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「えー、皆さん、まもなく学園前に到着しますが、その前に、黄金の雪の時間がやってきました! 窓の外に注目してください」
しばらくして、バスガイドの声が真緒の耳に入る。バスの正面を振り返ると、バスガイドがメガホンのようなもので真緒たち見習いの方に向かって話していた。
「窓から、光の粒が見えますか? あれが、この学園都市だけに起こる現象、黄金の雪です!」
バスの中のあちこちが、一斉に賑やかになった。皆、外を眺め回している。
「黄金の雪だわ!」
麗華が興奮して叫んだ。
「わぁ、僕も見たい見たい!」
遊もはしゃいで立ち上がる。
真緒はよくわからず、一緒に窓の外を見た。
真緒の黒い瞳に黄金色に輝く光の粒が映る。それはキラキラと星のように瞬き、雪のようにふわりふわりと空を舞っている。しかも、よく見るとそれは、空から降っているだけではなく地面からもあふれ出ていた。
真緒は思わず口を半開きにし、うっとりとした表情になってそれを眺めた。
「真緒! 黄金の雪、見れた?」
麗華に声をかけられ、我に返る。
「うん。見れた! すごく綺麗! でも、雪って普通、空からしか降ってこないんじゃ……」
「バカね! この場所、学園都市なら、雪は地面からも昇ってくるんだから!」
麗華は自分の肩にかかる長い髪を払いのけ、小さく笑った。
「バスの中より外で見た方が、もっともっと、もーっと、綺麗よ!」
「へぇー。外で見てみたいなぁ。麗華ちゃんはあるの?」
真緒が外で見る景色を想像しながら尋ねると、麗華はあると答えた。そして、0時台の黄金の雪が最も綺麗で有名だということも。
それを聞いた真緒は、早く0時になってほしいと思った。
やがて、バスはハイド魔法学園前に到着した。真緒がバスに乗るときと同様、プシューッと空気の抜けるような音が車内に響き、窓の外の世界が白くかすむ。
新見習いたちは席を立ち、そわそわしだした。そして先方の扉が開くと、ぞろぞろと出ていく。連れだって、真緒もバスを降りた。
バスの煙が消え、見えてきたのは、少し先のところにあるとても大きな鉄格子の門だった。門の柱の上には白い光の玉が置かれ、鉄格子に絡みついた赤いつたの葉を照らしている。風が吹いてもいないのに、ざわざわと揺れる木々が門の向こう側に見えた。
「ここが、学園……」
呟いた真緒の背後で扉の閉まる音がした。真緒が振り返ると、新見習い全員を降ろしたバスが、音もなくスーッと夜闇へ消えていく。
「真緒ちゃん、行こう?」
気づけば、皆が歩きはじめていた。遊に呼ばれ、真緒は不安と緊張を胸に、皆の元へ駆け寄った。




