだ。お前って、変わってるよな」


「た、貴夜くん、急にどうしたの?」


 どもりながらも、真緒は追究した。が、胸の奥が妙にざわつく。灰褐色の毛先から覗く赤紫の瞳。まるでなにかを見透かされているような気分になった真緒は、貴夜から視線をそらそうとした。貴夜の背景に、見たことのない占術紅学院の建てものが、流れていくのがわかる。だが、その鋭い眼差しから逃れることはできなかった。


「貴夜、なに失礼なこと言ってんのよ」


 真緒の左隣から、麗華が顔を出した。


「麗華ちゃん?」


「真緒も失礼だと思ったでしょ? 貴夜ってば、時々、思ったことをためらいもなく言ったりするんだから。それも、初対面の秘人でも言うの。ま、悪気があって言ってるわけじゃないと思うから、真緒も気にしないでいいわよ」


 麗華の言葉の後、貴夜がため息をつき、ふいっと顔を正面に戻す。そこで会話が終わってしまい、真緒はこれで良かったのだろうかと心配しつつも、心のどこかで安堵した。


 占術紅学院の次は、ひぐれ妖術学校だったが、ここも時間の短縮で通過するのみとなった。ひぐれ妖術学校は、魔示士の見習い学校としては最古で、長い歴史と伝統があった。ひと通り学校を見た後、地下街を回ってハイド魔法学園前に戻る。あと少しの時間で、オリエンテーションが終わろうとしていた。


「諸君、ご苦労だった。今からは見習いとしての心得を話す。それが終われば今日は解散だ。眠たい者もいると思うが、しっかりと心に留めておくように」


 皆、疲れて眠そうにしていたが、諸岸導士に言われて気を引き締め直した。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ