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闇のペンタクル  作者: 侑佐
良くない伝説
104/105

「い、いきなりなによ? どうしたの?」


「中野導士も、麗華ちゃんと同じことを聞いてきたの」


「同じこと?」


「うん。どうやって貴夜くんが怪物を倒したのかって」


「で?」


「中野導士も不思議に思っていたの。まだ入儀式を済ませたばかりの新見習いが、どうやって倒したのか。それが術なら、ありえないくらいにすごいことだし、もしもその術がすごく難しい術だったら……」


「まさか! あんた、それ本気で言ってんの? 貴夜がそんな高度な術を使ったってわけ? うそよ、そんなことありえないわ!」


 麗華が、いつも以上に大きな声で叫んだ。周囲の見習いたちがじろじろと真緒たちの方を見る。


「れっ、麗華ちゃん」


 真緒は静かな声で、麗華の興奮を抑えようとたしなめた。


「ニーニと真緒ちゃん、今、貴夜のこと話してた?」


 前に座る遊が、くるりとふたりの方を向いて、いすの上から顔を出す。さっきの笑顔は消えていて、青い瞳が日のあたらない湖のように暗い。


「貴夜、大丈夫なの?」


「遊くん……」


 真緒は言葉に詰まった。代わりに、麗華が話をする。


「今、病院だと思う。さっき、真緒からその話を聞いたの。貴夜、怪物と戦って、けがをしたらしいわ」


 そのとき、荒井瀬さんの声が聞こえてきた。バスが学園に到着した知らせだった。


 麗華はまた後で話すからと言って、いったんそこで話を終わらせた。


 教室に着くと、遊が机にかばんを置いて、急いで麗華の席まで行く。それを見た真緒も、麗華のところへ向かった。


「ねぇねぇ、さっきの話だけど」


 と、遊が麗華に話しかける。


 真緒たち3人は、できるだけ梅クラスの皆に聞かれないように、教室の後ろの隅っこに移動して話をした。遊には、真緒が麗華に話した内容を簡単にまとめてもう一度説明した。


「で、真緒、貴夜は一体どんな術を使ったのよ?」


「私もはっきりとは覚えていないんだけど、確かこれくらいの長方形の紙を指に挟んで、なにか呪文みたいなことを言って、それで、えっと……それを竜の怪物に貼ったら、その怪物が動かなくなったの。そしたら、貴夜くんがものすごく苦しみだして……頭痛がするって」


 麗華に質問され、真緒は両手の指で長方形を作り、紙の大きさを示した。昨日のことが、つい先ほどのことのように思いだされる。


「無事だといいけど。ねぇ、紙を使う呪術って、なにかしら? もしかして……符術? でもあれは、呪術の中でも難しいし、GかDクラスにならないとできなかったわよね? あー、さっぱりだわ。真緒と遊は、なにかわからないの?」


「私もよくわからないけど、その話を中野導士に話したら、すごく驚いていた感じだったから、多分すごい術なんだと思う。もしかして、その符術なのかも」


「え、ちょっと待って! そんなこと、本当にあるわけ……でも、それがもしそうなら、どうやって貴夜はそんな術を使えたのよ? それほどのエネルギーなんて、ないはずだわ」


 麗華が眉間にしわを寄せ、腕を組む。真緒もそれについてはどう答えて良いのかわからなかった。


 

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