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翌日(この町では正午を境に日付が変わる)。真緒がベッドの上でごろごろしていると、ベルの音が階下から聞こえてきた。市場へグオウオを買いに行かされるんだと思い、勢いよく起き上がる。グオウオはいつも17時から18時の間に売り切れてしまうからだ。
だが、ベッド横の台の上にある置時計を見ると、18時を回ったところだった。今から行っても、もう間に合わないのはわかっている。では、おばさんの呼びだしはなんなのか? 真緒は不思議に思いながら、階段を下りた。
「おばさん、市場じゃ……ないですよね?」
真緒が確認するように尋ねると、おばさんは3つ折りにされた灰黄緑色の紙を真緒に渡した。
「読みな」
真緒はなんだろうかとその紙を広げた。すると、それは3枚重なっていて、一番上の紙にはこう書かれていた。
(案内状)
10月10日
宮本真緒 様
ハイド魔法学園
代表 黒坂耀治
入儀式のご案内
この度は、数ある魔法学校の中からハイド魔法学園をお選びいただき、心より感謝いたします。
新見習いの皆様におかれましては、これからはじまる新しい世界に日々胸を躍らせていることと思います。
さて、早速ではございますが、下記の日程にて入儀式を執り行うこととなりました。
当日は、学園行きのバスで19時までにお越しください。遅れますと、進行に影響が出ますので、必ず時間厳守でお願いいたします。
当日、新見習いの皆様の元気な顔が見られることを、導士一同、楽しみにしております。
日時 11月11日(月曜日)
19時19分~23時23分(終了予定)
※必ず学園行きの専用バスで19時までにお越しください。
場所 学園都市 ○○○―○○
ハイド魔法学園
服装 学園が指定する礼服でお願いします。
真緒は2枚目の紙に目を通した。2枚目には新見習いに必要なものが記されていた。学園で使う鍋や手袋、かばん、杖など。学園が指定する服は4種類もあり、そのうちコートも含まれていた。
真緒が最後の紙を見ると、学園行きのバス停と服や道具などを扱っている店の地図が描かれていた。真緒はこの町の地図を見るのがはじめてだった。
地図の真ん中にはちょうど時計塔があり、おばさんと真緒の住んでいる家はおそらく南の方だと真緒は思った。
「おばさん、ありがとうございます。でも、この服や道具とかって、買うのにお金がいるんじゃ……」
真緒は学校に行くのが楽しみだったが、いろいろと不安もあった。その不安の1つが、こんなときに必要なお金である。




