第七話:冒険者登録
シオンとフィーナは、町の中心部にある大きな建物に向かって歩いていた。建物の前には、「冒険者ギルド」の看板が掲げられ、人々が出入りしている。シオンは少し緊張しながらも、心を決めてその扉を押し開けた。
「お邪魔します!」
二人が中に入ると、広々とした空間には多くの人がいた。壁には依頼が掲示された掲示板があり、その周りでは人々が熱心に話し合っている。ギルドの雰囲気は活気に満ちており、シオンはその様子に胸が高鳴った。
「すごいね、ここ。いろんな人がいる。」シオンは目を輝かせながら言った。
「そうね。私たちもここで冒険者として始められるんだから。」フィーナは少し緊張しつつも、自信に満ちた表情を浮かべていた。
二人は、受付のカウンターに向かって歩いていく。受付の女性は、温かい笑顔で二人を迎え入れた。
「いらっしゃいませ!冒険者登録ですね?」彼女は丁寧に言った。
「はい、私たち、冒険者になりたいです!」シオンが元気よく返事すると、フィーナも頷いた。
「わかりました。それでは、まずお名前と年齢、簡単な経歴を教えてください。」受付嬢は笑顔を絶やさず、メモを取るためのペンを持った。
シオンが自分の名前や年齢を伝えると、次にフィーナが同じように名乗った。彼女は村での生活や手伝いをしていたことを簡潔に説明した。受付嬢は二人の話を真剣に聞き、頷きながらメモを取る。
「さて、登録が完了しました!」受付嬢は、手元の札をシオンとフィーナに差し出した。「これがあなたたちの登録証です。冒険者としての活動を行う際には、常に携帯してくださいね。」
シオンとフィーナは、受け取った札を見つめる。表面には二人の名前と、登録番号が記載されていた。
「これが冒険者としての証明なんだね。」シオンは目を輝かせながら言った。
「そうね、これからは私たちも冒険者として頑張っていくわ。」フィーナも自分の札を見つめながら、心の中で新たな決意を固めていた。
「それでは、まずは何か依頼を受けてみますか?」受付嬢が提案する。「この町では平和な依頼が多いので、まずは簡単な仕事から始めるのがいいですよ。」
シオンは周りの掲示板を見つめた。「例えば、どんな依頼があるのかな?」
フィーナは掲示板に目を向け、いくつかの依頼を読み上げる。「薬草採取、食料の配達、村の人々のお手伝い…」彼女の声には期待が込められていた。
「じゃあ、薬草採取から始めてみようか!」シオンは元気よく言った。「村でも時々薬草を摘んでいたし、これならできそうだ。」
フィーナは微笑んだ。「そうね、まずは慣れたところから始めましょう。薬草はどこで取れるのか、情報を集めてみるといいかも。」
二人は掲示板から薬草採取に関する依頼を選び、その内容を確認した後、必要な道具や情報を集めるために近くの商店に向かうことにした。
商店では、薬草に関する本や道具が販売されており、シオンとフィーナはそれぞれ必要なものを選んだ。シオンは小さなナイフと、薬草を入れるための袋を購入し、フィーナは薬草の種類を学ぶための本を手に入れた。
「これで準備は整ったね。」シオンは嬉しそうに言った。「さあ、早速薬草を採りに行こう!」
フィーナも頷き、二人は町の外へ向かって歩き出した。心の中には、新たな冒険への期待と、村の壊滅の謎を解くための強い意志が満ちていた。