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闇のペンタクル  作者: 侑佐
迎えのバス
17/105

 真緒たちを乗せたほうきはぐんぐんと高くなり、視界が広がっていく。深紫色の空に包まれ、眼下には散らばった小さな家々の明かりが見える。あまりの高さに、真緒は意識が遠のきそうだった。


「少し高く飛びすぎたねぇ」


 そう言って、おばさんがあたりを見回しながら高度を下げる。今度は下がりすぎて、足が家の屋根に届くくらいだった。


「なかなかうまくいかないもんだね」


「だ、大丈夫ですか?」


 真緒が心配になって聞くと、おばさんは大丈夫と言った。


「ああ、久しぶりに飛んだから、ちょいと狂っただけさ」


「は、はあ」


「さあ、行くよ!」


 おばさんのその合図でほうきは一瞬後退したかと思うと、ぎゅんっと力強く前進した。あまりの速さに、真緒はバランスを崩して落っこちそうになった。


「お、おばさん! 落ちる! 落ちるーっ!」


 真緒がいくら叫んでも、おばさんの耳に届いていないのか、おばさんは右にカーブしたり左にカーブしながら、道に沿って建物の間を縫うように飛ぶ。もはや真緒の体はほうきと平行になり、手を離してしまえば一巻の終わりだった。


 ここで死んでたまるか。生への強い執着心が芽生え、真緒は歯を食いしばって必死でほうきにしがみついた。


「このへんで降りよう」


 速度を落とし、おばさんが言った。


 真緒はほうきにぶら下がる状態でいた。手がしびれて力がなくなっていく。もうだめだと思った。


「おばさん……落ちる、助けて」


 最後の力を振り絞って助けを求めると、真緒はとうとう手を離してしまった。


 「アイタッ!」


 草むらの中で真緒がうめいた。


「平気かい?」


 おばさんが真緒を見下ろしている。


 真緒は一瞬わけがわからなかったが、ほうきから落ちたことを思いだした。そして今、尻もちをついて地面に座っていることに気づく。


「はい、なんとか」


 真緒が答えると、おばさんは笑いだした。


「クックックッ。あんたがどうして事故に遭いやすいのかわかったよ」


「へ?」


 真緒はきょとんとした。



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