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闇のペンタクル  作者: 侑佐
入儀式
50/105

17

「では、はじめ!」


 導士の合図で、真っ先に駆けだしたのは遊だった。遊は、近くにいたちょうちんおばけを捕まえようとした。が、捕まえようと両手を伸ばしたとたん、ちょうちんおばけはすぐに、うさぎのようにぴょんと跳ねて逃げてしまった。


「おい、今の見たか?」


「うん、ちょうちんが跳ねた!」


「意外と難しいのかも」


 新見習いたちがひそひそと話していると、早速誰かが菅原導士の前にちょうちんおばけを見せにきていた。


「これで、いいのか?」


 一番先に捕まえたのは、貴夜だった。ちょうちんおばけの頭の上に付いている、まるいわっかの取っ手部分をつかみ、腕を伸ばして導士に突きだしている。


「早いですね。もちろん合格ですよ。名前を教えてくれませんか?」


藤崎ふじさき貴夜です」


 貴夜が相変わらずのしゃがれた声で答えると、菅原導士は風邪かと心配した。が、地声だとわかると謝って、紙に藤崎貴夜の欄を見つけてチェックを入れた。


「あの……」


 導士が振り向くと、そこにもうひとりの見習いが立っていた。包帯をぐるぐるに巻いた少女だった。その少女の手にも、ちょうちんおばけがぶら下がっている。


「あなたも早いですね。名前は?」


「雪星羅です」


 少女が名乗った。


 それから1時間後。真緒は何度か捕まえようとしたが、ことごとく失敗する。はぁ、とため息をついてあたりを見回すと、クラスの3分の1ほどが捕まえ終わっている。遊もちょうちんおばけを捕まえて導士に見せに行くところだった。


 真緒はどうすれば捕まえられるのだろうと悩んだ。思っていた以上に体を動かし、汗が出てくる。ちょうちんおばけを逃がす遊のところに行き、アドバイスを求めた。


「遊くん、すごいね。私、どうすれば捕まえられるのかわかんないよ。なにかコツとかあればいいんだけど」


「コツかあ。うーん……僕の場合、わーっと追いかけて、バババッと掴みかかって、やっと取れたって感じだから。数をこなせばいけるんじゃないかなぁ」


「わーっと追いかけて、ババッと……や、やっぱり数かな。ありがと、遊くん」


 遊の説明に、真緒は自分なりのやり方を見つけた方が良さそうだと思った。


「今日はこのへんでそろそろ終わりたいと思います。今捕まえた秘人は速やかに私のところまで来てください」


 2時前になり、導士が部屋にいる見習いたちに声をかける。真緒は捕まえるのをやめた。


「真緒、捕まえた?」


 麗華が尋ねると、真緒は首を横に小さく振った。


「ううん、ダメ。麗華ちゃんは?」


「私も」


 ふたりは同時にため息をついた。


 

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