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私はシャルさんに言われるがまま、先日立ち寄った町の中央のカフェまでやってきて、先日と同様に飲み物を頼み、テラスの席に着いたいた。
「そらそろ説明していただけませんか……今回の騒動の犯人がリス?……だということについて」
私はテラスに座り周囲を窺っていたシャルさんに声をかける。シャルさんはふぅと一息ついて、こちらに向き直った。
「スクワール族は他の生き物同様、天候が厳しくなると住処で眠りにつく。そのために魔石を巣に持ち帰るものもいる。今回の犯人がそれの可能性があると考えている」
「なるほど」
魔力を持ったリスさんが冬眠のために魔石を持ち帰るということは初耳であった。
「食糧ではなく、魔石を蓄えるんですか?」
「まあ魔石1つ見つかれば、食糧を大量に集めてくる手間は省けるだろうな」
「なるほど……」
スクワール族……その魔獣の生態は、わかってきたが、今回の事件とはまだ繋がりを感じられなかった。
「そのスクワール族は冬をひとつ越すのに、そんなにたくさんの魔石が必要なんですか」
「いや小リス1匹、そこそこの魔石1つあれば十分だろうな。……それに、本来この種の魔獣は他の生物から盗むような危険は犯さない。こいつは普通ではないのだろう」
「なるほど………」
私はまだ半信半疑であった。しかし、シャルさんからは、どうも確信を持っているような雰囲気を感じる。
「普通じゃないリスの仕業だということですよね……どうしてシャルさんはそう思ったんです?」
私は恐る恐る疑問を口にする。
シャルさんはきらんと目を輝かせながら応えた。
「昔スクワール族の異様な巣を見つけたことがあってな!巣であろう大木に大量の魔石が詰まっていた」
「ええ」
「いつ頃どこで見つけたかは覚えていないが、あれは感心したな」
「そうだったんですね」
正直、魔石の詰まった大木など想像できないが、私はシャルさんが楽しそうに話す姿を見て、本当にリスの仕業なのかもしれないと思い始めていた。
「それで、そのリスはどうやって見つけるんですか?」
「それが問題なのだが……あの日私達が唯一長居した場所はここくらいだろう。さっきの小僧もこのカフェにきていた」
「そうですね。共通点はこのカフェかも」
「しばらく張り込むぞ。違和感のある人間がいたら教えてくれ」
「あ、はい」
私はかなりの長期戦を覚悟した。そもそも何の手がかりもないのだから、こうして待つしかないかと諦める。
「あの、これなら他の方にも協力して頂いた方が良いのでは?とりあえずノアさんにもお伝えしましょう」
私はふと思ったことを口にした。そもそもシャルさんは何故ノアさんの家で、わからないと言っていたのだろうと疑問にも思った。
「馬鹿者」
「え」
「見つけた魔石は全て私が喰う」
「え」
「教えてやる義理はないだろう」
「あ、はい」
そうであった。
彼は世界を滅ぼそうとしているのだと私は思い出した。




