第九話:新たな依頼と遺跡の探索
町の冒険者ギルドでの活動を続けるシオンとフィーナは、数ヶ月が経過し、着実に成長していた。様々な依頼を受け、町の人々とも顔見知りになり、彼らの生活も賑やかになっていった。
ある日のこと、ギルドの掲示板に新たな依頼が掲示されていた。そこには「遺跡の探索依頼」と書かれた大きな掲示があった。報酬はかなりの額で、多くの冒険者たちが興味を示している様子だった。
「見て、シオン!遺跡の探索依頼だよ!」フィーナが指を差す。
「遺跡か……。」シオンの目が輝いた。「探検なんて、ワクワクするな!」
依頼の内容は、町の近くにある古代の遺跡についての調査を行い、その中に眠る宝物や、何か特異な物体を持ち帰るというものだった。多くの冒険者たちがその依頼に名乗りを上げていたが、報酬の魅力に惹かれてシオンも思わず心が躍った。
「どうする?私たちも受けてみる?」フィーナが尋ねる。
「うん、絶対に受けよう!遺跡の探検は、いつかやりたいと思ってたんだ。」シオンは期待に胸を膨らませた。
二人はギルドの受付へ行き、依頼を受けることを決意した。ギルドの受付嬢は彼らの熱意を見て、笑顔で承諾した。「遺跡の探索は危険が伴うので、十分に注意してくださいね。」
「はい、分かりました!」シオンは力強く答えた。
遺跡への道中、シオンはフィーナに様々な話をしながら進んだ。「遺跡には、どんな秘密が隠されているのかな。古代の人々がどんなことを考えていたのか、興味津々だ。」
「私も早く見てみたい!でも、気をつけて行こうね。何が待っているか分からないから。」フィーナも不安と期待が入り混じった感情を抱いていた。
遺跡に到着すると、その光景に思わず息を呑んだ。古びた石造りの建物が青空にそびえ立ち、周囲には草木が生い茂っていた。まるで時が止まったかのような静寂が、彼らを包んでいた。
「これが、古代の遺跡……。」シオンは思わずつぶやいた。
「本当に神秘的だね。」フィーナも同様に感嘆した。
二人は遺跡の中に入ると、暗い通路が続いているのを見つけた。慎重に進んでいくと、壁には古代の文字が刻まれていることに気づく。
「この文字、何て書いてあるんだろう?」シオンは興味を持って、文字を指でなぞった。
「私には分からないけど、何か重要なことが書かれているのかもしれないね。」フィーナは静かに周囲を見回した。
その時、二人は微かに光る道を見つけた。「あれ、何かある!」シオンは声を上げて、光の方へ向かった。道を進むにつれて、彼の心の中で何かがざわめき始めた。
遺跡の奥へ進むと、彼らは未発見の通路を見つけた。そこはまるで新しい世界への扉のように感じられた。興奮のあまり、シオンは先に進みたい気持ちを抑えられなかった。
「行こう、フィーナ!あそこに何かがあるかもしれない!」シオンは勇気を振り絞って先へ進むことを決めた。
二人は道を進むと、通路の先に大きな部屋が見えてきた。そこには巨大な石の台座があり、その上に不思議な光を放つ石が置かれていた。
「これ、何だろう……。」シオンはその石に惹かれるように近づいていった。
しかし、突然部屋全体が揺れ始めた。「な、何!?これはまずい!」フィーナは驚きの声を上げる。
シオンはその瞬間、周囲の状況が急変していくのを感じた。石が光を放ちながら、彼の意識が遠のいていく。心の奥で何かが呼び覚まされるような感覚が広がり、彼はそのまま意識を失ってしまった。