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異世界竹取物語〜★僕が約束を果たすまで☆〜  作者: 色採鳥 奇麗
第一章 新しい日常

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8/11

世界の隙間 残響する声


 視界に映るすべてが暗転した、すぐ後の出来事。

 まるで、針にかかった魚が釣糸に引っ張られるかのように、輝夜を包む光の膜は一直線に進み続けた。

 向かう場所は決まっているかのように…。

 行き先は恐らく、先ほど光の表面に現れた景色の場所だと思われるが、今の輝夜にはそれ以上の思考を続ける余裕がない。

 なにしろ、竹取輝夜は現在、『宇宙』と対面していたからだ。


「どわあああああ!なんじゃこりゃああああ!」


〈待……て……テ…〉


 いや…輝夜が見ている景色を『宇宙』と呼ぶには、少し語弊がある。

 宇宙や銀河、そのすべてを収納した、それは言うなれば『世界』。

 その『世界』が『虚無』という海の中をユラユラと揺蕩っていた。

 そして、『世界』はひとつではなかった。

 十、百なんて可愛らしい数でもない。

 億、兆、京、該、エトセトラ。

 まさに、無限にも等しい千差万別の形をした『世界』の群生が、闇の中を華やかに彩っている。

 その世界と世界の隙間を、輝夜は光速を遥かに凌駕する速度で、白い彗星の如く駆け抜けていく。

 過去に履いていたズボンを水没させ、小学6年生だった輝夜に『二度と絶叫系には乗らない!』と、固く決意させたジェットコースターが今は可愛く思えてくる。

 掴まる場所もない。安全装置もない。

 唯一頼れるのは、自分を包む光の膜のみ。

 お先は文字通り真っ暗で、進んでいるのか戻っているのか、上昇しているのか落下しているのか、それすらもわからない。

 今の輝夜にできることは最悪の想定に備えて、意識を手放さないようにグッと堪えることだけだった。


「びょえええええええ!!」


〈ボク………帰………る〉


 それゆえに、囁き声にも似た悲しみを孕んだこの残響も、絶叫を上げるだけでいっぱいいっぱいの輝夜の耳には、これっぽっちも届かなかった。

 

「うびょおおおおおおおお!」


〈こ…花………印に…〉 

 

 まもなくして、七色に輝く一筋の光が、輝夜の視界の先に小さく瞬いた。

 その光源に向かって、速度はさらに上昇。

 永遠に感じられた、わずか一分にも満たない時間。ようやく見えたゴールらしき地点に、輝夜はホッと安堵の息を吐いた。

 それも束の間、その光明は瞬く間に輝夜の視界を真っ白に塗り潰した。

 その閃光のような光に奪われた視力も数秒後には回復したが、次に目蓋を開いた輝夜の瞳には新たな景色がひらけていた。

 

 ──天に群青、地に瘴気。


 地上から、およそ1万フィートに及ぶ上空。

 あの『景色』と同じ場所へと、輝夜は勢いよく放り出された。


 流星のごとく…。

 七色の焔を纏って…。

 希望のように空に輝いた。


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