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再び夜がやってきて、オリエンテーション2日目を迎えた。真緒は家を出る前に、17日のことをおばさんに話した。おばさんはいすに座って眼鏡をかけ、わらでなにかを作っているらしく、もくもくと編んでいる。
「仲良くなった友達と遊びにかい? いつも言っていることに気をつけて、早く帰ってくる約束ができるなら、別に構わないさ」
「おばさん、大丈夫です! 約束しますから」
「……そうかい。ところで、あの魔獣変化の子とは、また会ったりしたかい?」
「えっ? あ、えっと……同じ学校なので、それはまあ、会いましたけど」
「言わなくてもわかっているだろうが、あの子には特に気をつけるんだよ。他の魔獣変化の子もそうさ。あまり仲良くしないに限る。いいね?」
「は、はい……」
どうして言えないんだろう? 情けなさで胸がいっぱいになってくる。真緒は、遊と学園でも仲良くなったこと、そして17日に一緒に遊ぶことを、言えずにいた。
「あ、あの……オリエンテーションって、授業じゃないし、早く終わると思っていたんですけど、いろいろすることが多くて、その……」
「ああ、昨日も早くはなかったねぇ。今度から、はっきりわかったことを教えておくれ。じゃあ、今日の帰りも昨日くらいになるんだね?」
「はい。心配かけて……その、ごめんなさい」
真緒がうつむいていると、おばさんはそんな真緒に早く学校へ行きなと言い放ち、腰を上げた。そして台所の方へと歩く。
「行ってきます」
消え入りそうな声で真緒はおばさんに言い、ローブを目深にかぶって外に出た。
風が真緒の頬をなでる。フードがはらりと脱げ、真緒はどんよりとした空を見上げながら、ため息をついた。
「ねぇ、真緒ちゃん。17日は行けそう?」
学園に着き、噴水広場で導士を待っている間、遊が真緒に話しかけた。ふわふわしたやわらかな髪にぴょこんと立った茶色い耳。大きな青い瞳に邪気はなく、真緒の顔を覗き込む。
真緒は遊の目を見るのがつらくなって、視線をそらした。
「う、うん! おばさんに言ったら、早く帰ってくるんなら、別に行ってもいいって」
「やったぁ! じゃあじゃあ、17日、僕と貴夜と真緒ちゃんとニーニ、みんなでいっぱい遊ぼうね!」
「うん、楽しみだね」
しばらくして、諸岸導士がやってきた。昨日よりも張りきっているようで、歩き方が少し違う。大股で早く歩き、腕を大きく振っている。手には、Aの梅クラスと書かれた、大きな薄い灰色の名簿が握りしめられていた。
「待たせて申し訳ない。今日の予定を言おう。これから教室に向かい、座席や清掃当番を決める。その後、諸君には自己紹介をしてもらおう。食事後は書物庫へ行き、管理長からの挨拶と利用法を聞いてもらう。それとまた、ちょうちんおばけを捕まえてもらうから、昨日捕まえられなかった者は、今日頑張って捕まえるように。以上! 諸君、我についてきたまえ!」
導士は皆の前を横切って、さっさと歩く。真緒たちも遅れないように、その後ろを追った。




