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オリエンテーション3日目の夜。真緒はちょうちん捕りに没頭した。
菅原導士が、これくらい簡単にできなければこれからの授業についていけないと言い、さらに、できなかった者は厳しい特訓があると言ったからだった。
「真緒、ただ単に捕まえようとしないで。ちょうちんがどう動くか先を読めば捕まえやすいわよ?」
昨日ちょうちんおばけを捕まえた麗華が助言した。
「あ、ありがとうっ!」
そう言って、真緒はちょうちんおばけのそばまで来ると、どう動くか思考を巡らせた。
すると、ちょうちんおばけは真緒をバカにするように、ぴょんっと真緒の頭の上に飛び乗った。
「あっ……!」
真緒が両手で頭上にいるちょうちんを捕まえようとすると、ちょうちんは頭上で跳ねて地面に飛び降りる。
そんな動作を2、3回繰り返すと、それを見ていた麗華と遊は、くくっと笑いを押し殺した。
「う~捕まえられないよぅ」
真緒が眉を八の字にして弱音を吐くと、貴夜は諦めるなと言って、近くにいたちょうちんおばけをひょいと捕まえてみせた。
「貴夜くん、どうしてそんな簡単に……」
「素早く動けば、捕まえられる」
「真緒ちゃん、頑張って!」
遊も応援した。だが、とうとう時間がきてしまい、真緒はがっくりと肩を落とした。
「野土谷奈落、宮本真緒。このふたりは、授業初日の放課後、この実習室に来てください」
菅原導士から、居残りを言い渡された。練習が終わってからの予定は、他校を含む学園都市の見学で、皆、ウキウキしていたが、真緒は違う。
授業初日に早速居残りがあること。しかも、居残りをするのは自分と、ぶつかってにらんできた野土谷奈落だけなのだ。そんなことを考え、真緒はますます気が滅入っていた。
「ねぇ、あんたたち。このリボンがいいと思う? それとも、この帽子?」
麗華が自分の髪の一部を使って、白いリボンにしたり、黒い帽子にしたりしている。気が滅入っている自分に遠慮して、あのふたりに話しかけているのだろう。真緒はそう思って、ぼーっと見ていた。だが、よくよく見れば、紫の髪の毛自体が白いリボンになったり、黒い帽子になったりしているのだ。
「え? 麗華ちゃん、その髪って……」
不思議に思った真緒に、麗華が答えた。
「ああ、私のこの髪? そうなの、頭髪変形なの。だから、おしゃれするのにすごく便利! ねぇ、真緒はどっちがいいと思う? 貴夜と遊は、どっちでもいいって、適当に答えるの。だから、ここは真緒に選んでもらうわ」
「ええっ? わ、私? 私なんかがそんなっ。麗華ちゃんと違って、センスとか全然ないしっ」
真緒は両手を左右に振りながら、顔も左右に振って、全面拒否した。
「いいから、いいから。私がどっちか決めかねているだけなんだから、真緒の好みでいいの! お願い! どっちか選んで」
麗華にすがられ、真緒はしぶしぶ了承した。麗華はにっこり笑って喜んだ。




