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15

 その日私たちは夜までカフェで不審な動きをする人およびリスを張り込んでいたのだが、特におかしなことは起きなかった。

 夜になる前には、私たちは2人並んで帰路に着いていた。


「ある程度あの店に張り込んで、なんの手掛かりにもならなければ、巣の方を探す」

「は、はい!」


 先行きは不安だが、私は魔石がなければどうにもならない。

 私たちはあの店に張り込みを続けて手掛かりがなければ、この町の周囲の森で魔石を溜め込んでいるであろう巣を探してみることとなった。

 シャルさんが魔石を探すのは自分が石を食べ、力をつけるためだが、彼がいてくれるのを少々頼もしく感じていた。




 私達が張り込みを始めて、3日目のこと。


「このカフェで特に怪しいことは起きませんね」

「そうだな、巣を探した方が早いか……」


 まだこのカフェで怪しい動きはない、私達は代わる代わる周囲の見張りを続けていたが、そろそろ森の捜索に移行しようかと話しているところだった。


「あの」

「え、はい」


 私の背後から、若い男性の声が聞こえたため、私は咄嗟に振り返る。

 そこには北の軍人さんで、私たちと同じく魔石を探しているであろうノアさんが立っていた。


「あ、ノアさん、こんにちは」

「ええ、こんにちは。隣のテーブルいいですか?」

「あ、はい」


 ノアさんは私たちの隣のテーブルに飲み物を置いて腰掛けた。そしてノアさんは鋭い視線を私達に向けながら言った。


「ここ連日このカフェを見張られはいるようですが、何かわかったんですか?」

「あ、ええと」


 そういえば私は何かわかったことがあったら、ノアさんに報告するという約束を反故にしていた。だがシャルさんは、軍人のノアさんに先に魔石を見つけて欲しくはないだろうから、何も教えたくはないはず。今の私は完全に板挟み状態だ。


「あの、シャルさん……」

「…………」


 気まずい雰囲気のなか、シャルさんのご意向を伺おうと声をかける。しかしシャルさんは遠くの方を見つめたまま、こちらの声掛けに応じる気配はなかった。

 それどころか私に目も向けず、とても集中している様子で、とある一点を見つめている。私もノアさんも不思議に思い、彼の見ている先に視線を向けた。


 店の中央の方を見る。

 コーヒーを飲んでいる夫婦と思しき二人組。

 席で昼食のサンドを食べる青年。

 席のテーブルに飲み物とバングルを置き、休憩をとる軍人。


「シャルさん、なにかありました?」

「「静かに」」


 私は2人に発言を制止される。

慌ててもう一度2人が見つめる先をよく観察する。


 コーヒーを飲む夫婦。

 サンドを食べる青年。

 休憩をとる軍人、机には飲み物とバングル。


「あ! あの軍人さんバングルを外しています!」


 私がそう言った瞬間、バングルが机から落っこちた。まるでひとりでに動き出したように。


「くそっ」

「ええ! なんです!?」


 シャルさんがそちらの席に飛び出していく。ノアさんがそれに続いて走っていった。私も慌てて2人に続く。

 他のお客さんもいるため、なかなか全力で走ることができない。にもかかわらず、前を走る2人はすごい勢いで落ちていったバングルの行方を追っていた。


 私がそのテーブルにたどり着いた時には、バングル自体はすでに見失っていた。

 2人はまだ消えたバングルを追いかけている。


「ええ! なにかあったのか?」


 席に座っていた軍人はバングルがなくなっていること自体に気づいていないようだった。


「えっと、ご説明は後ほど!」


 そう言って私は慌てて2人を追いかけた。

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