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闇のペンタクル  作者: 侑佐
入儀式
34/105

 真緒が大きな門の前までやってくると、そこに坊主頭の男性がひとり立っていた。背が高く、白粉のような真っ白い肌で、新見習いたちと同様に黒いローブをまとっている。


 その男性は、門の前に見習いたちが集まったのを確認すると、口をゆっくりと大きく動かした。


「我が愛しき、新たなる見習いたちよ。よくここに来た。魔示士まじしであり、導士である我が前に、小クラスに分かれて列をなせ」


 男性が両手を広げ、目を大きく見開く。橙色の瞳が輝くと同時に、男性の近くにあった3つの光の玉がふわりと宙に浮いた。


 3つの光の玉は白く輝き、それぞれ松、竹、梅の文字が書かれていた。それが小クラスを意味することに気づいた真緒は、遊たちとともに、梅と書かれた光の玉の前に並んだ。


「見習いたちよ、これから式がはじまる。Aの松組から、我についてくるがいい」


 坊主頭の男性は、およそ100人の新見習いの前で声を張り上げた。そしてローブの裾をひるがえし、さっそうと歩く。その後に松組の光の玉と見習いたちが続き、竹組が続く。真緒たち梅組は1番最後だった。


 門がひとりでに外側へ開き、真緒たちを学園の中に招き入れる。たくさん葉のついた木々がざわざわとより一層揺れ、それを知らせた。


 真緒が砂利の上を歩いていると、異様な気配がした。学園の敷地内に入ってから、騒ぐ木々以外になにも見当たらない。校舎らしき建てものもなければ、秘人も動物もいないのだ。


 だだっ広い砂利の真ん中に、大きな石像がぽつんとある。杖を頭上高く掲げる男の像だった。坊主頭の男性がその前に来ると、見習いたちを3列に並ばせた。


「ときは満ちた。ここでその胸に刻むがいい。この素晴らしき夜を! ハイドの見習いとなる喜びを!」


 石像を背にして、その男性は吠えるように叫び、口端をつりあげる。両手を胸の前で交差させ、天を仰いだ。


 とたん、大きな石像が地面をこすり、低い音を立てながらゆっくりと後ろへ動いた。


「あれ? どこ行ったんだ?」


 見習いたちが急に騒ぎだした。さっきまで皆の前にいた坊主頭の男性が、突然消えてしまったのだ。


「あ! 見て!」


 誰かが叫んだ。


 見習いたちの前に浮かんだ3つの光の玉が点滅しだし、松組の光の玉が石像の前まで行く。そのとき、石像の元の位置に、下りる階段があったことを照らし示した。


「階段がある! きっと、この下だよ!」


 チカチカと点滅していた松組の光の玉が、再び点灯した。Aの松組の見習いたちは、それが下に行けという合図だとわかり、1列になって下りていく。


 松組がいなくなると、竹組の光の玉が次に下りる見習いたちを誘導する。そして竹組がいなくなると、梅組の光の玉も階段上のところで点灯し、真緒たちの行く先を照らした。


 ジグザグになった長い階段を下りていくと、なにやらガタゴトと鈍い音が近づいてくる。


「ねえ、麗華ちゃん。この音、なんの音?」


 気になった真緒は、前にいる麗華に質問した。


「さあ? なにかしら? ねえ、遊はわかる?」


 麗華の問いに、その前を行く遊も首を傾げた。


「なにかなぁ? 貴夜は?」


 遊が、前にいる貴夜を突っつく。


「なにが?」


「だから、この音だよぅ。なんの音かなって後ろのふたりが言ってる」



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