第八話:冒険者としての日々
シオンとフィーナは、町のギルドで受けた薬草採取の依頼に向かうため準備を整えた。二人はギルドでの仕事に緊張しながらも、気持ちを引き締めた。
「シオン、今日はしっかり頼むわね。薬草を集めるのは初めてなんだから、ちゃんと指示に従ってね。」
フィーナは注意深くシオンを見つめながら言った。彼女の言葉にシオンは頷き、少し不安を感じながらも勇気を奮い立たせた。
「僕も頑張るよ。フィーナがいるから大丈夫だと思う。」
二人は町の外れにある薬草が生えている森へと向かった。道中、フィーナはシオンにいくつかの薬草の種類や、どのように採取するかを教えてくれた。彼女は幼い頃から村での生活を通じて多くの知識を身につけていたため、シオンはその教えに耳を傾けた。
森に着くと、爽やかな風と木々のざわめきが心を落ち着ける。二人はそれぞれの役割を決め、薬草を探し始めた。フィーナが見つけた薬草の名前を言いながら、シオンはその周りの草を注意深く摘み取る。時折、彼女の指示で他の植物と見分ける方法を確認した。
「この薬草は、けがをした時に使うものだから、しっかり集めてね。」
フィーナはそう言って、シオンにその草を指し示した。シオンはその特徴をしっかり覚え、根元から丁寧に引き抜いた。しばらく作業を続けていると、いつの間にか二人の間に信頼と安心感が生まれていた。
数時間後、二人は予定よりも多くの薬草を採取し、満足の笑みを浮かべた。森を後にし、町へ戻る道すがら、シオンは心に新たな目標が芽生えているのを感じていた。
「フィーナ、これが終わったらもっと他の依頼にも挑戦したいな。」
「そうね、どんどん経験を積むことが大切だから。」
フィーナも同意し、今後の冒険者としての活動について語り合った。
町に着くと、ギルドに向かい、依頼を無事に終えたことを報告する。ギルドの受付嬢が笑顔で迎えてくれた。彼女は二人の持ち帰った薬草を確認し、喜びの声をあげた。
「すごい!こんなにたくさんの薬草を採ってきたなんて!お二人の活躍に感謝します。」
ギルドの報酬としていくつかの貨幣を受け取ると、シオンは達成感に満ち溢れていた。
「これからもどんどん依頼をこなして、経験を積んでいこう!」シオンは目を輝かせながら言った。
「私も、冒険者として成長していくのが楽しみだわ。」
フィーナも心を躍らせていた。二人はその日一日の出来事を振り返りながら、これからの冒険に期待を膨らませていった。町の人々との出会いや、様々な依頼を通じて、彼らの冒険者としての物語が幕を開けたのであった。