#3 採集依頼と討伐依頼
初めて小説を書く超ド素人です。
文章力も語彙力も全然ないので読んでてイラっとしたらそっとブラウザ閉じてください。
矛盾が出ないように世界設定や話の構成など色々と練り直してました。
できるだけ気を付けながら書いてますが、気づかないところで矛盾がでてしまってるかもしれません。
エルネ達3人の妹と私の関係はあまり良いものではなかった。
いやむしろ、腹違いとはいえ同じ屋根の下で暮らしてきた血の繋がりのある家族であることを考えれば、関係は悪いとしか言いようがなかった。
モネが生まれてから1年後、父が依頼の最中に魔物に殺され亡くなった。
その頃には父ともあまり話さなくなっていたがそれでも父が亡くなった事を知らされた時、心にぽっかりと穴が開くのを感じた。自分の居場所はもうどこにも無いように思えた。
当時4歳だったエルネや2歳だったセローネも父親が帰ってこないことをとても悲しみ泣いていた。
いつも物静かなモネも姉2人に触発されてしまったのかそれとも姉たちが泣く理由を理解していたのか分からないがその時は珍しく泣いていた。
義母も心の中では悲痛な気持ちで一杯だったかもしれないが3人の娘を抱きしめながら必死であやして慰めていた。
長女の私といえば、妹達を慰めようともせずそんな光景を部屋の隅っこから眺めながらただ静かに泣いているだけだった。
姉としてもっとできることがあったんじゃないかと今更ながらに思う。
一家の大黒柱を失った私達家族は貧窮し辛い時期を過ごした。
当時10歳の私には冒険者になり簡単な採取依頼を受けて少しでもお金を稼ぐという選択肢があったが、私は怖くなってしまっていた。
母は目の前で魔物に殺され、父も同様に依頼中に魔物に殺されてしまった。
家族のために頑張りたいという気持ちがあったのは間違いない、それでも私は動くことができなかった。
父が亡くなってから半年後、私達家族はある日突然貴族になった。
イェメラ村に視察に訪れていたランフォール辺境伯爵が義母を見初めたのである。
ランフォール辺境伯爵は貴族の身でありながら自身が治める領地内に高ランクの魔物が出没した際には率先して討伐に向かうなど、強く豪胆かつ武勇に溢れ、そしてかなりの美人好きとして有名な人だった。
義母に一目惚れした辺境伯爵は彼女を第三夫人として迎え入れ、娘の私達も辺境伯爵家の一員となったのであった。
綺麗だったとは言えただの一般市民でしかなかった義母を妻にしたのだ、そういうところに関しても大胆な人だと思う。
貴族となってからの私と妹達との関係はさらに希薄になっていった。
それまで暮らしていた家とは比べ物にならない広さの家では、妹達と同じ部屋を共有して暮らすこともなくなり、加えて私は貴族教育と学園へ入学するための試験勉強に忙殺され、入学までの2年間自室に篭りきりの状態になっていた。
忙しいからというのはただの言い訳に過ぎなかったかもしれない。
母のように美しい容姿、そして天賦の才をもって生まれた妹達は大層歓迎され高い期待を受けたが、それと同時に私に対して露骨に落胆や失望の目が向けられた。
私は自身と妹達との差を思い知らされるのを恐れ、家族と関わるのを徹底的に避けた。周囲の目から逃げたかったのだ。
籠りきりの私に対して彼らから何も言われることはなかったので、おそらく私のことなどどうでもよかったのだろうなと思う。
学園へ入学してからも初等部や中等部だった妹達とは建物が離れていたため関わることはなかった。
才色兼備な妹達は瞬く間に学園の人気者になり妹達に関する話は毎日のように耳に届いていたが、どこか遠い他人の話を聞いてるような気分だった。
それも当然で、エルネはともかくセローネやモネとまともに会話した記憶など片手で数えきれるほどしかなかった。セローネやモネからしても私など他人程度の認識でしかないだろう。
私や妹達がそれまでどう生きてきたかなんて知る由もない周りの人間達は、同じランフォール家の人間でありながら落ちこぼれだった私をバカにしていた。
それから卒業する数か月前、私の婚約者を父が勝手に取り決めていたのを知り、私は卒業と同時にランフォール家に帰ることもせずムーゲルへ逃げだした。
卒業前に一度だけエルネと会話をしたことがあったがその時の彼女の私を見る目には何の感情も込められていないように見えた。
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「あの時のあの子の目、何考えてるか分からなくて怖いんだよね……。」
街の中心地、大通りの突き当たりにある円形状の広場に面したところに冒険者ギルドはあった。
冒険者ギルドの建物の前に着くと、そのまま入らずに入口の外から中を確認する。
「いない……よね?」
中は広く、受付カウンターと依頼書が貼られている掲示板以外には休憩・談話用のテーブルと椅子がいくつか置かれている程度で空間がひらけているため入り口からでも建物内のおおよその範囲を確認することができた。
見える範囲では妹の姿は確認できなかった。
入り口から出てきた冒険者に怪訝な目で見られたものの、少しホッとした。
ギルドの中に入り急いで掲示板に向かい、今日受ける依頼を見繕う。
エルネがいつ現れるかも分からない中のんびり選んでいる余裕はない。
「アロニー草とベンベンダケの採取…………これにしよう。ウジョ―の森でどっちも採れるから同じ場所で出来そうな討伐依頼を探そう。ん~、お、あった。これが丁度良さそうだ。」
そうして手に取った依頼は低ランク魔物のホーンラビット3匹を討伐し持ち帰えるというもの。倒した魔物は種類によっては食料となるためこういった依頼は頻繁に貼られている。
ホーンラビットは毛で覆われた小型の四足歩行の体に長い耳と角を生やした見た目のE級の魔物だ。
魔物にも冒険者と同様に下からF・E・D・C・B・A・S・Xと危険度によってランクが振り分けられており、最も危険度の低いFランクは家畜として飼育されるチキンやペットとして飼われるキャットなどが指定されている。
最も危険なX級やS級は伝説として伝わるような魔物が指定されており滅多に姿を表すことはない。
冒険者はそれぞれ自分のランクと同等またはそれ以下のランクの魔物の討伐依頼を受けることができ、冒険者ランクを上げるにはそれらの依頼を一定回数以上達成しなければならない。
冒険者側のFランクは討伐依頼を受ける資格がなく、11歳以下の未成年や戦闘経験のない一般人などが冒険者として登録する際に与えられるランクである。
セラは実戦経験こそ無かったもののアルガルディア魔法学園在学中に戦闘訓練を行っていた為Eランクからのスタートとなった。
手にした2枚の依頼書を持ち受付カウンターへ向かう。
カウンターに座っていた獣人族の女性が足跡に気付いたのか伏せていた顔を上げる。
焦茶色の髪の頭にモコモコした柔らかそうな丸い耳がついており足音を聞きつけた時ピクっと動いたのが見えた。
こちらを見る赤茶色の瞳と目が合うと、ひらひらと手を振りながら気怠げに挨拶をしてきた。
「あー……おはよぉ~……。エメラ、今日も早いわねぇ~。」
「あ、ケレンさんおはようございます。今日はこの2つお願いします。」
手に持っていた依頼書をケレンに渡す。
エメラとは私のことである。ランフォール家から逃げ出したのに実名を名乗っていては簡単に探り当てられてしまう。私は偽名を使って冒険者登録をした。
偽名を使う事が許可されているのかと言われればもちろん禁止されているが、ギルド側が登録者の素性を調べるようなことは基本的にないため、実際のところ偽名を使って登録しても問題がない。
冒険者ギルドは基本来るもの拒まず去るもの追わずのスタンスをとっている。
そうすることで私のような訳ありの人間が仕事にありつけることができ、結果として地域の治安維持に繋がっていたりするのだ。
「はいよ。そういえば昨日はどうしたの?依頼受けに来なかったけど。」
依頼書を受け取ったケレンさんが依頼書に目を通しながらこちらに質問してきた。
「あ、あぁ……昨日はちょっと、色々あって……。」
「色々?まあいいけど~。毎日欠かさず来てたから少し心配してたけど、元気そうだし良かったわ。」
ケレンさんはいつもカウンターに座ってだるそうにしているが周りの人間のことをよく見ている人だ。
私が初めての討伐依頼に単独で向かおうとしていたのを心配して師匠に声をかけてくれたのもこの人だった。雰囲気とは裏腹にとても優しく、私のことをいつも心配してくれていた。
「そ、それはすみません……。ご心配をおかけしました……。」
「謝らなくてもいいわよ~。はい、じゃあ2つとも依頼の受領を承認します。それじゃあ気を付けてね。」
「はい、ありがとうございます!いってきます。」
(よし、さっさとここから出よう……!)
手を振るケレンさんに挨拶した後、そそくさと冒険者ギルドから立ち去った。
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ムーゲルの門を抜け少し進むと耕作地に入り、畑の間に通っている道を広々とした耕作地を眺めながら進む。
早朝の澄んだ空気、仄かなオレンジに染まった朝焼けの空、納屋の側で農夫たちが談笑しているところやカウが土を耕すための大きな農具を引いている姿が見える。その奥から差す少し眩しい太陽の光がそんな農夫たちの細長い影を作り出していた。
セラは朝のこの耕作地の景色が好きだった。
(世界にはこの景色以上に綺麗な景色がたくさんあるんだろうな……。)
そんなことを考えながらまだ見ぬ景色に思いを馳せていた。
綺麗な景色を見ると自然と自分の夢のことを考える。
しかし、それと同時に削れに削れズタズタになった矮小な自信が顔を出し、私には世界中を旅するなんて無理なんじゃないか……・と弱気になってしまう。
この夢は私の心の核のようなものだ。辛い人生を過ごす中でなんとか私を私として繋ぎ止めてきたのはこの夢に他ならない。
だが、もう諦めてしまった方が幸せなんじゃないか、楽になってしまった方が、と無意識にその夢を追いやり忘れてしまおうとする自分もいた。
夢を諦めたくない気持ちとその気持ちと相反する気持ちの二つの矛盾した気持ちが心の中でぶつかり渦となり駆け回っていた。
そんな風にぐちゃぐちゃになった心の状態の中、一歩を踏み出しきれない時間がもう何年も続いていた。
(いや……いや、師匠は背中を押してくれたっ……!それに私だって少しずつ強くなってるんだ。)
バチンっ
気合を入れるように頬を両手で叩き、また思考の沼に沈みそうになっていた意識を引っ張りだす。
(まずは目の前のことに集中しよう!)
―――――――
1時間ほど歩くとウジョーの森に辿りついた。
ムーゲルがある王国領と隣接する領地との間に位置し、標高の低い山々から延びるように存在する国内でも比較的小さい部類に入る森だ。
そのため生息する魔物も危険度の低いものが多く、高いものでもBランク程度の魔物ぐらいしか存在せず私のような低ランク冒険者が活動するにはうってつけの場所である。
それでも冒険者になったばかりのセラがこの森に来た時は、足元の雑草や木の根に足を引っかけたり、転んだ音で魔物に気付かれ必死で逃げ回ったりと散々だった。
(さすがにもう慣れたけどね……。)
最初は酷いものだったが、ここまでいくつもの依頼をこなしてきたおかげで森林地帯での立ち回り方は身についていた。
足元を確認しながらも周囲の状況の確認も怠らず、可能な限り足音を抑えながら進む。
森に入ってから数十メートル進んだところで目的の物を見つける。
「あった。アロニー草。」
レッグストラップに付いた鞘からナイフを抜きアロニー草の茎の中間あたりから切り取る。
根っこごと採らないのは、こうすることで植物は地中から必要な栄養と魔素を吸収し勝手に生え変わってくれるのである。
こうやって素材を必要以上に取り過ぎないのは冒険者の中のルールの一つとなっている。
すぐ近くに生えていた別のアロニー草の採取を終え必要量を確保する。
「次はベンベンダケ。」
ここ数年間、この森で何度も採集依頼をこなしてきたため、この森の浅いところであればどのあたりに何があるのかおおよそ把握していた。
(ベンベンダケは大体こういう倒木や岩の陰になってる湿ったところに……あったあった。)
倒木の少し抉れた部分から生えているものを見つけるとそれをナイフでいくつか切り取る。
採集袋に入れた後、周りを見渡しある植物が生えていないかを確認する。
ある植物とはカオリ草と呼ばれるものの一つで、この草を焚くと草食系の魔物が好む匂いを発するのである。
今探しているものはカオリ草のなかでもラビットの耳のような葉の形をした、ラビット種が好むカオリ草だ。
ラビット種は警戒心が強く姿を滅多に表さない上に逃げ足が速いので探し出して狩るのは難しい。
ラビット種を狩るときはこのカオリ草を使っておびき寄せて狩るのが最も効率がいいやり方なのだ。
それから数分後、カオリ草を発見し葉っぱの部分だけを数枚摘み取る。
平ための地面を探し、枯葉などを退け土の上にカオリ草を置くとポーチから小袋を取り出し、そこから一つ小さい黄色の魔石を取りカオリ草の下に隠れるように置く。
この魔石は"麻痺魔石"と呼ばれ魔物が放つ特異な魔力に反応し麻痺系の雷を放つ魔法が仕込まれた魔道具の一種だ。
こうすることで匂いにおびき出されたホーンラビットが近づくと魔法が発動し動きを封じることができる。
その後ポーチから火付け用の魔道具――ライターを取り出す、5cmほどの金属のケースでできたそのケースの上部に付いたトリガーを引くことで指先ほどの火が灯る便利な魔道具だ。
麻痺魔石とライターは数年前に量産に成功し、冒険者ギルドに併設した道具屋などでそれなりに安価で購入することができようになった。
カオリ草に火をつけ煙が出たのを確認すると少し離れた位置にある茂みに身を隠す。
「……………………………………。」
じっと静かにカオリ草の周辺の動きを観察する。
――……
―――……
―――――……
「……………………。」
「!」
(来た!)
十数分ほどたったタイミングで奥の茂みからホーンラビットが現れた。
ホーンラビットは周囲を警戒するような足取りで少しずつカオリ草の側に近づいて行く。
カオリ草から上がる煙にホーンラビットの鼻先がかすめそうな位置まで来たそのとき―――。
バチチチチチイィッッッ!!!
魔石がホーンラビットの魔力に反応し魔法が発動され半径1mほどの範囲に雷が走る。
雷を全身にもろに浴びたホーンラビットはその瞬間気絶し、体をブルブルと痙攣させながら倒れ伏した。
「よし!成功!」
隠れていた茂みから出て、ホーンラビットに近寄る。
「ごめんね。痛みは一瞬で終わるから。」
ナイフを取り出し、ホーンラビットの喉を切りつけ開いた切口から血があふれでる。
ナイフに付いた血を水の基礎魔法で洗い落とし綺麗に拭う。
麻痺魔石を回収した後、血が抜けきった死体を魔物用の素材袋にしまい、残りの依頼分のホーンラビットを確保するため場所を移す。
「ホーンラビットみたいな逃げ足の速い魔物は魔道具があるとほんと楽だなぁ。槍を使う機会がないけど……。」
それから別の魔物に遭遇することもなく順調に残り2匹のホーンラビットを狩ったセラは太陽が真上に登りきった昼頃、街に帰りついた。
順調に依頼を終わらせることできて気分が良かったセラは、冒険者ギルドにてその気分をどん底に落とす再会をすることになる――――――。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
討伐依頼とは言いつつかなり地味でした……。
説明的な部分が多く起伏のない展開が続いてますが、次の話から一気に話が動いていくと思います。
更新はスローペースだと思うのでふと思い出した時にでも読んでいただけると嬉しいです。