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真緒は昨日のことを麗華に話した。
「じゃあ、貴夜は病院に運ばれたのね」
「うん。少しでも、良くなっているといいんだけど……」
「そうだわね。でも、どうして術が使えたのかしら。私たち、まだ呪術の基本さえ習ってないのに」
麗華が不思議そうに首をひねる。
「そのことなんだけど……昨日、中野導士が教えてくれたの」
「中野導士? ハイドの秘人?」
「あっ、えと、ううん! 違うの。確か、ひぐれとかいう名前の学校の導士だったと思う」
「ひぐれ妖術学校の導士?」
「そう! そう言ってた。それで、その導士が言ってたんだけど……貴夜くんって、100年に1人出るか出ないかの天才なんだって」
「えっ? 本当?」
麗華は口を半開きにし、真緒の顔をまじまじと見つめた。
「うっ、うん。多分そうじゃないかって。普通は無理なんだろうけど、きっと前から勉強して、それを理解してやってたんだと思う」
「そんなの、うそよ!」
「え、でも……」
真緒は困惑した。
「いくら理解できたからって言っても、私たちの魔法エネルギーが開放されるのは入儀式のときよ? それまで術は使えないし、試すことさえできないはず」
「そうなの?」
真緒は聞き返した。この町の魔法についてよく知らず、呪術は年齢に関係なく理解さえできればすぐに扱えるものだと思っていた。
「もう、そんなの当たり前じゃない! 生まれてからずっと町の空気を吸うように、魔法エネルギーを体内に取り込んでるのよ? 例えば5、6年だと、そんなにエネルギーがたまってないから、術はおろか、放出することさえ無理に決まってるわ」
「そ、そうなんだ……。じゃあ、導士が言ってたことは、嘘なのかな」
「それは、わからない。もしかすると、入儀式が終わってから、いろいろと試してみたのかもね」
「でも、今日でまだ1週間だよ?」
「そうよ、その通りだわよ。だから、おかしいのよ。そんな短期間で呪術が使えるようになったのなら、100年に1人のレベルってもんじゃないわ。それ以上よ」
真緒は、貴夜が怪物と戦ったときもすごいと思ったが、使えないはずの術を使ったと知り、あらためて驚嘆した。もしかすると、頭痛はそのこととなにか関係しているのかもしれない、そう思った。
「ねえ、真緒、貴夜がその怪物をやっつけたって言ってたけど、どんな術でやっつけたの?」
麗華が尋ねた。
真緒はどこかで同じような質問を受けた気がしたが、それが中野導士のときだったと思いだし、目を大きく開いてなにかにはっとする。
「あ! だから、導士も聞いてきたんだ!」




