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プロローグ
「人間は皆殺しだ」
憤怒の形相をした、金髪の美青年は言った。
「……」
私は返答することができずに黙り込む。
傷の手当てが完了したところだったのだが、なかなか声をかけられずにいた。重苦しい空気の中、なんとか声を絞り出す。
「……とりあえず、処置は済みました。またあとで胸の傷に治癒術を
「傷が癒え、魔力が完全に戻った暁には、魔獣を家畜とせんとする人間に罰を……滅びを与える」
私の言葉を遮り、青年は立ち上がった。
膝にかけていたシーツを床に落とし、険しい顔つきに全裸でそう宣言した。
そして私の方を見て一言。
「で、朝飯はまだか、娘」
「その前に服を着てください!!」
私は家にあった急拵えの服を、その青年に向けて押しつけた。
私が助けた魔獣(美青年)は人類を滅ぼそうとしています。