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「その心配はしなくていいから」
「で、でもっ! まさかそのお金も町が出してくれるんですか?」
「そんなことまで町はしてくれないよ。さあ、今から買いに行くから、早く準備をおし! あんたのローブはないから、とりあえずこの黒い布を巻いていくといい」
おばさんは真緒がいつも市場に着ていくローブを身にまとい、真緒にはいすにかけてあった大きな黒い布を渡した。
それを受け取った真緒は、頭からかぶって全身を覆う。
「その必要なものが書かれた紙を貸しな」
おばさんにそう言われ、さっき読んだ紙を渡した真緒は、本当にお金が足りるのかと不安で仕方がなかった。こんなことなら、昨日あまった金で菓子を買わずに、おばさんに渡しておけば良かったと後悔した。
「ここで少し待つんだよ。いいね?」
外に出て、おばさんが真緒に指示した。真緒がこくりとうなずくと、おばさんは家の扉近くにかけてあったランタンを取り、そのままどこかへと行ってしまった。
急に真緒のあたりが真っ暗になり、夜風が真緒の肌をなでる。時々、人魂がふわふわと前を遮った。
人魂は真緒の頭よりひとまわり大きく、青白いような少し緑がかった発光体で、細長い尾を引いている。
見慣れた人魂も、こうしてひとりで真っ暗なところに立って見ていると、なんだか気味が悪い。そう思った真緒は、悪寒がして身ぶるいし、急に怖くなった。
「真緒!」
真緒の背後からおばさんの声がした。
真緒はビクッと飛び上がり、振り返った。
「早くこっちへ」
おばさんが手招きする。手招きしていない方の手にはランタンがあり、柄の長い竹ほうきを腕に抱え込んでいた。
真緒がおばさんのそばに来ると、おばさんはランタンを柄の先にくくりつけ、竹ほうきにまたがった。
「なに、突っ立ってるんだい! 早くお乗り!」
「えっ?」
「ほうきに乗ることもまだ知らないのかい? あんたはこの数日、図書館でなにを読んだんだい?」
ぼんやりしている真緒に、おばさんがいらいらした。
「ご、ごめんなさい!」
真緒は、秘人がほうきやいろんなものに乗って空を飛ぶことを思いだした。そして慌てておばさんの後ろに乗ると、ほうきの柄を両手で握った。
「しっかりつかまってておくれ。振り落とされても知らないからね」
おばさんに言われ、前屈みになり、柄を握る手に力を込める。
「飛べ! 鳥のように、軽やかに!」
おばさんが竹ほうきに向かって叫んだ。すると、ほうきがゆっくりと昇り、真緒の足のかかとが地面から離れ、つま先も離れていく。
「う、浮いた!」
真緒は小さく叫んだ。




