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異世界竹取物語〜★僕が約束を果たすまで☆〜  作者: 色採鳥 奇麗
第一章 新しい日常

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9/12

新たな出会いの予感

 ガネロン大森林。そこは空に手が届くほどの馬鹿デカい大樹が、広大な大地に幾重にも並ぶ、言葉通りの大森林だ。

 地上を歩く存在が、蟻ん子に見えてくるほどに…。

 その蟻ん子も同然の小さな少年が、隣を歩く青年の衣服を引っ張って、興奮気味に空を指差した。

 

「リード()ぃ!リード兄ぃ!見て見て!流れ星だよ!」


「あっ?こんな真っ昼間に流れ星なんて見えるわけ……あっ、ホントだ!」


 リードと呼ばれた青年は目を凝らすと、木々と枝葉の隙間からかろうじて見える光を、その眼に確かに捉えた。

 七色に輝く流星のような光が、ゆっくりと降下している。

 それは、森の重鎮でもあるセガン・ガネロンの目にも映った。


「ありゃあ、『跳躍柱(はし)』じゃな」


跳躍柱(はし)?ああ、よく見たらそうだな。なんだ?隊長の増援か?」


「あの方に増援は要らんじゃろ…」


「はは!確かに、それもそうだな!」


 顔をしかめるセガンの言葉に、リードはカッと笑って共感する。

 だとしたら、あの跳躍柱(はし)はなんなのか…。

 考えられる可能性のひとつに、リードの表情は軽い強張りを見せる。


「まさか異世界人か?」


「ありえん話ではないな」


「異世界人!?」


 異世界人という言葉に、小さな少年は目を輝かせる。

 対してセガンは、年季のある顔に新たな皺を彫り、ため息まじりに呻いた。


「う~む…。ただでさえ慌ただしい時期じゃというのになぁ…」


「アレ、このままだと禁足地に落ちるんじゃね?」


「禁足地?テス()ぇが向かった場所だ。あっ!?」


 少年は慌てた様子で、両手で口をムギュと塞いだ。

 どうやら、口にしてはいけないことだったらしい。

 セガンは少年を見下ろしながら、またも深いため息をついた。


「まったく、あの娘は…」


「仕方ねぇじゃねぇか。だってあの場所はテスの…」


「わかっておる。リードよ、お前が行って様子を見てこい。異世界人が善良な奴とも限らん。もし危険人物なら、テスの身が心配じゃ。それに『穢れた大地』も少しずつ近づいてきとる。言いたいことはわかるじゃろ」


「魔恩が出るかもしれねぇってことだろ。わかってるよ。最近、暴れ足りなくて身体が訛ってきてたからな。出てくれた方が、俺は嬉しいけど!」


 そう言うや否や、リードは一目散に駆け出した。

 その後ろ姿を、少年はいろんな感情を抱えながら見送る。

 自分もついていって、異世界人をこの目に拝みたい。

 だが、行く先が禁足地ということもあって、聞き分けのいい少年は潔く断念した。

 魔恩という怪物も恐ろしい。

 そしてなにより、リードの身体が心配だ。

 少年は寂しそうに、上着の裾をギュと掴んだ。


「大丈夫じゃ、アトル。リードは強いぞ」


 そんな不安を拭い去るように、セガンは少年の頭に手を被せる。

 ワサワサと揺れる橙色の髪。

 それもそうだと、少年…アトルは吹っ切れたように笑顔を作った。


「うん!じっちゃん!」


 こうして、彼らのまだ見ぬ運命に、またひとつ近づいた。


 リード。汚濁をその身に宿す、熱き信念を持った青年。


 テス。失ったものを取り戻すため、懸命に身を削る儚くも強い少女。


 輝夜。異能者の一人にして世界の命運を握る、宿命を帯びた少年。


 そして今──、


 彼方より飛来した七色の流星が、禁足地と呼ばれる漆黒の大地へと落ちた。

 世界に、彼の降臨を知らしめるように、

 土煙を狼煙のように巻き上げて。

 衝撃を鐘のように吹き鳴らして。

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