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闇のペンタクル  作者: 侑佐
迎えのバス
27/105

13

「よろしい! それでは、ふたりはAの梅組だから、1番奥の席ね」


 バスガイドが真緒と包帯の少女をステップに上がらせ、奥に進むように誘導した。


 バスの中の座席は、2席と2席が通路を挟んで横に並び、それがずっと奥に続いている。真緒が進む間、席に着いている見習いたちは小声でおしゃべりしたり、窓の外を見ていた。中には、興味ありげに真緒をじろじろと見る者もいる。


 視線を感じた真緒は緊張して、前を見ては時々足元を見たりと、足取りが重かった。


「ここから奥が梅組よ。空いている席に座ってね」


 バスガイドがそう言って通路脇に寄ると、包帯を巻いた少女は、左の空いている席を見つけて座った。真緒も早く座ろうとしたが、近くに空いている席がない。ふと、明るい少年少女たちの声が奥から聞こえてきて、真緒が奥に進むにつれ、会話している内容がはっきりとしてきた。


「あんたたち、あまりそのチョコ食べないでよね! 結構高かったんだから」


「俺は、そんなに食ってない」


「なにそれ! まるで僕がいっぱい食べてるみたいじゃんかぁ」


「うるせぇ」


 その会話がするところは、座席が向かい合っていた。窓側に、紺と藍色が混ざったような色をしたサラサラの髪の少年がいて、その隣の通路側には、真緒の見覚えのある少年がいる。


「あ……」


 真緒はドキッとした。


 褐色の肌に澄んだ青い瞳、ふんわりした赤い頭に三角の茶色い耳。その少年は、魔獣変化の力を持つ、遊だった。


「おい」


 紺藍色の頭の少年が、立ち尽くす真緒に気づき、遊の肩に手を置いて、あごで真緒の方を差す。


 遊は真緒を目でとらえるなり、満面に笑みを浮かべた。


「真緒ちゃん!」


「遊くん」


 遊が立ち上がって耳と尻尾をしきりに動かし、あまりにも喜びを前面に出すので、真緒は照れくさくなった。


「え? 誰? 遊の知り合い?」


 遊の斜め前の、真緒に背を向ける形で座っていた少女が、振り返るようにして真緒の顔を仰ぎ見た。アメシストを散りばめたような紫の髪が胸のあたりまで伸び、目の瞳は墨のような色をしている。


 目と目が合った真緒は、小さな声で挨拶した。


「う、うん、まぁ……。こっ、こんばんは」


「こんばんは。なに? 席を探してるの?」


 紫の頭の少女に聞かれ、真緒は首を縦に2回振った。


「だったら、ここ空いているから座ったら? 遊とも顔なじみみたいだし」


 少女が自分の隣の席をポンポンと叩く。


 

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