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闇のペンタクル  作者: 侑佐
良くない伝説
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「見習いたちよ、席に着きたまえ」


 諸岸導士が教室に入ってきた。肩に担いだ大きな布を、教卓の上にドサッと置く。広げると、赤い布地に金と黒の糸で織り込まれたライオンの絵があった。


 真緒たちは急いで自分の席に戻った。


「これはAクラスを表すタペストリーだ。有名な職人が織ったものだから、とても素晴らしい。これを、この教室の中と外に飾る」


 タペストリーは2枚あり、導士が杖をひと振りすると、1枚は皆が座る後ろへ、もう1枚は教室を出てすぐ横へ、それぞれ壁に付いたフックに掛かった。


「これから授業を受けるにあたり、どの授業がどこの教室や実習室で行われるかわからないと思う。今から配る紙に科目ごとの授業場所が地図として載っているが、はっきりと言って大まかだ。なので、行くときは大クラスを表すロゴマークと小クラスの名前を見て、確認してほしい」


「あのっ」


 見習いのひとりが手を挙げた。


「つまり、教室のどこかにライオンの絵と梅クラスの文字があればいいってことですか?」


「そうだ。教室と実習室には、出入り口の横に小さな額縁があって、大クラスの絵が飾られている。ちなみにAはライオンだ。その下に、小クラス名が書かれた石のプレートがある。屋外だと、わかりやすい場所に同じようなものが看板として地面に刺さっているだろう」


 この広い学園なら、そういった目印がないと完全に迷子になってしまいそうだと真緒は思った。


「この教室はベースルームといって、授業が行われることはない。毎日、その日の授業がすべて終わったら、このベースルームに集まるように。ここで連絡事項などを伝える。連絡事項は課題の変更点や行事についてだ」


 クラスの皆が課題と聞いて顔を歪ませ、げっそりとする。真緒も熱い鉛を飲み込んだように苦しい顔をした。


「どうした? 課題は学校には付きものだぞ! 情けない。それと、諸君全員知っていると思うが、昨日の夜、霧雨通りで大きな事件があった。このクラスでも、その事件に巻き込まれた者がいるだろう」


 導士の言葉に、真緒たちクラスの何人かが暗い表情を浮かべた。


「授業初日にこんなことがあって悲しいが、今空いている席、秋野原美保、滝本しのる、藤崎貴夜、この3人もその事件でけがをし、学園に出てこれない状態だ。だが、幸運にも、明日には全員来れると連絡が入っている。皆、3人に無理をさせないように、仲良くしてやってくれたまえ」


 真緒は、貴夜が明日から来れると聞いて安心した。ちらりと遊や麗華を見ると、ふたりとも笑みを浮かべている。


 導士の話が終わると、早速1限目の授業がはじまり、真緒たちは移動した。


「貴夜、明日から来れるみたいで良かったわよね」


「うんうん、本当良かった! 早く明日になってほしいよ」


 麗華の言葉に、遊も尻尾をパタパタと振って喜びを表現する。


「うん。私も、早く会いたい。会って……謝りたい。貴夜くんを、ひとり残してきてしまったから」


「真緒、そんな風に責任を感じることないわよ。仕方のないことだし、それくらい貴夜もわかってくれるわよ。それに、貴夜が呼びに行けって言ったんでしょ?」


 麗華がほほ笑みながら真緒の手をぎゅっと握る。その握った手の温もりを感じながら、真緒は小さくうなずいた。


 1限目は呪術だった。呪術は皆の関心を1番集めていた科目であるため、真緒たち新見習いの気合が入る。


 教室は第1校舎の中にあった。第1校舎は四角い石造りの建てもので、とても大きい。上から見ると、真ん中をくり抜いたような形をしている。そしてそのくり抜かれた場所は、なんの手入れもされずに雑草が生えまくっただけの、庭と呼ぶにふさわしくない中庭になっていた。


「第1校舎は呪術と占術専用の教室しかないのね」


 麗華がちょうちんおばけで地図を照らしながら歩く。その隣で、真緒と遊はどこの教室だろうかと額縁の絵を見て探した。他にいるAの梅クラスの見習いたちも、同じようにして近くを歩く。廊下はとても暗く、前もってちょうちんおばけを捕まえておかなければ、なにも見えないところだった。


 

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