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真緒にはなんのことなのか、さっぱりわからなかったが、貴夜の沈黙後に漂った気まずい空気がやわらいで、少しほっとした。
「合体かぁ」
うーん、と遊はうなずいてから、その条件をのんだ。
「じゃ、決まりね。私、赤のペンで書くから」
麗華は遊が持っているカップのふたを開け、そこから小さな細いペンを取りだした。
「じゃ、僕は緑にする!」
遊もペンを取りだし、カップを貴夜に回した。
貴夜は黙って青のペンを取り、真緒にカップを渡す。カップの中には最後の1本、橙色が残っていた。
真緒はそれを取り、手を伸ばしてカップを催促する麗華に、持っているカップを渡した。
「じゃあ、真緒のためにゲームの説明をするわね」
麗華が話すと、真緒たち残りの3人は注目した。
「カップゲームはモンスターと戦うゲームなんだけど、はじめに、その選んだペンで人形に自分の名前を書くの。で、戦う順番を決める。決まったらその番号も人形に書くのよ」
麗華はカップの中から小さな茶色い粘土のようなものを取って、真緒たちそれぞれに渡した。
その茶色い人形を手にした真緒は、クリスマスに飾るジンジャーマンクッキーのようだと思った。平べったくて、人型で、顔の部分にちゃんと目や口が描かれている。
「順番はどうする?」
遊が尋ねた。
「そうねぇ……真緒は、はじめてだし、最後の方がいいだろうから、あんたからでいいんじゃない?」
麗華が遊を見て答えた。
「やったぁ! 僕が1番だね」
遊は嬉しそうにして、人形に自分の名前と数字の1を書いた。とたん、それが一瞬だけ緑色に光った。
「じゃあ、俺は2番でいいか?」
麗華がうなずくと、貴夜も自分の人形に名前と数字の2を書く。遊の時と同じく、今度は青く光った。
「私は……」
「真緒は最後だから4ね。人形に、自分の名前と4を書けばいいわ」
どうすれば良いのかわからない真緒に、麗華が教えた。
真緒が人形に“まお”と数字の4を書き込むと、その人形は橙色に光り、たちまち真緒の姿とよく似た形に変わった。立体的で髪や肌の色もしっかりと着色されている。
あまりにも自分そっくりな人形を見て、真緒はなんだか気味悪く思えた。




