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闇のペンタクル  作者: 侑佐
闇の町グレイタウン
11/105

10

「いったぁ……」


 身を乗りだすあまり、バランスが崩れて数段転げ落ちたのだった。


「真緒! そこでなにやってるんだい?」


 痛さに顔をゆがめた真緒の目と、振り返ったおばさんの目が合った。


 おばさんの顔が引きつっているのを見た真緒は、さらに顔をゆがめた。


「ご、ごめんなさい、おばさん」


 申し訳なさそうに言う真緒に、おばさんは今にも舌打ちしそうだった。


「あの、あちらにいらっしゃる、黒色の短い髪の、小さな女の子は誰です?」


 険しい表情をした者が、疑わしい目つきで真緒を見ながら質問した。


「あ、ああ。あの子はその、遠い親戚の子でして。私が向こうに行ったときに連れて帰ったんです」


「どうしてまた?」


 最初話していた者が尋ねた。


「ええ。実はあの子の親が亡くなりまして……それで、私が仕方なく預かることにしたんです」


「そうなんですか。それはお気の毒ですね」


 おばさんの話したことをメモに記入しながら、 その者が真緒を見やった。


「ねぇ、きみ。名前と年は?」


「真緒。宮本真緒みやもとまおです。12歳です」


 真緒はおばさんの近くまで行き、小さな声で名乗った。そしてちらりとおばさんの顔色をうかがった。


「そっかぁ。じゃあ、今年から学校に通うのかな?」


「え?」


 真緒はどう答えればいいのかわからず、おどおどした。


「ああ、すみません。この子ったら学校が嫌いでしてね。でもちゃんと行かせますんで」


 おばさんが真緒の体を引き寄せ、肩に手を置いた。


 真緒はおばさんの顔を見上げ、次に茶色いローブの者たちを見た。茶色いローブの2人組も真緒とおばさんを交互に見たのがわかった。


「真緒ちゃん、学校はたくさんあるけど、どこの学校に通うのかな?」


 名前を聞いてきた男性が中腰になり、真緒の目線に合わせた。探るように見つめてくるので、真緒はできるだけ平然を装った。


「学校は、えっと……嫌いです」


「あの、大丈夫ですんで。必ず行かせますから。ハイド魔法学園に通わせようと思ってるんです」


 おばさんが、適当に答える真緒に代弁して苦笑いした。


「そうですか。今どき、学校が嫌いな子って珍しいなぁ。真緒ちゃん、おばさんの言うことをちゃんと聞いて、学校に行くんだよ? ハイド学園なら、素晴らしい導士や見習いが多いって聞くから、きっと学校も楽しくなるはずだ」


 その者はぽんぽんと真緒の頭を軽くなで、にこっと笑って立ち上がった。


 

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