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僕と四姉妹  作者: だい
14/17

8月31日後編。



絋斗『そうだ!パーティーしよう!!』





――タチバナ本社ロビ-――



俺はまず、

受付に行き、“俺専用”の“特別な”カードキーと、“社員証”を見せた。




すると、受付嬢は慌てて電話をかけはじめ、数分後に俺の知り合いがやって来た。




絋斗『こんにちは。薫。』


薫『お久しぶりです!絋斗君!』



この元気一杯なのは、


久遠薫(クオンカオル)さん。


なぜか、自分は敬語なのに、俺はタメ語という、よくわからない方だ。



薫『それで?絋斗君、今日はどんな用件があって、

“特別社長補佐”の社員証まで出したのですか?』



特別社長補佐とは魅琴が文字通り、特別に作った役職で、社長の補佐を主な仕事とする。



なんで、俺がこの役職に就いてるかと言うと、魅琴がいつでも会いに来れる様にと、作らせたからだ。



まぁ、今まで数える程しか使った事はないが。



絋斗『えっ……と、今日は魅琴に会いに来ました。』



薫『私ではダメ何ですか?』



綺麗系のくせに可愛いことをいつも言うんだよな。


あぁ、薫の容姿だけど、美人だ。

4姉妹と同じくらいな。


髪は黒のショートで、前髪をヘアピンで留めている。


黒渕の眼鏡を掛けている。

目鼻立ちはスラッとしていて、目は二重だ。


ちなみに、俺の通っている高校に妹がいる。


まぁ、ソイツはクラスメートだけど。




数分間位薫と会話して思い出した。



あっ…………。



本題を忘れてた。



絋斗『所で薫、魅琴は?』



薫『社長なら社長室にいますよ。』



絋斗『ありがとう!

じゃあまた後で!!』



薫『ちぇ…………。

もう少しお話がしたかったですね~』



しかし、薫のその呟きは誰の耳にも入らなかった……。




目指すは6階社長室だ。







――社長室――


絋斗『魅琴~いる~?』



ドアを開けた途端、魅琴が飛び付いて来た!



魅琴『来てくれたんだ!

それにしても、ほんと久しぶりねぇー!

みんなは元気?』



絋斗『元気も元気!


なにせ、からなず朝起きたら誰かしら一緒に寝てるからね!』



その瞬間…………。



魅琴の後ろに鬼が見えた。



魅琴『あの4姉妹は何をしてるのかなぁ~。

私の紘君に夜這いなんかしちゃって…………。


ん?夜這い?

あぁああああああああ!


紘君、まだ魔法使いの資格ある?』



魔法使いの資格って、サクランボって事だよね…………。


絋斗『あぁ。

まだまだ資格はあるよ。』



――そのころ家――


ゾクッ!!


唯『うわー鳥肌がたったよ!』

紗香『わたしも~』


残りの二人も謎の気配を感じていた。







その後、数分は震えが止まらなかった。



――数分後――



絋斗『時間が惜しいから本題に入るけど、今日さ魅琴の誕生日じゃん?


さらに、今年から4姉妹も一緒にやるわけだから、例年より早く仕事終わらせて、帰ろう。


もちろん、薫も一緒に。』



魅琴『毎年言ってるけど~、二十歳過ぎてるんだから、別に誕生日パーティーなんてやらなくても…………。』



絋斗『やるから。

じゃあ、魅琴は適当に暇してて。

書類選考だけだろう?』



魅琴『良くわかったわね~

そうなのよ。

みんなどこもウチと事業提携をってうるさいのよ~』


絋斗『わかった。

始めるから静かにしててな。』

そう言いながら絋斗は本気モードのスイッチを入れる。




――数時間後――



絋斗『終わった~!


ハイ!本気の俺しゅ~りょ~。

あぁ、めちゃくちゃ長かった………。



ここからは結果報告だ。

事業提携をというより、合併が1つ。

ここはやりかたが甘いが、ちょっと手を加えれば儲かるハズだ。


で、ここからはお願いなんだが、この孤児院を助けてやってはくれないか?


なんでも、今まで援助してくれてたヤツが一番上の子が結婚出来る様になったからって、資金援助打ち切りを盾に婚約を迫っているらしいんだ。


これは、それをやめさせたい、孤児院の寮母?的な人からの手紙だ。』



魅琴『紘君はその人を助けたい?』



絋斗『当たり前だ!』


魅琴『例え、ウチがマイナスになっても?』



絋斗『あぁ。

援助するお金は、さっき合併するって言った所の売上予想の半分にも満たない。


なんなら、本格的に俺がここで働いてもいい。』



魅琴『やっぱり、紘君は優しいね。』


絋斗『優しくなんかは無いさ。

ただ、可哀想だ。

そう思っただけ。』



魅琴『そう思って、自分が働くなんて言える人は少ないよ。


やっぱり、紘君は優しいよ。』


絋斗『ま、まぁそれは置いといて、どうする?資金援助する?』



魅琴『当たり前!


今すぐに電話するよ。』



絋斗『じゃあ俺は、片付けでもしてるから。』



魅琴『わかった!』



さて、実は社長室の隣の部屋は魅琴の自室になってるワケだけど、鬼がでるか蛇がでるか。






――魅琴の自室――


ガチャ


絋斗『失礼しまーす。』




うわぁ、酷いな…………。



目の前には衣服、下着、その他諸々が散乱していた。


一応、片付けようとは思ったらしく、クローゼットや箪笥が開けっ放しになっていた。



絋斗は自分に活を入れて頑張ろうと思った。



絋斗『よし、やるか!』




――数十分後――



絋斗『終わった…………。』



あの量はヤバかった。



クローゼットや箪笥に入らなかった物さえある。



入らなかったヤツどうしよう?


そんな事を考えている時に、




魅琴『紘君!終わったよ~』


絋斗『わかった!

んで、もう今日は仕事ない?』



魅琴『そうねぇ~、今日は仕事ないわね~。』



絋斗『なら、薫連れて帰ろっか?』




魅琴『えぇ。』



絋斗『あっ!

そうだ俺は、4姉妹呼んでくるから、先に帰ってて!


また後で!』



魅琴『後でね~。』






――自宅前――



俺は、タチバナグループ本社から家に帰ってきたわけだが、なんだか空気が重い気がする。



さらに、なんかカオスな匂いがする。



極め付きは

ついさっき家の前に止まった鳩が泡吹いて墜ちてきた。



あ、今猫が倒れて痙攣してる。








ウチに黒魔術をつかう老婆なんていたかな?いや居ない。



ついつい文法技法を使っちゃう程、目の前の惨状は恐ろしい。



なんか、何があったかわかる気がする。



想像通りだとしてもじゃなくてもみんなが危ないから、家に入ろうか。




想像通りなら、このあと犠牲になるのは……………………………………………………………………………………………………………………………………俺。






――玄関――


ガチャ




絋斗『ただいー


ドンッ!!



うわぁっ!』



ドアを開けた途端、


蓮華、柊、唯


の3人が飛び付いて来た。


絋斗『ど、どうしたんだ!みんな!』



蓮華はガクガク震えている。



柊は顔が真っ青だ。



唯に至っては両方だ。



蓮華『お兄ちゃん!


帰って来ちゃだめー!』



柊もウンウンと首を縦に振っている。




絋斗『なんでだ?

なにか悪い事でもしたのか?』



唯『違うよ!

僕たちはまだ兄ちゃんに逝って欲しく無いだけだよ!』



逝くの?…………俺?



変換ミスとかじゃあないよな…………。




絋斗『とりあえず何が起きたんだ?』




蓮華『もうお兄ちゃん帰って来ちゃったからしょうがないか…………。



それがね…………。』




回想スタート。




――数十分前――



唯『お腹減ったなー』


蓮華『お菓子食べちゃ駄目よ。

このあと沢山食べることになると思うから。』



唯『えー。

今なら紗香姉ちゃんのも食べれそうだよ!』



蓮華『それは大変ね………。』


蓮華は少し、考えて…………。


蓮華『わかったわよ。


少しなら食べても良いわよ。』


唯『やったぁー!


流石に紗香姉のは食べたくないからね~』



紗香『それ…………どんな意味なのかなぁ~


ね~唯ちゃ~ん。』



ビクッ!!!



唯『アハハ…………


いつからいたの?』




紗香『唯ちゃんの“流石に紗香姉のは食べたくない”辺りから』



蓮華『また随分ピンポイントね…………。』



紗香『ここまで言われちゃったら、なんとしてでも美味しい物を作らなくちゃね!』



我関せずの姿勢を貫いて読書をしていた、柊もこの言葉にビクッってなり、蓮華や唯を責める様に見た。



唯『な~んか急にお腹一杯に…………。』



蓮華『逃がさないわよ。


そこ!柊!

お兄ちゃん人形で遊ばない!

っていうかその人形頂戴!!』


柊(筆談)『えー…………。


見逃してくれたら一個あげる。』



蓮華『お兄ちゃんが居ないと喋らないつもり?


それに、“一個”ってゆうフレーズが気になるわね。


もしかして沢山あるんじゃないの?』


柊(筆談)『バレた?』



蓮華『いくつあるの?』



柊(筆談)『十個位?』



蓮華『一個5000円で買うわ。』


柊(筆談)『お金じゃ買えない価値がある。


プライスレス。


買えないものは、兄様の愛情で…………。』



蓮華『マスターカードじゃ無いんだ…………。


まぁ、いいわ1回お兄ちゃんと寝る日を譲ってあげる。

それでどう?』


柊(筆談)『乗った。


ハイ、コレ。』


柊は、懐から人形を1つ取り出す。



蓮華『ありがとう。』



柊(筆談)『実は、普段と本気の二種類ある。』



蓮華『え゛っ…………。』



唯『ちょ、ちょっと二人とも!話がそれてる!

それに紗香姉台所でなんかやってるよ!!』


蓮華『しまった!


ポイズンクッキングが!!』



が、既に時遅し。



紗香『出来たわよ~』


机に置かれたのは………。


ミドリ色のグツグツ煮たっている、謎の液体。



蓮華『コレなに?』


紗香『えー?見てわからない?

シチューだよシチュー!!』




今回は自信作とばかりに胸を張る紗香。


蓮華『誰から逝く?』



二人が唯を見る。



唯『僕!?なんで!?』



蓮華『事の発端はだれ?』



柊(筆談)『誰なのかなぁ~』



唯『わかったよ~逝けば良いんでしょ!!


パクッ


ゴフッ!!!


うわぁ~!不味い~!』


バタバタと床でのたうちまわる唯。



蓮華『哀れね…………。


次は、二人で逝くわよ!』



柊(筆談)『ウン。』



パクリ。




蓮華『ま、不味すぎ……よ。』


柊『ガクガクガクガク。』



紗香『またまたぁ!

そんな不味くないでしょ~!

みんな大袈裟だなぁ~』


ガチャ



絋斗が帰って来たみたいだ。


3人は玄関に走った。




――回想終了――






蓮華『ーーーーーと言うことなんだよ…………お兄ちゃん。』


絋斗『そうか…………。

良く頑張ったな!』



まぁ、予想通りだけど。



さて……と、例のシチューを食べにリビングに行きますか!




――リビング――


ガチャ



絋斗『ただいま。紗香。』



紗香『おかえりー

聞いてると思うけど、また失敗しちゃった。』



絋斗『うん聞いてるよ。

それで、料理上手くなりたい?』



紗香『当たり前よ~』



絋斗『なら、紗香にいいものをあげるよ!



その名も!

“喋るお料理ナビ”


これは、俺が使ってたヤツで、少し古いけど…………。


いる?』



紗香『いる!』



絋斗『わかった!

じゃあ帰ってきてからね!


今は時間がないから、早く魅琴の家に行こうか。』



四人『は~い!』



数分後、彼女たちの準備も完了した。


さぁ、出発だ!





蓮華『そういえば、話を逸らしてお兄ちゃん、ポイズンクッキング食べなかったね………。』


道中、蓮華が話し掛けて来た。


絋斗『バレたか。上手く逸らしたと思っていたんだけど。』



蓮華『私たちは一口食べたんだよ?』



絋斗『どうせ食うなら上手くなって食べたいからな!』







蓮華『まぁ、それもそうだね…………。


にしても、アレは天にも昇る味だったよ。

勿論、悪い意味で。』



絋斗『そんなにか…。』



食べなくて良かった…………。

と、目の前で楽しそうに笑う紗香を見て心からそう思った。



ん?


あそこに居るのは、薫の妹の(カナデ)じゃないか?



彼女がこんなところに居るなんて珍しいな。


それというのも、奏は普段から大人しく、あまり遊びに出るようなヤツではない。


出るにしても、親友の金城真湖(キンジョウマコ)が一緒のハズだ。コイツは奏とは対照的で、クラスのムードメーカーの一人でかなりウルサイヤツだ。


悪く言えばそうなるが、良く言えば、退屈しない面白いヤツだ。


まぁ、オタクって言われるからあんまし喋らないけど。




唯『兄ちゃん!あの女の人絡まれてるよ!』



唯も気付いたか。



まぁ、金城がいないなら俺が助けないとな。



でも、なんだろう。

あの不良見たことあるような、ないような。







俺は、奏までダッシュした!




ちゃちゃっとやっつけて魅琴ん所に行かなきゃな。



さぁ、友達に絡むようなヤツをお仕置きしますかね!!



とぉ~ちゃく!


不良A『なんだぁ?てめぇ。』

絋斗『友達に絡むのは辞めてくんないかな?』






――奏side――


はじめまして。


久遠奏といいます。


私は、今ゆわゆる絶対絶命ってヤツにいます。


マコさんと一緒に町を歩いていたハズなのですが、気が付いたらマコさんは居らず、不良さんに絡まれてしまいました。



どうしようかと迷っていると、学校では避けられているけど、ホントは優しいクラスメートの声がした。



絋斗『友達に絡むのは辞めてくんないかな?』






鏡くんが私と不良さんの間に入り、私を庇うように立ちます。


ですが、私は鏡くんの前に立ちました。



なぜなら、鏡くんは喧嘩など無縁の方だと私は思います。



なぜなら、外見や今までに感じた印象で言い方は悪いですが、ひ弱なイメージが私の中で定着しているからです。



奏『私は、大丈夫ですから』



ホントはかなり恐いですが。



絋斗『嘘つけ、顔が真っ青だぞ?』



私は、自分の顔を手鏡で見てみましたが、特に異常はありませんでした。



騙された……?



あの鏡くんに…………?



絋斗『その反応を見ると、図星みたいだな。



句調が変です。


鏡くんは一人称は“僕”


丁寧な言葉遣い。



それが、いつもの鏡くん。


私たちが知ってる鏡くん。



絋斗『紗香、蓮華、唯、柊、奏。


本気出すから少し下がれ。』



どういう事ですか?






紗香『早くケーキ食べたいから早くしてね。』



鏡くんが喧嘩?



気が付けば私は、叫んでいた。


奏『鏡くん止めてください!


あなたが怪我をしてしまいます!!』



すると、不良が私に同調するように言う。



不良『ひゃはははははは!!


そうだぜぇ!怪我する前にお家に帰んな!


このキモオタが!!』




ぶつっ。



刹那―鏡くんの雰囲気ががらりと変わった。


空気が重い。

今まで生きてきて、こんなことは初めての事でした。



絋斗『“俺”はなぁ。

人を外見だけで判断し、俺を、キモオタ呼ばわりするヤツが大嫌いなんだよ!!!』



激しい怒声が飛ぶ。


空気が震動する。



奏『ひっ…………。』


私は、恐怖から動けなくなっていた。



でも、あっちにいる四人の女の子は違った。


キャイキャイはしゃいでいる!


本気だね!と金髪の子


うなずく黒髪の子。



絋斗『柊、ヘアゴム。』



とてとて。

と近付きヘアゴムを渡す黒髪の子。



そして、鏡くんの素顔が明らかになった。



それはあり得ない程カッコイイ顔だった。


私は、状況を忘れ、暫し見つめていた。






絋斗『唯、今から面白いもんをみしてやる。』


そう言った鏡くんは側にあった木材を手にとった。


絋斗『行くぞ。せめて初撃位避けろよ?


-鏡流即興剣術-』



鏡くんは一瞬で不良さんの懐に飛び込むと、目でギリギリ追える速さで木材を振るった。


ガッガガガガガガガ!!



唯『あー!!

兄ちゃん!

まさかぁ!』


絋斗『気付いたか?

なら技名をフィニッシュに叫ぼうか!』


唯『うん!!』




ガガガガガ!



絋斗『終りだ…………。』



唯&絋斗『『喰らえ!


マスターコンボ!!!!』』



絋斗『さらに、

だぁぁぁぁぁぁぁぁい

てぇぇぇぇぇん

くぅぅぅぅぅぅぅ!!!』



鏡くんは不良さんを上に飛ばした後、自身もジャンプし空中で連撃を繰り出す。



そして、不良さんごと地上に降りてきて縦に不良さんを叩き斬った。




不良さん…………。


ご愁傷様です………………。



絋斗『あ~スッキリした!』



途端に


場の空気が軽くなりました。


そこに居たのは普段の鏡くん。


さっきのは一体?



――奏side――END――









俺は、普段から学校の連中に言われてるイライラも可哀想だが、不良に当たらせて貰った。



奏を見ると口をパクパクさせている。



絋斗『あぁ、奏。

こっちが普段の俺ね。』



奏は3、4回深呼吸したあとに当然の疑問を投げ掛けて来た。



奏『なぜに学校では自分を偽っているのですか?』



絋斗『無意味に友達を作りたくない。


それに、友達なんて信頼してる少数だけで充分だからだ。


お前こそこの光景を見て引かないのか?』



奏『別に大丈夫ですけど?』



絋斗『ふーん。

これで七人目だな…………。

紗香、蓮華、唯、柊、魅琴、親友、奏だ。』




奏『何がですか?』



絋斗『俺の力を見て引かなかった人。

俺が友達にしてもいいと思う人。


だ……………………。』


絋斗は最後の方を顔を真っ赤にして言った。



それを聞いた4人は少し不満だった。



4人『それ以上は!?』


奏は呆然としている。



絋斗『ん?それ以上か?

当然、OKだろ?』




4人『やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』



先ほどの怒声にも勝る叫び声。


パリーン!!!



あ、窓割れた。



奏『私も負けませんよ?』



蓮華『どういうこと!?』



柊『ま……さか…………。』



奏『えぇ、私もみなさんと



“同じです”



ライバル(恋敵)ですね。』




紗香『いい度胸してるわね…………。』



5人はお互いに睨み合っている。



が、長くは続かなかった。



絋斗『早く行くぞ!』


この一言により、魅琴家へ行くものと、一緒に遊びに来た連れを探しに別れた。



別れ際。



奏『明日、学校で待ってますから!!


さよなら!』



絋斗『ばいば~い。


さ、行くか!』



4人は笑顔で頷き、魅琴家へ歩き出した。





――魅琴家前――


唯『うわぁ、でか~』


蓮華『俗にいう豪邸ってヤツね。』



絋斗『蓮華、緊張してんのか?

句調が前のに戻ってるぞ。』



蓮華『お兄ちゃん緊張しないの?』


絋斗『まぁ、住んでたからな。』



紗香『それは、魅琴さんと同居ってことかな?』


絋斗『違う。

両親を亡くして少し後に俺を拾ってくれて居候させて貰ってたんだ。


まぁ高校に慣れてからは今の家に移ったけど。』



4人はみな気まずそうな顔をして、俯いていた。



絋斗『この話しゅ~りょ~!


今から誕生日パーティーなのに暗い雰囲気はなしなし!!』


その言葉で4人は笑顔を取り戻し、ニコニコしながら家のチャイムを鳴らした。






――魅琴家リビング――



俺は、玄関で魅琴の飛び付きを喰い、一瞬昇天しかけるという事件があったが、今はリビングにいる。



だが、非常に台所で魅琴特製デザートを作っている、魅琴の所に行きたい気分だ。



なぜ、俺がそんな気分に浸ってるかと言うと、俺の目の前で薫が


薫『素顔を見せて下さい!』


と、迫って来ているからだ。


きっかけは4姉妹と自己紹介を終えて、談笑をしている時に、

薫『私は、絋斗君の素顔を見たことないんですよね~


皆さんはありますか?』



この言葉から全てが始まった。





――回想スタート――


薫『私は、絋斗君の素顔を見たことないんですよね~


皆さんはありますか?』



蓮華『えぇ、ここにいるみんなが見たことあると思う。』



薫『えぇ!?そうなんですか?

どんなお顔でした?』



唯『めっちゃカッコイイよ!』



唯は言ってから「しまった!」という顔をした。


当然の質問を作ってしまうからだ。



薫『そんなにカッコイイなら何故に顔を隠すんですか?』



この質問である。




絋斗『深い意味なんてないよ。』



薫『なら見せてください!』


絋斗『嫌だ。』



薫『見せてください!』


絋斗『断る。


なぜ、俺の素顔を見たがる?』


薫は数分間黙ったままだったが、いきなり喋った。





薫『誰だって気になる人の素顔はみたいですよぉ…………。』


この言葉に反応したのは4姉妹。



4姉妹の考えはシンクロしていた。


『『『『素顔を見せたら暴走する!!!』』』』



さらに“気になる人”のフレーズで蓮華が吠えた。


蓮華『お兄ちゃんは絶対にぜぇっっったいに渡さないから!』


薫『私だって負けませんよ?


それにこれで私が素顔をみたい理由については満足ですか?』


やべぇ、断りずらい。



絋斗『い、いやでも俺の顔なんて…………。』



柊(筆談)『兄様がかっこ悪かったら、他のはゴキブリ以下。』


可哀想だな。



薫『そんなにですか!?』



先程の言葉に戻る。


――回想終了――






あ、思い返したら俺、告白みたいな事をされてるな…………。


まぁ、本人も触れて欲しくない話題だろーし、しっかり本人の口から聞くまで黙ってよ。



それに…………。


この状態の俺を気にしないって事は外見だけで判断しないって事なんだろ。


よし。



絋斗『薫、一旦離れろ。


柊、ゴム、パス。』



柊『みせ…る…の?』


絋斗『あぁ。薫なら信用出来る。


勿論、みんなもな!』



そう言いながら絋斗は柊の頭を撫でる。



柊は抱きつきながらニコニコしてヘアゴムを渡して来た。



紗香『ちょっと薫は見ないでね~』



ギュッ。


紗香が薫の目を塞ぐ。





絋斗『いいぞ。』



薫『へっ?どなた様ですか?』



4姉妹+魅琴、大爆笑。



って魅琴!?


いつから居たんだ…………?



薫『まさか、絋斗君……ですか?』



絋斗『俺以外にいる?』



薫『確かにこれは他の方たちはG様ですね…………。』



絋斗『そんなに?』



頷く絋斗以外。



絋斗『まぁ、それはそれで魅琴も戻って来たからパーティーだ!』



おぉー!!



絋斗『それじゃかんぱーい!』


絋斗の少し強引な一言でパーティーはスタートした。



パーティーは深夜遅くまで、魅琴と薫が明日も仕事だから


と、二人が言ってから寝始めるまで続いた。




絋斗『蓮華たちは明日から転校してくるのか?』



蓮華『うん!お兄ちゃんと同じクラスだといいなぁ!』



絋斗『たのしみだな。』



そんな会話が帰り道に行われていたとは先を歩く二人と背中で眠る柊は知らない。

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